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在校生総代

 ここで服部は拍手喝采を浴びたという訳ではなくて、パチパチとまばらに拍手がされるだけだった。圧倒されて皆、拍手を忘れているのだ。逆説的に言えば今拍手をしているのは圧倒されず平然と受けていた人たちということである。

 やはり魔術学院の最高峰というだけあって、2,3年生や教師陣の中には凄い人材がゴロゴロと居るようだ。その代表という人物が今、呼ばれる。


「次は在校生代表 マイト・ニクリア君による在校生代表挨拶です」


 先ほどのこともあり、身構えていた俺は生徒会長のあまりにも自然なオーラに拍子抜けをした。みんな同じことを思ったのか先ほどの異様な空気感から一転して弛緩した空気が流れる。

 乱れているということもなければ、洗練されているとも感じない至って普通の歩き方だ。ただ、そう思った瞬間に何か違和感を感じた。もちろん、最強の男の平凡さにも違和感があるが、それ……


「いやあ、気づいた人は居たかな。在校生代表、生徒会長のマイト・ニクリアです。」


 それを聞いたとき、違和感の正体に気づく。魔力を感じていたのだ。俺は魔力に干渉することに特化しているため、魔力に敏感である。だから、今歩いているのは会長の魔術だと無意識に感じ取っていたのだ。

 それを裏付けるように会長がパチンと指を鳴らすと、まるでそこには何もなかったかのようにデコイは雲散霧消した。どうなっているんだこの魔術は。この魔法のような魔術は魔術大全には記録されていない魔術である。


 運動増大魔術が関わっているのは間違いないだろうが、そう考えるとさらにわからなくなってくる。別の国の幻覚を見せる魔術や光を屈折させる魔術の方がまだわかりそうだ。

 隣の服部はショックを受けたような顔をしている。そういうのはニンジャのお家芸じゃないか。そんなことを考えていると、マイト・ニクリアは畳みかけるように新しい魔術を起動した。オーソドックスな火の玉を出す魔術だ。


……それを3つ完全ランダムに動かしてるけど。


 魔術同時起動はまだ成功してない技術だ(脳は一つしかないから難しい)。つまり、あれは疑似並列起動をしていることになる。NORSの中でも天才が行える技術、天才に属する中の天才が行える技術だ。

 技術の原理自体は簡単である。他に起動している魔術の処理を7㎳(魔法が消えない時間)以内に終わらせて切り替え、その魔術の処理を7㎳に終わらせて切り替えることを繰り返すだけである。

 魔術処理分野の処理能力を著しく要求される技術なのだ。


「服部君だけじゃなくて、みんなにも最強を目指して欲しいからわかりやすく目安を置いておこう。では、挨拶に戻ろう」


 何でもないような風に言い、会長、マイト・ニクリアは挨拶に戻った。

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