おいわいをぷれぜんと?
「……あ~。思い出すな~……。」
「!」
傍ら、フィーさんたちもまた、感傷に浸るように言う。
「あれすごかったよな。特に撤退作戦。」
「ああ。攻撃が酷くてさ。味方の、いくつもの艦隊がやられていて。んで、残された兵力で、相手を牽制しつつ、って。」
遠くを見るような目をして。
「だがよ!うちらの航空隊頑張ったよな!あれこそ、一騎当千とか、何とか、思ってしまったわけよ。」
「それそれ。ガントの速射とか。短い時間で5機撃墜とか、シールドのまとめて対空砲火の餌にしたり。ソードによる超回避で敵さん同士討ちとか。最早、異次元だったなありゃ。たった数機で、相手側の艦載機を相手取って勝つもんだからさ。やっぱり、エースだよな!」
感傷を続けて述べていくことには。
次第にソード含む航空隊の活躍へとシフトしていき。
話を聞く限りでは、相当な活躍だと思う。
たった数機。
そうであっても、戦力差を物ともしない実力を、相手に見せつけてきたことから。
やっぱりパイロットというのは伊達ではなかったのだ。
正直、すごいと思う。
それは決して、俺ではできないこと。
自信につながるし。
あの時も自信を振りかざしていたのは、そういうことが根拠にあったから。
「あ!そん時こいつの釣竿役に立ったな!」
「!」
なお、ついでに思い出したらしく。
付け加えとしてフィーさんのエピソードが始まって。
「あー確かに。」
「こいつ、引き揚げの手伝いとしてさ、釣竿持ってきてよ。んで、釣り始めたら、沢山の人救出してんのさ。笑えるだろ?」
「!……え、あ、はい。」
それも、フィーさんが何でも、釣りをして人員を救出したということで。
面白おかしく言い、さらには、俺に振ってきた。
俺は、戸惑いに何とも言えず、もごもご口を動かすばかりだ。
「いいだろー!別に。釣竿も時には人助けになんだかんよ!」
言われたフィーさんは、悪いことじゃないだろうと反発。
「えー?普段はろくでもないもの釣り上げるのに?」
なお、仲間の隊員さんは、訝しげに言って。
「……。」
側で聞いていて俺は、苦笑するしかない。
今朝の一件があって。
まさかとは思うが、普段はあの、マキナを釣り上げたのと同じく。
とんでもないものを釣り上げてしまうのだろうか……。
「へへっ!いいさ!それで表彰されたし!」
開き直ってフィーさんは、自慢げになる。
その救出の甲斐あって、後に表彰されたと。
「へいへい。」
「ま、物は使い様ってことか。」
そう言われるなら、あんまりからかうのもとしてか。
フィーさんの同僚は、呆れながらも頷く。
「うぉおおおお!ふっかーつ!」
「!!」
傍ら、自分の頑張りを思い出したソードが、雄叫び上げつつ、体を起こして。
その手をにぎにぎと開閉して、気合を入れている。
またまた、いきなりなものだから。
フィーさんたちとの他愛のない会話も、どこかへ行ってしまう。
よくソードを見れば、さっきとは異なり、ネガティブの欠片も感じない。
つまりは、言葉通り、復活したのだ。
いつもの、ソードらしい。
「……?」
……いつものソードらしいが。
何か、気合を入れ過ぎてか、髪の毛が逆立っているような気もする。
いつも以上かもしれないね。
「おっと。話が逸れてた、すまない。」
元々、ソードを元気づけるのが目的であったのだ。
逸れたことをフィーさんは詫びてきた。
俺は、首を横に振り、気にしていないと示す。
フィーさんの詫びを目にした後、視線をソードに戻すなら。
すっかり元通り、いや、以上のソード。
気合十分を示している様子。
「……え、ええと。そ、ソード……?」
若干、その気合の入れように引き気味に接するようにしたら。
「にひひっ!」
「ひぃ!!」
振り返り俺を見るなら、ニヤッと笑みを浮かべていて。
ただ、俺はそれが不気味に思えてならず、つい引いてしまった。
「ありがとうな、相棒!元気になったぜ!」
「……え!う~……。あ、うん。わ、分かった。」
俺が引いたにもかかわらず、ソードは近づいてきて。
挙句、手を取って、ブンブン振り回してしまう。
喜んでいるのだが、過剰な気がして。
そうであっても、止めるのも悪く、致し方なく付き合う。
……が、腕に痛みを感じているため、止めた方がよかったのかもしれない。
「は~いはい!そこまで!」
「!」
「うぇ?!」
振り回されて、いい加減限界も近いといったところに。
ビリーさんが手を叩いて止めに入ってくる。
内心、助かったと思ってしまうが。
ソードは、水を差されたと思い、変な声を上げてしまう。
軽く、睨み付けはするが。
「忘れてね~か?哨戒掃海任務!」
ソードの睨みは受け流して、ビリーさんはさらに言ってくる。
ついでに、タブレットを手に取ってもいて。
「!」
俺は、思い出す。
ソードと勝負をする前に、食堂であったことだが。
ソードに対して誰かがそう言葉を振っていたような。
このシミュレーターを使って。
「!!うげぇ!!」
同じく、ソードも思い出した様子。
ばつが悪そうな顔をした。
「あんまり面白くなさそうだな。だ・が・約束だ!」
「ぬぅぅぅ……。聞いてないや、ってすることもできねーか。」
「そんな小細工、通用しねーぞ。ほら、約束だったろ?」
「ぐぬぬぬぬ……。」
ソードの態度も、やっぱり受け流されている。
聞かなかったことにも、できない。
やむを得なく、ソードは呻きながらも、またカプセルの方に戻っていった。
「!またするの?じゃあ、あたしも!!」
「!」
