スマホ!スマホ!スマホ!
ぼてり、とした朱色の夕陽が地球を回転させながら沈んでいく。その被害をこうむる我々文明社会の住民は再びゆっくりと、とてもゆっくりと夜に愛されるだろう。
今日の収穫もごっそり、数件のスマホショップ強盗は大成功だ。
郊外の人気のない河原(川は危険なので子供は遊べない規模)で、僕は白の軽トラの荷台に積まれた山のようなスマホを見て心が満たされた。
マリーも助手席から出てきてウットリと僕を見ながら言った。
「暗くなる前に帰ろうよぅ」
僕らの自宅兼倉庫にはスマホショップより美しく、無数のスマホが展示されている。
何度でも言おう、スマホ、スマホ、スマホ、そしてまたスマホ。
たくさんの人々の英知の結晶スマホ。四方をそのスマホに囲まれて僕とマリーはベッドで抱き合って眠る。SEXはまだだ。でもいつかきっととても自然に僕らは愛を確かめ合うだろう。
これこそが現代社会の真の愛の姿だと確信している。
もう一度言わせてくれ。スマホ、スマホ、スマホ、そしてまたスマホ。
……そして、やっぱりまたスマホ。
……スマホバブルは過ぎたけれど。