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5章

他愛もない日常が流れた。正直特筆することは何もない。そのためか俺の時間感覚は鈍く、時間が早く進む。

現在時刻は7時52分。俺の片手には光り物、目の前にはごろんと転がる肉塊。光物と言っても秋刀魚や鯖の類ではない。今目の前に広がっているのはそんな平和的な日本の朝食風景とは似ても似つかぬ、地獄絵図であった。


12時間前に遡る。俺は父とリビングのテーブルを挟んでいた。一方的に罵声を浴びせられ、俺は俯きただただ頷いてばかりいた。

「おい聞いてんのか!あぁン?」

内容は父の預金通帳がなくなったというもので、前にもよくあった。

その全てが今まで父の部屋から見つかっており、今回も例に漏れずただ単に無くしただけだろうと踏んでいた。


「てめぇがとって遊びに使ったんじゃねえのかよぉ?おい!」

勿論そんなわけもなく俺は否定した。

しかし父はそれが気に触れたらしく、俺に殴り掛かってきた。


そして一通り殴られ蹴られ、俺の意識が朦朧となった。父がなにか叫んでいたが何も考えられず、ただただそこに横たわっていた。

すると父は徐に一升瓶を取り出しそれを大きく振りかぶった。


そこからはあまり良く覚えていない。

気づけば朝陽が昇っており、俺は包丁と死体に囲まれて目が覚めた。

「なんだ…これ…」

フローリングにはどす黒く固まった血が散乱しており、俺の部屋着は鬼を彷彿とさせるような赤黒に染まっていた。

そして死体に目を向けた。それは正しく父であった。目は潰され、頬は貫かれ、頭からは桃色の物体が飛び出ていた。俺はその場に嘔吐した。

散々グロいゲームはしてきたが、リアルで見ると辛いものだな、とどうでもいいことをまた考えた。

その時点で俺の思考は止まり、自室に戻った。制服に着替え、リビングに戻ることなく家を後にした。


現実逃避でも、自首する訳でもない。なにも考えず、いつも道理の行動をとっただけだった。


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