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#005「屁理屈を捏ねる」

リツコ「この記事に因れば、これまで半世紀のあいだに動植物は半減していて、これから四半世紀のうちに地球資源は涸渇してしまうかもしれないと危惧されてるみたいね、桂梧くん」

ケイゴ「そのようですね、マドンナさん。これは、人口過密による負荷だな。ダウン・サイジングが必要だ」

アラン「全世界の人間が日本人と同じ生活水準を維持しようとしたら、もう二つ地球が必要だからねぇ。社会保障の問題を除けば、少子化は省エネルギー化の一助と捉えられる。――はい、いつもの」

リツコ「多産多死、多産少死、少産少死と来て、今度は少産多死社会になるのかしら?」

ケイゴ「いただきます。――乗組員が肥大し続ければ、遅かれ早かれ船は沈没するもんなぁ。助かる道は、新しい乗組員を増やさないか、船を離れるかの二つに一つだ」

アラン「津波、豪雨、台風、地震、噴火。度重なる災害は自然からの啓示かもしれないね」

リツコ「噴火といえば、小笠原諸島で地形と生態系が激変したとか」

ケイゴ「西之島と言ったか。噴火によって島の面積が増大して、生態系がリセットされたんでしたよね、マスター?」

アラン「覚えていたんだね、西野くん。長い目で見れば、地理も不変ではない。万物流転。諸行無常」

リツコ「でも、どうせなら沖ノ鳥島で噴火してくれれば良かったと思わない?」

ケイゴ「たしかに。領海問題も解決して、一石二鳥。そうそう。何とか鳥島という名前は、近代にアホウドリを捕獲し続けた日本人の歴史が関係してるんですよね?」

アラン「その通り。――お帰り、宮部くん」

コユキ「ただいま、淀川さん、栗子さん。――あら、常連さんもいらしてたんですね。今日も玉子サンドですか?」

ケイゴ「そうだよ、バイトくん。同じ店で同じ食事を摂るのが、俺のルーティン・ワークだから。様式美に基づいた儀式さ」

リツコ「ご大層なこと言って。ただのサボタージュじゃないの」

ケイゴ「キツイことを言うなぁ、マドンナさんは。俺は、この茶色い丸パンの玉子サンドを食べないと、午後から調子が出ないというのに。コンビニで売ってるような、ペラペラでパサパサした白パンでは駄目なんだぜ?」

コユキ「素朴な甘みで、飽きの来ない味ですよね」

アラン「全粒粉とライ麦で作ってるからね。工場で作られる大量生産品とは別物だよ」

  *

コユキ「牛乳やマヨネーズは硝子壜入りで、ジャムや練乳は缶入りが良いんですよね?」

アラン「可能な限り、そうしたいと思っている」

コユキ「それで角砂糖とラテは、シュガー・ポットとミルク・ピッチャーに補給する、と」

アラン「手間を掛けされて申し訳ないけれども、僕はスティック・シュガーやポーション・パックを使いたくないんだ。カウンターやテーブルに、紙製の空き袋やプラスチック製の空き容器が転がっているのは、美観を損ねるからね」

コユキ「徹底してますね」

アラン「壜や缶は、砕いたり潰したりして再び容器の原料として生まれ変わるが、紙パックやペット・ボトルやトレーは、リサイクルしても全く同じ容器を作れないからね」

コユキ「別の製品になるか、部分的に再利用されるか、ですね」

アラン「軽くて丈夫だから、輸送用の仮容器としては優秀だろうけど、一人前の容器として認めたくないんだ」

コユキ「経済成長のエゴと、環境保護のエコですね」


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