表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/36

#011「烏滸がましさ」

リツコ「あれから、今年で十年。亜嵐さんは、あたしとの約束を覚えているのかしら?」

  *

ケイゴ「名古屋が降格か」

コユキ「サッカーの記事ですね。気になりますか、常連さん?」

ケイゴ「中学・高校時代は、サッカー部だったからね。ボールは友達さ」

コユキ「友達を足蹴にして良いんですか?」

ケイゴ「そういうスポーツなんだから良いんだよ、バイトくん。それに、小脇に抱える訳にいかないだろう?」

コユキ「それだと、ラグビーになってしまいますね」

ケイゴ「そうだろう。何にせよ、俺にとってサッカーは、青春の一頁なんだ」

コユキ「充実した学校生活を送ってたんですね」

ケイゴ「それなりだよ。ところで、バイトくんの初恋は、いつだ?」

コユキ「何ですか、急に」

ケイゴ「今の俺の話とも関係するんだ。セク・ハラだと思わずに答えてくれよ」

コユキ「その発言がセク・ハラな気がしますけど、まぁ良いでしょう。小学五年の秋に、転入生の男の子に一目惚れしたんです。半年足らずで転校してしまったので、手も握れないままでした」

ケイゴ「甘酸っぱいねぇ。バイトくんも、ちゃんと青春してるじゃないか」

コユキ「十人並みですよ。この話が、さっきの常連さんの話と、どう繋がるんですか?」

ケイゴ「俺の初恋は中学二年の春で、相手は一学年下の女子マネージャーだったんだ。忙しい練習や試合の合間を縫って、二人で手を繋いで遊園地や映画館でデートしてさぁ」

コユキ「それから、どうなったんですか?」

ケイゴ「俺が三年の夏に引退して受験勉強で忙しくなってから、段々と疎遠になって自然消滅したよ。どこか苦味や痛みを伴うものだったなぁ」

コユキ「やっぱり、初恋は叶わないものなんでしょうか?」

ケイゴ「そのほうが、お互いのためだって言うけど、どうなんだろうなぁ」

コユキ「純粋な気持ちは、いずれ変わってしまうものだから、とも言いますよね」

ケイゴ「例外も存在するけどな。それも、俺たちのすごく身近に」

コユキ「えっ。誰ですか?」

ケイゴ「ちょっと、耳を貸してごらん」

――ケイゴ、コユキに耳打ち。

コユキ「えっ! あの二人、そんな約束をしてるんですか? それとも、いつもの冗談なんですか?」

ケイゴ「いやいや。この話は本当だよ」

コユキ「ただならぬ間柄だとは思ってましたけど、まさか」

ケイゴ「事実は、小説より奇なり。動きがあるとすれば、これから二ヶ月足らずのあいだだと思うんだ」

コユキ「それとなく応援したいところですね」

ケイゴ「少なくとも、差し出がましいことをして、邪魔立てしないようにしないといけないな」

  *

アラン「十年経っても、お互いの気持ちが変わらなかったら、そのときは結婚しよう。あの聖夜の約束から、今年で十年。もっと長いものだと思っていたが、月日が経つのは早いものだ。阿笠くんは、どう思っているのだろう?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