ふっかつのそーどちゃん!
主翼はもげて、胴体も酷い状態。
それを、塗装で再現すると、格好がいいというより、痛々しくあるような。
その点は、ソードの気持ちが分かるような気がして、痛み入る、
「……ぬぬぬぬぬ……。それもこれも……!」
「?!」
愚痴のような悲壮の言葉を述べ切った後。
一転、ソードは、マグマが蠢くような感じで震えだし。
急なそれに、嫌な予感がするなら俺は、翻って。
素早く後退するなら、身構えてしまう。
「うぃざぁぁぁどぉぉぉ!!お前のせいだ!!食べちゃうぞーーー!!」
「?!うおぁああああ!!食べないでください?!」
後退したタイミングで、噴火の勢いよろしく。
ソードはがばっと振り返り、体を上げて襲い掛かってきた。
変な言葉のやり取りになってしまうが。
体は真面目に対応してしまい、つい、スフィアを3個、放ってしまう。
光の膜を形成させ、俺の前に展開し、守るために。
「……へへっ!」
「!」
だが、ソードはそれ以上踏み込んでは来ない。
体を大きく見せ付けたなら、ニヤリと笑い。
またも、一転したか。気分は、先ほど沈んでいたそれではない。
アビーみたいな、底なしの明るさの、それ。
「ソードちん、ふっかぁぁぁつ!」
その通りみたいだ、言葉にも表れて。
急変には、驚いたものの。
しかし、こう明るいのがソードなのだ、これで、らしくなったと言える。
そうなると、逆に安心してしまう。
やがてソードは、体勢を戻して、ちゃんと向き直るなら。
「へへっ!こんなんでもへこたれない!それが俺さ!!」
「……だね。」
ソードは自慢げにふんぞり返り、鼻を擦っては言ってくる。
納得に俺は、頷いた。
「それと……!」
「!」
その自慢げな雰囲気のままで、続けるらしく。
何かこう、宣言でもしたいような感じになる。
何だろうかと、構えるなら。
「今日は負けたが、次は負けねーぞ!!!シミュレーターでも実機でも、何でもこい!!勝ってやるぜ!!!」
「!」
思いっきり指差して。
俺に対して挑戦状を叩きつけるみたいに、宣言してきたのだ。
自信満々の笑みさえ、見せて。
「!!!」
しかし、答える答えない以前に俺は。
その指差しの先に、まずいことを感じてしまう。
それは……。
「そ、ソードごめん!!!さ、さっきフォトンシールドを展開して……!」
「……へっ?」
最初それはきっと、お断りに聞こえたかもしれない。
だが、お断りするよりも問題があって。
何せ、ソードが襲い掛かってくるものだからつい。
俺はスフィアを展開してしまっていて。
挙句、光の膜こと、フォトンシールドを展開していた。
その指先は、そう、そのフォトンシールドに思いっきり触れてしまっている。
「ああ!!」
……遅かった。
「なっ?どういう……?……?!あぎゃらばびべへぇ?!」
ソードも気付くのが遅れて、触れたその指先に、電撃が走る。
強さがあるか、空気を伝って、音を発するほどの電撃。
晒されたソードは、感電してしまう。
電撃に震え、飛び上がり、変な叫び声を上げていた。
痛み紛らわすために、飛び退いたなら、格納庫中を物凄い勢いで走り回る。
「……うぁ……ええと……え~……。」
物凄い勢いのため、俺は何を言っていいやら分からず、困ってしまう。
「あははははっ!!やっぱりソードはそうでないとな!!」
「これさこれ!こうでないと!!」
「うはっ!うけるっ!!」
「流石だな、ウィザード。いや、ウィズ、か。空気を変えやがった!」
「……。」
代わりにか?
ギャラリー状態の人だかりの人々が、次々に言って、爆笑をしていた。
ソードが、そうなるものだから、また、らしいとしても。
ついでに、俺への称賛もある。
これには何とも言えない。
「って!!何笑ってんだごるぁ!!!!ぐぞぅ……!!何も言えないのが、腹立たしい!!」
ようやく痛みから解放されて、立ち止まるなら。
今度は地団太を踏みながら、ギャラリーに反発してきた。
だが、上手なことが言えないでいる。
もどかしさも感じられたが。
「ぬぬぬがぁ!!このやろーー!!こうなったら、全員の家、絨毯爆撃で焼け野原にしてやるぅぅぅぅ!!!草木も生えさせねーぞ!!!」
「……うぇ?!」
もどかしささえ振り払うのはとんでもない言葉。
なかなかな過激さ。
戦闘機に大量の爆弾を。
それこそ、町一つ焼け野原にできるだけ備え付けて、やりそうな勢いだ。
……本気でしないだろうが。
「うはははっ!やる前にSAMにやられっぞ!」
「その前に、空軍の連中がだな、これ幸いといじめに来るぞ。」
言われた人たちは、へらへらとしていて、全然堪えていない。
むしろ、煽る煽る。
慣れているからだろうと、推測できるけれども。
「うぎぎぎぎぎ……。」
煽られた本人は、歯ぎしりしながら、やはり、言い返せない。
「ぬぬぬぅぅ!!」
不服はあり、もどかしさもある。
掃ける先のために、首をゆっくり動かしては、俺の方にまた、視線を向けて。
「!」
「と、とにかく!!お、覚えていろよ!ウィズ!!!次は勝ってやるぅ!」
「……えぇ~……。」
と、捨て台詞よろしく、吐き出してきた。
不満もまだ、残っていて、その捌け口に俺が、使われてしまう。
なお、言われた俺は、困惑するしかない。
吐き出した後ソードは、ドカドカ足を踏み鳴らして。
不満を音を立てて、発散しながら、立ち去って行く。
「……。」
最初は鬱屈な空気だったが、今度は威圧。
立ち去る背中に、どう声を掛ければいい?
