暖かな木漏れ日の日々
※この作品はカクヨムの方で連載させて頂いている作品です!
そちらの方でしたら最新話まで更新を行っているので、よろしければご覧いただけます!
お願いいたします!
「遥斗はお姉ちゃんが好きなんだよねー?」
ゲームをいじっていた僕、浅井遥斗は、姉である浅井若菜に抱き寄せられた。
まだ幼い小学生の胸であったが、そこには確かに男の子にはない柔らかな感触があった。
「は、はあ?!・・・・はるちゃん?!嘘だよね?!違うよね?わたしだよね?」
完全に頭をホールドされた僕の顔は、今では姉の胸の中。その背後から、悲痛な声を上げる幼馴染の神崎水樹。
彼女はおもちゃをとられたかのように焦りだし、大慌てで僕の体を若菜から引きはがそうとした。
「若菜!離して!」
「えー?でも遥斗はここが良いって」
実際ここがいい。
どうあっても離れないとわかった水樹は、ならば自分もと、背中から僕に抱きついた。
美少女にサンドウィッチ。あいだに挟まる僕。
「遥斗ー。お姉ちゃんと一緒にいようね?」
「やだやだ。はるちゃん・・・や、やあ・・・」
当時の僕には下心というものが無くて、ただ純粋な好きがあっただけだった。
キスが最大の愛情表現であると疑わなかったお年頃。
今の僕からして見れば、あの時なんでもう少し楽しんでおかなかったんだろうなあ、と悔やむ毎日。
「お姉ちゃん、ゲームがやりにくい」
右腕にしがみつく姉に向かって言った。
「ダーメ。遥斗はお姉ちゃんのだから。はい、あーん」
真夏の日差しが、ベランダから差し込んで、冷房の効いた室内を照らす。
ただでさえ、薄着なんだから、肌の密着面積がすごい。
姉は僕に向かって、すくったアイスを差し出してきた。
「水樹、離れて」
左腕にしがみつく水樹に向かって言った。
「い、イヤァッ!はるちゃんはもうわたしのだから!ねえ捨てないよね?これからも一緒だよね?はるちゃんもわたしのこと好きだよね?」
僕の発言をどう受け取ったのか、幼稚園児にして独占力を発揮した水樹は、がっちりと僕の左腕をホールドする。
それはまだ僕達が周りの目を気にせずに、ただ純粋にお互いを好きと言い合えた頃で、まさかこれが永遠ではなかったなんて、このときはつゆほども思っていなかった。
後悔は先に立たなくて、ある時期から、姉である若菜は僕への甘やかしが収まって(けれど人がいなければいつも通りになる)、水樹もなんだかよそよそしくなって(けれど人がいなければ問答無用で胸に飛び込んでくる)。
僕は周囲の会話から、なんとなく、今までが普通ではなかったんだと悟った。
寂しかった。悲しかった。変わってしまった。
けれどそれでもまだマシな方だったのだ。
秘密にすることが前提だったけど、それは十分に贅沢だったのだ。
僕と水樹が中学三年生の頃。
——————————姉は部屋に引きこもった。
※暖かな春日和となった昨今、皆さまは多忙が極まっているかと存じます。
ですのでそんな「自分には時間がねえよ!」という御方は、
これから投稿させていただく、
【第一章 あなたの好きなモノ】
「灰色の日常 持つべきではない想い」に加えて「姉を嫌いになりたくない」をお読みになった後は、
【最終 第Ⅰ章 あまねくすべては その星(歌) に】から読み進めて頂ければよろしいかと存じます。
皆様の貴重なお時間を頂くのです。それが苦痛の伴うものになってはいけません。
紹介文や話などにも、適宜に修正を加え、今までの概要を記載しようかと考えていますので、
ご了承のほど、宜しくお願い致します。
皆様がストレスを感じることなく、純粋に物語を楽しんでいただく、それが私の一番の喜びでございます。