どんよりそーどちゃん!
「そう、……ですか。」
その人が言うならと、俺は引き下がる。合わせて、笑みも浮かび。
が、どこか寂しくもあって。
「そんな寂しそうに笑うなって!それよりも、行こうぜっ!」
「!」
その顔は寂しくあり、だからこそ。
その人は、元気付けるために、一言、俺を誘っていく。
「……。」
ならばと、俺は元気に笑みを浮かべる。
その際、また、振り返るなら。
レオおじさんや、エルザおばさん、シン、アビー、マフィンを見て。
頷きを見せる。
皆気付いて、頷きを返すなら、追従するようだ。
「では、行きましょう!」
再び、その、釣竿を持った人に向き直るなら、行くと意志を示した。
その人は、俺たちの意思表示を見て、そっと笑みを浮かべる。
「ああ!」
頷くなら、先導した。
「!おっと!!」
「?!」
と、思ったら、急に止まるものだから、皆詰まる形になり。
つい、バランスを崩してしまいそうになる。
何か、思い出したかのようで。
また、俺の顔を見てくる。
「?」
何事と首を傾げて。
「〝フィッシングマン〟!」
「?ええと?」
言ってくるのだが、何だか不思議な単語だ。
首を傾げてしまう。
「俺のニックネームみたいなものだよ!ほら!ウィズと同じ。俺はほら、釣竿持っているだろ?趣味が魚釣りだろ?な!」
「!」
「略して、〝フィー〟!よろしく頼むぜ!」
続けて言うことには、俺が付けられたのと同じ。
ニックネームみたいなもののようだ、言って。
釣竿を持った人、フィーさんは握手を求めてきた。
差し出された手を、取るなら思いっきり握り締める。
「へへっ!悪いな、昨日も会ってんのに、さ!まあ、改めてよろしく!」
「!あ、はい。」
改めて挨拶を交わしてきた。
俺も、頷いて応じる。
「えっ?お前のそれ、そういう意味だっけ?魚みたいにうろつくからって意味じゃなかったか?」
「?!あ?!違うわ!!!」
よろしくの光景なのに、水を差すように、フィーさんお仲間がおちょくって。
笑いながら、言ってきた。
笑顔一転、反発をしてきて。
「打ち上げられた魚みたいな奴、って意味じゃなかったか?」
「なぁ?!おいおい!!違うわ!!」
別の人にヘラヘラと笑われてしまう。
またまた、フィーさんは軽く怒りを飛ばしていた。
「さ・か・な・つ・り!幸運を釣り上げる男!!!」
反対に言うことには、らしいことを述べる。
「いやいやぁ~。不運を釣り上げる、の間違いじゃねぇ~?へへへっ!」
やっぱりそれもからかわれる。
「ぬがぁぁ!!もういい!!せっかく半舷上陸の時、ちょっとぐらいは、奢ろうと思ったがもうやめだ!!奢らん!!!」
「えー?」
「いやいやぁ~。そいつぁ、困った。」
「うはははっ!気にし過ぎだよ。本気で思っちゃいねえよ!わりぃわりぃ!」
「冗談さ!」
とうとう怒りのあまり。
口にしたのは折角のいいことを取り上げるということだった。
言われた取り巻きは、一転して謝ってきた。
なお、雰囲気的に、冗談めかしていることから。
単なるからかいであり、本気で悪口を言っているわけではない。
だから、軽く肩を叩いて、笑いながらフィーさんよりも先に、出て行った。
「くぅ~。調子のいい奴らめ……。」
残されたフィーさんは、やや悔しがりながらも、本気で怒るに怒れない。
やや歯痒く思いながらも、だが、どうすることもできないでいて。
仕方なく、足をドカドカ踏み鳴らしながら歩きだす。
「!おっと。」
「!!」
進んだらまた、振り返ってきては。
「……何だか、見苦しい所を見せてしまったな。わりぃ。」
「!……い、いえ。」
それは、詫びである。
フィーさんは振り返るなら、軽く頭を下げてきた。
俺は、気にしていないと、首を横に振る。
「……。んじゃ、行くかっ。」
そこで、ようやくといった感じで、手招いてきた。
ようやくだが、頷いてフィーさんに続いていく。
入ってどれだけ時間が過ぎたが知らないが、追従していく。
シミュレーションルームから、通路をくぐり、やがて、広い空間に出る。
格納庫。
そこは、戦闘機など航空機用の何かしらが、置かれている場所だが。
今回は、さらに人だかりもある。
和気あいあいとした先が何かと思うなら。
「ほ~らほら!皆さん大好き、ウィザードと取り巻き一行のお通りだい!」
フィーさんが、声を掛けてきて。
「……えぇ~……。」
なお、内容に俺は、戸惑い気味に言ってしまう。
俺の戸惑い何てよそに、ウィザードという名前をだしに、道を広げて。
なお、人だかりを作る人々は。
出された名前と、俺の存在を見て、どよめきながら道を開けていく。
開かれた先にあるのは、やはり、棺のような箱で。
今それは、蓋が開けられてその中身を晒している。
見えるのは大量のスフィアで。
まるで布団のような感じに敷き詰められた大量のスフィアの上に。
堂々たる様子を見せて座しているのは、あの巨大なスフィア。
両手で持っても有り余るほどの大きさで。
下手をすれば、一人では持ちきれないだろう、そんな巨大さ。
あまりにも、雄大で。
画面で見たが、その大きさは息を呑む。
もちろん、俺の思った感想は、人だかりを作る人たちも思っていた。
「やっぱ、ウィザードってすげぇな。」
「魔術師だけはある……。あんなのを、模型みたいに小型のあれで、運んできたんだぜ?信じられねぇ。」
「魔法だな。」
「!」
