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選ぶ。③

「は、話がみえない。よくわからないのですが?

さっきメリイさんの婚約者とかなんとか聞こえたような…。」

ハイドさんは戸惑っている。


「うん、まず私が説明しようか。彼女はね、早急に諸事情で婚約者を立てることになった。」

リード様の発言に、

「え、何でですか?王家が彼女の結婚は保証してるのでは?」

ハイドさんが怒っている。


「ふうっ。色々あってね。とりあえず仮の婚約者を立てることになって。我が父が押し付けてくる者よりも、彼女が選んだ人が良いだろう?」


「何だ、仮ですか。え?彼女が選んだって?」

ハイドさんは目を白黒させている。


「オイ、ハイド。ウチのメリイに不満がアルノカ?」

龍太郎が肩に乗って圧をかける。

「いてて。爪を立てないでっ。あるわけないだろっ。でもさ龍ちゃん嫌じゃないの。」

「ウン、マア。」

キュー。

(我もそなたが良いと思う。シンゴは次点だな。)

「おお!キューちゃんもハイド君が良いと!」

「シンゴくんは次点ですか。」

エドワード様にネモ様。

白狐様の言葉がわかる二人が解説をしている。


「あ!そうか!?シンゴじゃ無くて良いんですか?メリイさん??」

もう。何でそんなこと言うんだろう。

涙が滲んでくる。


「オラ、ハイド。メリイさんに恥をかかせるな!

おまえが良いってさ!」

アンディ様の一喝。また固まるハイドさん。


「…あの。俺は貴女よりも九つも年上で。」

「あら、私とアンディさんも八歳違いよ。」

レイカさんが助け船を出してくれる。

「…怪我もしたから、貴女を守り切れるか自信が無くて。」

「あの時は済まなかった!」

とリード様。

「何イッテル。俺がイルダロ?俺が守ルヨ。」

龍太郎があきれている。

「…嫌なんですか?」

更に涙が出てとまらない。

私たちはそれなりに友好的な関係を持てていたと思っていたのに。私の独りよがりなの?


「そんな事は。」


「私は!あの時貴方が死んでしまうかと!また大事な人が居なくなったらどうしようかと!」 

ああ、口から出てしまう。

(良いんだぜ。メリイ。おまえの気持ちは一番わかってる。…俺はどんなに頑張っても龍なんだからな。)

龍太郎の言葉が私の背中を押す。


「今、顔を見て思いました。やはり、ハイドさんが良いんです。

…仮の婚約者でなくて、そのうち本当の婚約者になってくださって構わない。それが私の気持ちなんです。」


静寂と沈黙が落ちた。


パチパチパチパチ。


拍手をしてるのは、リード様。エドワード様、

そしてレイカ様とエリーフラワー様だ。


「お、お。感動したよ、私は!」

リード様は美しい顔を上気させてらっしゃる。

「ううっ。なんかジーンとしたでごわす。」

エドワード様は泣いている。

キュー。

白狐様が涙を舐めている。

(やはり心が綺麗な男だな!エドワードは。)


「乙女心に心が打たれましたわ!ハイドさん!

ちゃんと答えなくては、男じゃなくてよ!」

エリーフラワー様も泣いている。


「うん、なんか甘酸っぱくてジンとした。

自分の時のことを思い出したよ。」

「れ、レイカちゃん、そうよね。」

アンディ様も顔を染めている。

「そうでしたね。レイカさんも結婚の自由を勝ちとってアンディ殿に求婚したんですものね。」

ネモ様が頷く。


「そうだよね、自分で結婚相手を選ぶのは良いんだからね。」

リード様が頷く。


「ま、待ってくださいっ!妹の気持ちは分かりましたっ!だけどまだ婚約者になった訳じゃないでしょう!ハイド君、キミの気持ちはどうなんだ!」


「レプトンサン?シスコンは見っともないゼ。」

「り、龍ちゃん。」


「あの、私は。突然の事で混乱していまして。

妻子を亡くしてからとんと、そっちの感情には疎くなっていて。」

ハイドさんが言葉を絞り出す。


「自分でも空っぽなヤツだと思います。

だからその。何と言うか。」

「嫌なんですか?」

「…そんなことはありません!そんなことは。

貴女は私に生きろと、ちゃんと生きろと。

怒ってくれました。

そのとき、心に火が灯った気がしました。」

そこでハイドさんは私をじっと見る。


「そのあと看病に連日来て下さいましたね。

少しずつ温かいものが満ちていって。

まだこの世も捨てたものじゃないと。」


ハイドさんの端正な顔にはいつもと違って赤みがさしている。

「この気持ちがなんなのか。貴女を見ると幸せな気持ちになるんです。

貴女と龍太郎君を見ると幸せだった若い頃を思い出すんですよ。」


「ウン。メリイの相手はオレを受けいれてくれねえとな。」


「そうだね、龍ちゃん。私は君達を見守ると誓うよ。

喜んでその勤め、承ります。」


「勤めカア。マア今はソレデ良イイサ。」

「はい、宜しくお願いします。ハイドさん。」



「わかった。父上にはその様に報告しよう。

アンディ達という前例もあるし。受け入れられると思うよ。」



リード様のお言葉に一同頷いた。


こうして私に婚約者が出来た。まだ仮なんだけども。


ハイドさんが私を見る目は温かい。




そのうちに本当の婚約者になれるのでしょうか。




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