表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

彼と彼女【短編集】

日常に僅かばかりの

 また、終焉に一歩近付く。






 嵐が紛れた画面では、世界一の面積を誇る国に隕石が落ちたというニュースが流れている。


「また?」


 飲みかけのポカリを手に持ったままの彼女を、ベッドに横たわりながら見上げる。


「ごはん、まだ?」

「あるよ」


 はい、ともう片方の手に乗っていた深皿がローテーブルに置かれる。乾燥野菜と缶詰の肉しか入っていない和風パスタ。食糧難の今にあって、贅沢な食事を口に運ぶ。


 餌付けされてんじゃん。


 付き合い初めてまだ一か月の自分の状況を見て、クスリと笑う。不思議と心地良かった。


 半世紀前のツケが全てまわってきた今。生きることが面倒なこの世界で、それでもいつしか笑えるようになっていた。

 テレビではまた、【醒めた目】――過激派の人間が騒いでいた。度重なる隕石は神が人間への鉄槌だと。

 そうかもしれない。だからと云って、彼らが正義のように振る舞う理由はわからない。

 チラリと彼女を見ると、彼女は意識して彼を見なかった。【醒めた目】犠牲者の彼女の目を見る勇気は、無い。

 かと云って黙っていることも出来ずに、空になった深皿を押し出す。


「ごはん、まだ?」


 視界の端で、彼女が小さく笑った気がした。

お題は『ごはん、まだ?・餌付けされてんじゃん・醒めた目・隕石・飲みかけのポカリ』ですhttp://shindanmaker.com/35731

少し先、資源が尽きていく世界の設定です。1000字で収まりよくはいかんかった……!

というかお題でだいぶ悩みました。


今年も終わりです。

よいお年を。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