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第5話 それぞれの覚悟

 「じゃあ、他国のエントリーする代表の名前と特徴を教えてくれ」

 

 (話を聞いてみないと勝てるかどうか分からないからな)


 「ではそれは私がお話いたしますね。1国目はアーロン王国で代表はベルと言う槍と雷魔法を得意とする恐らくワイド様と同じ勇者ではないかと思われます」

 「なぜ、そう思う」

 「それは魔法を使用する時に、ワイド様と同じく金色に輝いたのです。そして、その一撃で去年私は敗れてしまいました」

 「成程、そいつは要注意と、次は?」

 「次はカーネル王国で代表はワイバーンと言う怪物です。どのようにあの国が手名づけたのか分かりませんが、上位魔物で、火を得意とするドラゴンの一種で空中を飛び回り、知性もかなり高く厄介な相手です」

 「魔物もでんの?因みにこの武闘会は死人は?」

 「これまで出ていませんが、ルール上死んでも相手に瑕疵はありません」

 

 おいおい、まじかよ。死ぬ事もあるのか。まぁいい、俺はリリアに次の国の説明をお願いする。

 

 「最後はグレイ王国で代表は不明です。ここは毎年誰が出てくるのか予想がつかず申し訳ありません。この国もクラウディア王国と同じく、いつも1回戦敗退国だったのですが……何故、今回はこのような総当り戦をお受けしたのでしょうか」


 それは、今回の総当り戦に自信が相当あるんだろうね。これまでの負け分も含めて根こそぎ奪うつもりなんだろう。グレイ王国が一番ある意味要注意だな。しかし、それよりセバスチャンは1回戦負けでそれより強いのばかり出てくるんだろう。


 正直、俺自信ないんだけど……


 「分かった、俺がエントリーしよう。で、大会はいつ?」

 「1週間後です」

 「……1週間?」

 「はい、1週間後です」

 「早すぎるだろ!……まぁいい、それまでゆっくり出来るんだろ?」

 

 その言葉にセバスチャンが反応を見せた。


 「いえ、ワイド様にはこの城の秘密の特訓場に5日間篭って頂きます」

 「まじかよ?セバスチャンはそこに篭ったの?」

 「いえ、私の実力では到底及びませんがワイド様であれば腕試しに丁度いいでしょう。そこで実践の感覚を養っていただきます。ですので今日はゆっくりとお休みください。明日ご案内いたしますので」


 マジかよ……俺今、スキル1個の状態だろ。5日間生きていられるかな。


 「分かった、俺はもう寝るわ。明日よろしく」


 俺は小さく手を振って、食卓の間を出ようとした所、リリアに手を握られ思わず立ち止まる。


 「どうした?」

 

 リリアは俺にいきなり抱きついて耳元で俺だけに聞こえるよう囁いた。


 (少し夜風を浴びたら、後で私の部屋まで来てください。私のお部屋はこのフロアの一番奥の部屋です。お待ちしていますね)


 そう言うと俺から離れ、再び席に着いた。俺は後で行けばいいって事だと解釈し一度この部屋を出て

再び誰もいない椅子のある場所へと向かった。


 ここに来るのは本日2回目だが、案の定、人は誰もいなかった。誰もいない椅子に俺は1人横になり、再び夜空を見上げた。


 同じ異世界の人間、ワイバーン、得たいの知れない相手と俺はまだ出会った事もない相手と次の対戦が決まってしまった。とは言え俺は転生とは言え、召喚された身なのでいざとなれば行方を眩ませるのもありだろうと思っていた。ぼんやりと星を眺めていたが、1時間程過ぎたであろうと思い先程リリアに呼ばれたので部屋に行く事にした。


 リリアの部屋に着くと閉まっている扉を3回ノックした。すると奥から扉が開き、リリアが招き入れてくれるなり再び俺に抱きついてきた。部屋に明かりは灯っていない。月は明るくうっすらと部屋の中を照らしている。リリアをよく見るとネグリジェ1枚しか着ていなかった。リリアの潤んだ瞳に吸い込まれるように俺は唇を重ねた。リリアの抵抗する様子はなかったので、そのままベッドまでリリアを誘導し押し倒した。


 リリアはそっと目を閉じた。俺はそこでこれはそういう事だろうと確信し、その日彼女の全てを手に掛けようとしたがやめた。リリアは拒みはしないものの身体は小さく震えていた。


 「やめた」

 「えっ?どうしたのですか?」


 リリアは目を開き、思いもしない言葉に戸惑いを隠せなかったようだが、俺は言葉を続けた。


 「リリアの覚悟は受け取った。だけど君がそこまでする必要はない。リリアが俺の事を本気で好きになったら、その時もう一度声をかけてくれ」

 「でも、あなたは国のために闘ってくれると言うのに私が何もしないと言うのは。それに万が一負けてしまったら、私は王女ではなくなり奴隷落ちしてしまいます……」

 「大丈夫、勝つから。何も心配するな。だから今はこれだけでいい」


 俺はそう言うと、リリアと唇を重ね部屋を去った。女に恥をかかせてしまたったのかどうかは分からないが今はこれでいいのだと思う事にし、セバスチャンの部屋を探し始めた。


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