NORS
超絶短いけど、研究室で一話作りたいから許してくれ
車を降りると、見慣れた我が家についていた。貴族の家といっても何か特殊な仕掛けや豪邸なわけではなく、ただの四角いコンクリ住宅だ。友達が居た頃は来た時にガックリもされた記憶がある。
豪邸なんて土地や家自体に掛かる固定資産税がバカ高くなるから建てるわけがない。
固定資産税って毎年引かれるんだぞお金がもったいないだろ。政府指定の貴族といっても、毎年毎年存続しているだけでお金がもらえるわけではないのである。
むしろ、戦力が流出しない為に他国に渡ることが禁止、軍役が義務付けられているなどデメリットしかない。本物の貴族というとカッコイイしファビラスな感じがするが、その実基本的人権が制限されているだけの存在なのだ。
ニクリア家の運動増大魔術は攻撃力が高すぎるし、スノウ家の運動減退魔術は無敵すぎる。他の家は言わずもがななので、日英連合政府の気持ちはわからなくない。どれかの家が消えて敵についたらと思うとゾっとする。
白兵戦最強と言われるニンジャ一族とオンミョージ一族でも、奇跡が起きて耐えきれるかどうかといった所だろう。
話を戻すと要するに無駄にできるお金は家にはないのだ。それを示すかのように、今いるリビングはテーブルクロスが掛かっている長机、暖炉にテレビと至って普通の構成である。交流があるのでメイドと執事、料理人を一人ずつ雇っているが逆に言えば一人ずつだけだ。必要最低限の量である。
「お兄ちゃ~ん、ランク4の魔術入れて~~うち秘伝の奴」
甘ったるい声で妹はそう言う。妹お得意の甘えるだ、なぜか0歳から育ててきている両親は騙されるが、俺はそうはいかないぞ。
「お前にそんな危険な奴入れれるわけねぇだろ!しかも、俺知らないし」
「え、知らないの?あのお兄ちゃんが?」
「そういう風に煽っても出てこないぞ。そもそも、ランク3の念力領域すらお前マスターしてないだろ」
「うぐっ……」
「あれをマスター出来ないことにはランク4の兵器軍団や念力爆波は使いこなせないから危険だぞ」
飽き性の妹にも困り者だな。確かにランクの高い魔術は強いけど、ランク3も安定して使えない奴がランク4魔術をセットしてもその分の記憶領域が無駄になるだけである。特にランク3とランク4の間には隔絶した難易度の差があるのでランク4から使えるようになるといった希望もほとんどない。
ちなみに俺も脳の構造上通常の魔術はランク2までしか使用することができない。普通の魔術師が使えるレベルがランク3なので、ランク4というのはそれだけの難易度を誇るわけだ。
「お前は素質的にはランク4は確実に使えるんだから、しっかりランク3を使えるようになってから練習しような」
「はーい....」
「念力領域を簡単にしたやつを入れてあげるからコツをそれで掴めよ」
「ありがと!」
一転して元気になった妹からMSTを受け取る。調子のいい奴だな。じゃあ早速、研究室に行って、魔術に制限を加えて改変してくるか。
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