聞こえてくる会話は、やはり俺を指して、賛美を見え隠れさせるもの。
いつものバカ騒ぎがないのは、やはり、その巨大なスフィアに見とれてのことか。
「……改めて実物を見ると、やっぱりすげぇな、おい。……。」
先頭を行くフィーさんは止まったなら、そのスフィアを見て呟く。
だが、それ以上を言えない、言葉を失ってしまう。
「……。」
俺もまたみて、それを自分が、いや、自分と盾が行ったというのに。
他人事のようで、実感はなく、やっぱり言葉を失ってしまう。
「すっごーい!おっきなスフィアだぁ!!」
「……。」
そうであっても、ここでマイペースに意見を言ってくるのはアビーで。
いつもの、元気いっぱいな様子を体を伸ばして見せてきた。
その様子に、何だか言葉を失っているのが、場違いに思えてならない。
「……この子は、まったく……。」
マフィンは、アビーの様子に、呆れてしまう。
だが、アビーらしいや、また、結果かもしれないが。
アビーがそんな風に言うものだから、場は、優し気な笑みに包まれて。
人だかりは、微笑ましく見てくれていた。
巨大スフィアによる、畏敬も幾分薄れていった。
だが、和やかとも言える空気だったのに、潰すのが現れて。
「……ずぅぅぅぅぅぅん……。」
「?!」
どこからか、妙に重たい空気が誰かの溜息と共に、漂ってきて。
せっかくのこの空気を、悪くしてしまうのだ。
感じると、何事かとつい体を跳ねさせてしまう。
一体その空気の発生源は何だと思い、見渡すなら。
格納庫の隅にて、異様に誰も近寄らない空間があることに気付く。
というか、皆避けている。
唯一その空間に誰かはいて。
悲壮伴い、足を組み、壁を見つめて座っている。
発生源だと、確信はしたが。……誰だろうか?
「!!うわぁ……。こりゃ今夜は嵐だな。」
「え?!」
もちろん、その重たい空気は、フィーさんにも感知されて。
見てから一言、気になるコメントをしてきた。
まるで知っていて、かつ、滅多に見られるものじゃないといった具合。
なぜだか、分かるような分からないようなだが、首を傾げて。
「……ちょっと、行ってみますね……?」
気になりはして、つい、知りたくはなる。
誰もが皆避けるなら、確かめたくもなる。
「……まあ、気にするな……って言いたくはあるが、なぁ。ああも最悪な雰囲気だと、ねぇ……。あぁ、一応、気を付けてな。祟りとかもうかもしれないからな、念のため、言っておくよ。」
「!え、あ、はい。分かりました。」
その誰かを見てたフィーさんは、曖昧ながらも忠告してくれる。
ありがたく思うなら、俺は、頷き。
一人単独、その、暗がりの人物へ歩み寄ろうとする。
「あ、大和待って。」
「!」
列を、人だかりを抜けて行こうとした矢先に。
マフィンが待ったを掛ける。
何事と振り返るなら。
「私からも、一言。……大体相手の察しはついているけど、気を付けて。」
「!う、うん。」
マフィンも察しがついてはいて、そうであっても気を付けてと言ってくれる。
俺は、その言葉に頷きで返して、再び道を行く。
そんなやり取りの果てに、歩み寄れはしたが。
「……ずぅぅぅぅぅぅん……。」
「うわぁ?!」
あまりの重苦しい空気、皆が避けることが納得できるほど。
圧し潰されそうになり、ついその場から飛び退きそうになった。
「……。」
そうであっても、やはり放ってはおけず、逃げそうになる自分を宥めて。
拳を握り締めて、勇気いっぱい、また歩み寄る。
「……ずぅぅぅぅぅん……。」
「……ええと。」
出迎えるのは、やはり重苦しい空気で。何だか俺を拒絶しているみたいに。
「……。」
押し返す空気を逆に俺は、払いのけてなお、歩み寄るなら。
「いいよなぁ……。ウィザード、ウィザードって……。」
「!この声、まさか……。」
払いのけるのが効いたかは知らないが。
出迎えに重苦しい空気相変わらず、言葉がしてくれる。
紡がれる言葉と口調、声に、まさかと思うなら。
さらには、先ほどフィーさんが言ったことにも納得がいく。
「……そ、ソード……。何でまた……。ええと……。」
「……。」
そうとも、まさかという正体は、ソードだった。
あの、アビー並みに、底なしの明るさを誇る彼なのに。
何でまたこんな、とてつもなく暗いんだ。
フィーさんの言う通り、これは、今夜、嵐になりそうだ。
「……酷いんだ、皆……。ガントには怒られるし、整備には、笑われるし。」
「……!」
なお、俺がどうしたのかと聞く前に、ソードはぽつりぽつりと呟きだす。
何もできない俺にとって、できる唯一のことは、聞き入るしかなく。
「……特に整備の連中、もっと酷いんだぜ?……撃墜判定を元に、俺をいじるためだけにさ、機体に塗装すんだって……。かっこ悪いぜ?その塗装。まだ、片方の翼が真っ赤に塗り潰されているっていうのがましなほど。無様な塗装なんだぜ、おい。……これが、楽しくあるかぁ……?」
「……。」
つらつらと、述べてくる。
なお、俺は聞くだけしかできない。
辱めだか、単なる冗談だか知らないが。
どうも、俺からの敗北の後、冷やかしに色々とされたらしく。
典型的には、言葉から察するにダメージを表す何か。
といったのを機体に施す形のようだが。
場合によっては、格好もよさそうだけれども。
どうだったか、静かに聞き入りながら思考するなら。
あの、シミュレーターの中で、見た、ダメージの画像。
……結構酷かった気が。




