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プロローグ 第1の人生さようなら、第2の人生こんにちは

 ……終わった。


 最後に頭の中で呟いたのはその一言だった。


 私、只野広(タダノヒロシ)、27歳はこれまで平凡な人生を歩んでおり、これからも平凡な人生を全うするものと思っていたのですが突如、不慮の事故であっけなく生を遂げてしまいました。まさか、しゃっくりで死んでしまうなど、誰が想像したでしょう。


―シャックリ


―――シャックリ


―――――――ポックリ



 「……って納得できるかぁ!!あんな死に方ってあれ?」


 知ってる天井だ。どうやら俺は夢を見ていたようで、自分の部屋である事を認識すると、さっきのはだったのかとほっと胸を撫で下ろすと、突如背後から女性の声がした。


「ホッとした所、残念だけど君はもう死んでるんだな。ここは君が最後にいた世界を再現した、生と死の間にある精神世界だ。」


 自室から見知らぬ女性の声が聞こえ、俺は身体をビクッと震わせおそるおそる後ろを振り向き、振り絞って声を何とか出した。


 「だ、誰なんでしょうか?」

 「わ・た・し・よ、わたし」


 そう言いながら光の中から白い羽衣を着た金色の長い髪をした女性が姿を現した。


 「か、神様?」

 「ブッブー、ハッズレーー。私は女神でしたぁ。ボーナス付与ポイント減点1よ」


 女神は嬉しそうに長い髪を揺らしながら、腰を振り振りし俺に向かってビシッと人差し指を突き立てると

口元は


 「えっ?クイズなの?減点方式なの?もう始まってるの?」

 「えぇ、そうよ、そうよ、そうよ」


 「……」

 「…………減点1よ」

 「……ご丁寧に全部答えてくれてありがとうございます。って沈黙も減点なの?もう少し説明が欲しいんですけど?」


 女神は腰に手を当てやれやれと言った表情で渋々答え始める。俺はその態度に、もうこの人何かヤダと思った事は内緒だ。


 「仕方ないわね、あなたは死にました。ですが不本意な死であった為、転生ができます。ボーナススキル付与ポイントは5ありますが、減点方式で現在3です。そしてこの説明によって、認識把握能力欠如と言う事で減点2。よって今は1ポイントしか残っていません。これ以上は減らせないからとっとと1つ何か、欲しいスキル選んでさっさと異世界へ行っちまえ!!」


 「最後の方、もう投げやりだな。たったこれだけのやりとりでポイント1になっちゃってるし。てか不本意な死に方って何?」

 「あなたの死は私とダーリンの痴話喧嘩のとばっちりによるものよ」


 俺はあぁそうですかと聞いていたのだが、考え直すとどうしても不に落ちない点があった。


 「――思いっきりお前のせいじゃねーかよ!ポイント返せよ!」

 「男がチマチマと煩いわよ。さっさと決めなさい、じゃないと『好きな時に寝れるスキル』にしちゃうわよ」


 「おい、謝れよ……っていや、それは勘弁。さすがにそれで世の中渡っていける気が全くしない」

 

 (うーん、あんまり時間かけてるとくだらんスキルにされそうだし。かと言ってすぐには思いつかん。一体どうしたものか……)


 俺はしばらく黙り込んで、考えていると女神は痺れを切らし始め地団太を踏み始めた。


 「ったく早くしなさい、もう『好きな時に寝れるかもしれないスキル』にするわよ」

 「ちょっと待って、しかも前よりグレードダウンしてるじゃねーか。分かった、後5分だけ待って、それで決めるから」


 俺はそう言い女神を納得させたが内心はかなり焦っていた。何故なら全然スキルが思いつく様子がなかったからだ。


 (やべぇどうしよう。金持ちスキルはどうだ?駄目だろ。死んだら終わりだ。じゃあ不死のスキル?生への執着が無くなる。最強の武器、最強の盾、最強の俺……全然駄目だろ、最強の俺スキルって全然意味分からねーよ。やばいよ、やばいよーーー。)


 「あっじゃあ『女神が妻になるスキル』がいいです」


 するとどうでしょう、女神の顔色は見る見る内に代わり、それはもういつしか、クラスの女子を全員敵に回してしまったあの時の女子全員からの冷やかな眼差しと同じ目をしていた。


 「私はダーリンがいると言ったばかりであろう。私が美しすぎるが故にその発言をする事も納得はできる。しかし、それはスキルではなく権利だろう、却下だ。やはり--」


 俺は内心、この女神うぜーと思いながらも、しょうもないスキルを宣告される前にとっとと決めてしまおうと思った時、自分の中に眠る孔明が囁いた。


 (決めているのは女神。そうジャッジだ、それをスキルにしよう)

 

 「そうだ、『ジャッジメント・スキル』にしてくれ」

 「ほう、審判を下すスキルか。いいだろう」


 女神はそういうと両手を天井にかざすと溢れんばかりの光に部屋中が包まれる。温かい光に包まれ、意識が遠のいていく中で最後の女神の声が耳に届く。


「文明がある程度進んだ時代に行けるといいな」


 おいおい、嫌な事捨て台詞のように吐くなよと最後に思うと意識はそこで完全に途絶えた。



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