ソードが席につくかつかないかというタイミングで、アビーが声を上げて。
プラス、挙手もしてくる。
どうやら、自分もまた、面白さに参加しようということらしい。
ただ、その割には先ほどの、勝負の際には邪魔せずにいたようだが。
そこは、不思議に思う。
「!お!協力者!」
ビリーさんは耳にして、どこか喜ばしそう。
「やりぃ!俺の仕事なくなる?」
遠くから、ソードが声を上げてくる。
つまらなさそうなことから解放されると、喜んでもいる。
「バカ野郎!おめーさんはここで仕事!」
「えー……!」
なおそれは、ビリーさんにより一蹴される。
ソードからは、ブーイングが飛んできた。
「まあ。ソードさんのことは置いといて。アビーがやるなら、私も参加しちゃおうかしら?」
「!」
ソードのブーイングは放っておいて。
アビーに続くとばかりに、マフィンもまた手を挙げた。
「おー!助かる助かる!」
ビリーさんは耳にして一転、笑みを浮かべて、頷く。
どうやら、今朝の活躍もあって、信頼を抱いている様子だ。
「……!」
「……。」
マフィンの様子を見た次は、俺に視線を向けてきて。
ピンと体を跳ねさせる。何よりも、期待を込めた視線のため、いつも以上に。
「……ええと、俺も……よければ。」
合わせる形になるが、俺もまた、手を挙げる。
「さっすが!」
ビリーさんは聞いて、さらに笑顔になる。
「……と飛び上がって喜びたいが、ウィズの方はほんとにいいのか?」
「!」
と思ったら、一転して、心配してくる。
「……?」
だが、何を心配しているのかよく分からない。首を傾げてしまう。
「……いや、さ。エースパイロット相手に、あんな大立ち回りといい、機体で宙返りといいで。結構体に負担がかかっただろう?休憩なしで大丈夫か?」
「!」
ビリーさんが心配したことは、体への負担。
いくら仮想であっても、体への負担は決してゼロではない。
俺自身はまだ、よく分かっていないのだが、どうなのか?
「……。」
軽く、口に手を添えて、思考することには。
「よくわっかんないや……。」
けれども、回答は出なくて。ただ首を傾げる。
「じゃあ、私が診断しましょうか?」
「!」
分からないでいるなら。
助け舟としてマフィンがまた、手を挙げてきた。
「……。」
マフィンが言うならと、俺は否定せずに、頷いて。
気後れなんてしない仲だし。
俺の頷きを見るなら、マフィンは寄ってきて。
「!!」
触りだすのだが、俺はつい、恥ずかしさ感じ。
赤面に加えて、緊張に、ごくりと喉を鳴らしてしまう。
「はぁ……。」
マフィンは俺の様子を見て、呆れに溜息をつく。
「別に知ったる仲でしょ?そんな緊張しないで。」
「……う、はい。」
俺の緊張はやはり見抜かれている。
呆れに一言言われて、それでなお、俺は緊張に返事するしかできない。
「……ん~。疲労があるぐらいの問題かしら?筋肉に疲労を感じるけど。まあ特に問題なしね。」
「!」
マフィンが診断することには、疲労がある程度であり、特段の問題はない。
「……ありがとう。」
分かったなら俺は、マフィンにお礼を言う。
「いいわよ。いつものことだし。」
言われたマフィンは、いつも通りだとして、受け流す。
「……。」
マフィンがそう言うなら、追及もするまい。
俺は、恥ずかしさ拭い落として、向き直る。
「お!どうだった?」
ビリーさんが、そのタイミングで俺に顔を向けて言ってくることには。
「大丈夫、だそうです。まあ、疲労はありますが、問題はないと。」
聞いてきたことは、先の体調のことだと。俺は、答えを言う。
「そっか!」
答えを聞くなり、ビリーさんは顔をぱっと明るくさせてくる。
「んじゃあ、まあ。3人加わるなら、助かるぜ!……ちょっと待ってて!」
「!はい。」
助かると続けるなら、ビリーさんは準備があるとして、別件、通信を入れる。
「トム!とーーーむ!!いる?」
《いるぜ!いつでも動かせる!何だ?今からどっかの基地に爆撃でもしにいくのか?喜んで!》
「ば、バカ!!どっかの基地って、ここら辺のは全部味方だぞ!!そんなことで行ったら、艦隊が全滅しちまう!!」
《じゃあ、墓には味方を撃った大バカ野郎と書いてやるぜ!》
「……?」
甲板作業員の、トムさん宛てのようだ。
だが、今朝とかは音声なんて漏れ聞こえていなかったはずだけど。
その辺の不思議さに、つい首を傾げてしまう。
「?!」
と、していた矢先に、高い所のモニターが点灯する。
やがて、海原映す、広大な飛行甲板の絵が映し出された。
《おっと!映ってる?》
「!」
画面の先から、トムさんの声が響く。
「ばっちり。てかどうした?いつもだったら、こんなことしないのに?」
《いやいやぁ~。ウィズの勝利を祝したくてってのもあってな。見せないと分からない物を用意していてさ、だから、な!》
「……ほ~ん?どんな?」
《まあまあ、待ってなって。》
「……!」
どうやら、理由はあるようだ。
ビリーさんが聞くと、何かがあるとして、トムさんは用意しているみたい。
何だろうかは、気になってくる。
ふと、画面が動く。
例えば、カメラを移動させたみたいな動きで。
「!!」
そうして、動きが止まるなら、ある物が映し出される。
それは、ウィングビット。
だが、ただのウィングビットじゃないようだ。
トムさんの手が、映り込んで、それをひっくり返すなら。
そこには、丁寧に描かれた、杖のマークがあって。
加えて、何を表しているか知らないが。
円形のポイントが規則正しく、マークの側に添えられている。




