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第30話 パーティについて2

 今日もリオン達と魔物討伐に来ていた。

 周りには既に、ホブゴブリンの死体が六体転がっている。これらはエリンやリオン達と共に協力して倒したものだ。


「ふぅ、なんとかなったね」


 リオンが隣で軽くかいた汗を拭っている。


「そうだな」


 特に苦戦することもなく安定した戦いだった。一緒に戦ってみた限り、やはり相性は悪くないようだ。

 相変わらずエリンとリオンの連携はうまく行っていた。前回俺は一人でホブゴブリンを一体倒してしまったが、今回は連携を意識して戦ってみた結果、俺もリオン達との連携は上手く行っていたと思う。

 道中雑談をしてみたが、嫌な感じはしなかった。リオンは見た目通り好青年といった印象は変わらないし、モルナは相変わらずあざといが、無意味にべたべたくっついてこなくなった。以前言ったことを意識してくれているようだ。

 三人と会話してみても正直悪い気はしなかった。

 改めてリオン、モルナ、キーラの三人をに視線を向ける。

 この世界は俺が転生する前に読んだ作品ということは間違い無いが、だからといって全てが同じわけではない。

 原作では無残に魔物によって殺されるはずだったエリンは今も元気に生きている。

 出会うはずではなかった聖女とも村で会うことになった。

 違う部分が出てきている。


 なら、リオン達は?


 原作と違うならこの三人だって違うかも知れない。

 そんな考えが俺の中に浮かんでくる。


「どうしたの? 難しい顔しているよ?」


 いつの間にか近くに来ていたエリンが不安そうに覗き込んでくる

 考え事をしていたせいで顔に出てしまったようだ


「いや、ちょっと考え事を……」


「考え事?」


「あぁ、リオンやモルナの力と違ってキーラの力は分かりづらいなって……」


「あー……」


 誤魔化すように言い訳のようなものを口にする。

 とっさに出た事だからと言って嘘というわけではない。エリンも似たようなことを考えていたのか、曖昧な笑みを浮かべる。

 俺とエリンの会話にリオンが入ってくる。


「たしかに、この辺の魔物の強さだとキーラの力は分かりづらいよね」


 そうなのだ。この辺の魔物はあまり強くない。ホブゴブリン程度なら一人でも問題ない。数が増えれば厄介だが、それだけだ。

 盾役のキーラはこの辺での出番は少ない。せいぜいモルナが魔法を放つ準備が整うまで、魔物の意識を自分に集めているくらいだ。

 だが、敵の意識をモルナから自分に集中させるくらいなら俺にも出来る。


「キーラの力を分かってもらうために、僕に良い考えがあるよ」


「良い考えってなんだ?」


「それはね、アレス自身がキーラに攻撃してみればいいんだよ。そうすればキーラの防御力の高さが分かると思うよ」


 なるほどその手があったか……


「でも、いいのか?」


 確認するようにキーラに視線を向ける。


「構わない。それで分かるのであればやってくれ」


 キーラからも許可が出たのでやってみることにする。

 キーラが少し離れたところでその大きな盾を構える。


 攻撃は剣ではなく拳で良いだろう。

 腰を落とし拳を構える。

 自分の加護に干渉し効力を高め、拳の威力を上げる。

 タイミングを見計らいキーラの持つ盾に向かって拳を放つ。


「ハッ」


 ガンッと鈍い音が響き渡る。殴った衝撃で手に振動が伝わる。軽く腕が痺れている。

 殴られたキーラは倒れはしなかったが後ろに数歩下がり止まった。

 結構強く殴ったはずだが受け止められてしまった。


 武神の加護を持つ俺ならば拳で岩を壊すことが出来るくらいには威力があったはずだ。それを軽々受け止めるとはかなりの防御力だ。


「固いな……」


 俺はキーラの強さを実感できたこの結果に満足していると、驚いた表情をしているリオンとモルナの姿が視界に入る


「どうしたんだ」


「……いや、僕とキーラは昔からの知り合いだから、キーラの防御力の高さはよく知っている。そんなキーラが拳ひとつで後ろに数歩下がったところなんてこれまで見たことがなかったから、驚いているんだよ」


「流石です、アレス様!」


 構えを解いたキーラがこちらに近づいてくる。


「流石勇者だな。まさか推し負けるとは……」


「キーラの防御力もかなりのものだった。疑うようなことを言って悪かった」


「気にする必要はない」


 予想外の方法だったが、キーラの実力も知ることができてよかった。


「今日はこのくらいで終わりにしようか」


「そうだな」


「それなら、このあと皆さんで食事などいかがでしょう?」


 今日はまだお昼を少し過ぎたくらいの時間だ。ちょうど腹が空いてきた頃だ。モルナの提案はナイスなタイミングだ。

 前回食事に誘ってくれて断ったままだ。それにリオン達とゆっくり話すにはちょうど良い機会かも知れない。

 ちらりとエリンの方を見ると笑顔で頷いている。

 エリンも行きたいようだ。


「ちょうど良い時間だし皆んなで食事にしよう」


「本当ですか?! ありがとうございます!」


 いつまでも保留のままにはしていられない。なるべく早く答えを出さなくては。

 俺たちは街に向かって歩き出した。


 ◆◆◆◆


 街に戻ってきた俺たちは昼食を取るために店を訪れていた。

 そこは冒険者達が集まる店だ。この国には冒険者のための店は少なくない。

 質よりも量を意識したお店だ。冒険者は総じて食べる量が多い。だからこそ手頃な値段でたくさんの量を食べられる店が自然と人気が出るのだ。

 目の前にある料理もなかなかの量だ。量が多いからと言って不味いわけではない。普通に美味しいと思う。

 量は多いが、戦闘を終えた今ならばなんの問題もなく食べられるだろう。エリンも昔からよく食べる方だった。その栄養がどこに行っているかは一目瞭然だが……


 少し意外だったのがモルナも俺たちと同じ量の食事を食べていることだ。話によると魔法を使うのにもかなりのエネルギーを使うらしい。


 食事の間はお互い自分たちのことについて話しながら会話に花を咲かせた。

 俺たちは村のことやエリンとの昔話を話し、リオン達からはルーデルス王国についてや、三人の昔話を聞いた。

 こうやって皆んなで食事をするのは久しぶりだ。

 楽しい……そんなふうに感じた。


 食事も終わりに差し掛かった頃、俺は一つの提案をした。


「次の事なんだが、最近森に現れたジャイアントオーガを討伐しに行かないか? それでパーティについて答えを出そうと思う」


 エリンには朝事前に話してある。


「ジャイアントオーガ……なかなかの強敵だね。これまで僕たちが一緒に戦ってきた魔物と比べても明らかに強い相手だね」


 でも、とリオンが続ける。


「勇者のパーティになるんだからそれくらい倒せないとダメだよね。もちろん一緒に行くよ」


「私も精一杯お力になります」


 キーラも頷いている。

 答えは出た。

 明日の戦いで決めよう。最後の一口を大きく頬張った。

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― 新着の感想 ―
[一言] 主人公の加護は武神の加護なのかね?
[気になる点] 原作は原作とはいえ、かかってるのは自分の命なのにリスクを避けない意味がわかりません。 三人は他より能力が高くても勇者のようにどうしてもいなくてはならない存在でなく。 また主人公も彼らと…
[一言] こいつらが駄目な理由って性格や本性なんだから戦闘能力とかどうでもいいだろ むしろ夜中に張り込むとかして決めたほうがよくね こいつらだけで集まって本音出してるかもしれんし
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