この時もまた、声を掛けれず、見送るしかない。
冷やかしの声はあれど、この時のソードは意にも介さない様子。
そのまま、踵を踏み鳴らして去っていった。
「ま!あの様子だ、いつものソードだ。あと、行先は多分、腹減ったから食堂だろうよ!」
「!」
一瞬静かになったが、フィーさんが言葉を出してくる。
「……食堂……ねぇ。」
苛立ちを紛らわすのに、好都合なのだろう、何か食するということは。
つい、頷きながら、単語を反芻した。
「!!食堂?!」
「……あ。」
その単語に、最も強く反応したのは、アビー。耳にして、目を輝かせて。
先ほどのやり取りさえ、消えてしまいそうな勢いだ。
多分、俺とソードのやり取りなんてもう、どこかに行ってしまっている。
まるで、禁句でも言ったかのような気にもなってしまい。
俺だけ口を押さえてしまうが、……手遅れかもしれない。
言葉よりも先に、アビーから盛大なお腹の鳴る音が格納庫中に響き渡った。
「……。」
「……えへへっ。」
鳴らした本人は、照れ笑いする。
俺は、どうコメントしようか、困る。
食べることに関する言葉に。
反射的に動く様、パブロフの犬かと心の中で、告げてはいたが。
「……こんな時に、呑気なものね、まったく。」
マフィンは、呆れ返り、頭を抱えてしまう。
「……でもでも!もうお昼かもしれないじゃん!お腹空いた~。」
アビーは、照れながらも弁解してきた。
「……そんなわけないでしょ……。まだ、午前も午前よ!」
そんなはずはない。
マフィンは弁明に反発して。
徐に、自分のポケットに手を入れては、まさぐりだす。
何をしているかは、この際聞かないではおく。
マフィンの言う通り、まだ、午前だろう。さすがに、お昼時ではない。
「……あら?」
やがて、まさぐった後、取り出してきたのは、懐中時計。
その、ゆったりとした服装には、似合うほどの物。
蓋を開けては、意外そうな声を上げてしまう。
「……午前11時30分?!……もうそんな時間?!」
時刻を告げるなら、もっと驚いてきて。
「……お?もうそうな時間か?」
レオおじさんも、意外そうに聞いてくる。
「……ずれている……かしら?」
まだ信じられないでいるマフィンは、首を傾げながら呟く。
「……どうだろう?ねぇ……。」
俺は、どうなのかを背負うバックパックの中の、盾に問うた。
《現在時刻、午前11時30分を過ぎたところです。通信による時間補正により、時刻の誤差プラスマイナス0.005秒。》
「……間違いないようだね。」
盾は正確な時刻を伝えてきた。
間違いないようで、マフィンの懐中時計も正確のようだった。
「……間違いないようだね。」
マフィンに俺は声を掛ける。
「……まあ、そうそう簡単にずれるものでもないし、ね……。」
マフィンは、やや戸惑い気味に言ってきた。
「お!昼か……。」
「!」
その言葉を皮切りに、他の隊員さんたちも確認を始める。
……全員一斉に、腕にある時計を目にしていて、なお、シュールに思える。
懐中時計の類はないが。
軍用の、正確に時刻を合わせた時計だろうと、思われる。
ちらりと見れば。
必要最低限の機能だけに絞り、文字盤は見やすくある、時計であった。
そのどの全ての時計、一斉に同じ時刻を指していて、一切のズレがない。
それは、海の上でも、正確さを求めるためのもの。
見た目も、性格もバラバラで、結構粗暴な所もあるが。
やはりそこは、一介の軍人だと思わせてきた。
「じゃ、行くか!」
「はははっ!つい、見とれちまってた……。後で、怒られないよな……?」
「気にすんな!」
お昼時と気付くなら、その場にいる隊員さんたちは皆、顔を上げて。
食堂に向かおうとして行く。
人だかりが、波となって格納庫の出口まで押し進んでいく。
まばらになるなら、フィーさんたちが残り。
「んじゃ、行く前にっと。」
「!」
一声つくなら、箱の側に置いてある、重苦しい蓋に手を掛けていた。
結構重いようで、フィーさん含む、数名が取り掛かっていて。
「ええと、その、俺も……。」
見ていて、手伝いたくもなり、声を掛けるが。
「いや!いいよいいよ!こいつの取り付けは、俺たちぐらいでしかできないからさ!」
「……あ、はい……。その、何だか、すみません。」
それはいいとして言われた。
俺は、申し訳なさそうに思って、見守るしかない。
また、どうやら、それぐらいの人数で十分な様子。
フィーさんが、声を上げるなら、持ち上がって。
やがて、回収したスフィアたちを覆い被せるように閉めていく。
重苦しい蓋は、定位置に停まるなら、音を立てて、空気を抜き、密閉した。
重苦しい蓋を載せた後。
フィーさんたちは、手をぱんぱんと叩き。
埃を払い落とすような動きをしては人波に合わせて移動していく。
「じゃあ!また、食堂でな!」
「!は、はい!」
去り際、フィーさんは振り返り、手を振って言ってきた。
俺は、頷いて応じ、見送った。
「……。」
また、俺たちだけになるなら。
だが、格納庫に、ほとんど部外者の俺たちがいても、何だかなと思ってもしまう。
「私たちも、行きましょう。」
「!あ、うん。」
マフィンもまた、そう感じてか、頷いては、俺たちを先導する。
俺は頷き、マフィンの先導に従い、歩き出した。




