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#034「ティーン・エイジャーまで」

コユキ「明けましておめでとうございます」

アラン「明けましておめでとう」

リツコ「おめでとう。今年も、よろしく」

コユキ「よろしくお願いします」

アラン「こちらこそ、よろしく。――それでは、栗子くん」

リツコ「例の物ね。――はい、小雪ちゃん」

コユキ「お年玉ですか。ありがとうございます」

アラン「大した額ではないけどね。ほんの気持ちだけ」

リツコ「少し遅いボーナスだと思ってちょうだい」

コユキ「嬉しいんですけど、本当に頂いて良いんでしょうか? もう子供ではない気がしますけど」

アラン「未成年だから良いんだよ。――そう思うだろう?」

リツコ「えぇ。あたしたちから見れば、小雪ちゃんは、まだまだ子供よ」

  *

コユキ「黒豆、数の子、田作り、叩き牛蒡、紅白蒲鉾、伊達巻、栗金団、お多福豆」

リツコ「鰤の照り焼き、鯛の塩焼き、海老の姿蒸し、紅白膾、長老喜、酢蓮」

アラン「昆布巻き、陣笠椎茸、楯豆腐、手綱蒟蒻、芽出し慈姑、花蓮根、矢羽根蓮根、八ッ頭、金柑、梅花人参」

コユキ「本格的な御節料理になりましたねぇ」

リツコ「どれも亜嵐さんのご実家から送られて来たものよね」

アラン「材料だけでは飽き足らず、ご丁寧に重箱や巻き簾や抜き型まで送って来るんだからなぁ」

コユキ「臼と杵までは同封されてませんでしたね」

リツコ「さすがに、そこまではしないわよ」

アラン「イングリッシュ・ガーデンで餅つき大会するのは御免だよ」

  *

リツコ「お汁粉が出来たわよ」

コユキ「わぁ、美味しそう。丸餅で漉し餡なんですね」

アラン「田舎汁粉は、小豆の皮が気になるし、角餅は、熱の通りが均一にならないから、あまり好きでは無いんだ」

リツコ「あたしは、きな粉餅や善哉のほうが好きなんだけどね。――そうそう。あとでアレを持って行ってあげてね」

コユキ「はい。――お海苔で巻いて、磯辺焼きにしても美味しいですよね」

アラン「砂糖醤油や味醂でも良いし、七味や柚子胡椒でも良いね。――渡すだけで良いから。すぐに戻っておいでよ」

  *

ケイゴ「コレ、すべて一から作ったんだ。凄いなぁ、バイトくん」

コユキ「いえ。調理の大半は、淀川さんと栗子さんですよ。わたしは、材料を切ったり火加減を調節したりしたくらいです」

ケイゴ「いやいや。それでも手伝うだけ偉いよ。立派だね。――おや? それは何だい?」

コユキ「あぁ、これですか? 今朝、お二人から頂いたんです」

ケイゴ「お年玉か。俺も手伝いに行ってたら貰えたのかなぁ」

コユキ「常連さんは成人されてますからねぇ」

ケイゴ「やっぱり駄目か。子供は良いよなぁ」


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