うぃず!
盛り上がりにて、合わせて何だか気恥ずかしくなりそうだったが。
そうでもないようならと、耳を立てる。
《皆帰艦していいぜ?何せ、大分飛んでいるようだしな。》
「!は、はい!」
《誘導はトムや、俺がする。安心して帰ってくるといい!じゃあ、また!》
要件は、帰還命令だった。俺は、頷き応じる。
なお、帰還の際の、誘導などは、トムさんや、ビリーさんが行ってくれると。
さらに、その命令を受けて、機体のモニターに、誘導表示がなされる。
合わせていくなら、帰艦への誘導のようだった。
「!皆……。」
《ええ。》
《うん!》
そのルートに乗る際に、俺は二人に合図を送る。
言葉は少ないが、通じたようだ、頷きが返されて。
その、誘導に従い、俺たちは母艦へ機体を戻していく。
《おーい。ちょっと待ってて。用意するから。》
「?あ!ビリーさん。はい、分かりました。」
誘導に従っていくが、途中、別の通信が入ってきた。
例の、ウィングビット射出の際。
指示を出した、飛行甲板で作業していた人で何か、用意があると待機させる。
様子を伺うなら、やたらと厳重な、金属製の箱が用意されていく。
「?」
何の用意をしているのか、疑問に首を傾げる。
この機体を収容するための、箱だろうか?
《ようし!全員回収したスフィアを、これに入れてくれ!》
「!」
何のためかと思った先に、答えが告げられることには。
掃海、残骸撤去作業の際に得た、スフィアを回収するための物のようだ。
《……しかしまあ、魔法使いっているもんだな!往復せずに、たった一回で、それも、大漁とは、恐れ入ったぜ!》
トムさんは、俺たちが誘導に従って。
スフィアを入れようとしている際に、嬉しそうに言ってきた。
映像で確認すると、表情もだ。
《だが、大量だな……。大丈夫か?ちゃんと箱に入れられる?》
「!」
が、その大量なスフィアを冷静に見て、トムさんは疑問に感じてしまう。
「……。」
俺は、視線を落として、盾の方にやると。
「……あの箱にちゃんと入れるのも、できる……よね。」
《できます。》
「だよね。うん、ありがとう。お願い!」
確認のために聞くなら、はっきりと言ってくる。
杞憂に終わったようだ、なら、そうしてくれと、俺はお礼を告げ、願う。
《目標確認。ボックス内に誘導いたします。》
願いを聞き入れ、盾は巧みに操作して、大量のスフィアを丁寧に入れていく。
例え、大きなスフィアであっても、重さを感じさせないほど、丁寧に。
《?!……聞いてはいたが、でかいな。ウィングビット単体じゃ、普通持てないのに……な。》
トムさんは、ビリーさんから連絡を受けていたのだろう。
箱に丁寧に詰められていく中で、巨大なスフィアがあることは知っていたが。
実際目にすると、その大きさに、そうであっても驚愕している。
《おぉー!あんなでかいの、マジで持って来たのか。あれか?ウィザードって奴は、とんでもない魔法を持っているようだな!!はははっ!》
《違いない。まあ、そんなもんでなきゃ、あんな肝っ玉でっかいこと、言いやしないよな!》
《知ってる知ってる!有名な話だ。》
《ああ。陸の狼どもの話だったな。捕虜救出作戦に挑む前に、ウィザードって名乗ったんだよな!!》
《それで、数々の奇跡を見せたってな!……陸の連中の話だったが、これを見るなら、確かにと言いたくなるよ。》
「……。」
トムさんの傍ら、他の作業員たちは次々と色々と言っている。
見上げては、素晴らしいものを見たと、瞳はキラキラと輝いている。
一方、内容に、ただ、恥ずかしさを感じてしまい、顔を赤くしてしまった。
その内容、確か、無謀にもほどのあることだったよな。
考えることなく、ただ、あの時涙した幼子を救いたくて、言ってしまったし。
挙句、マフィンに怒られたりと。
続きの内容は、決して褒められたものじゃないのに。
《!……っと。全部終えたみたいだ。おーい!お前らも手伝え!早く、こいつの蓋を閉めるぞ!》
《《了!》》
他の作業員たちが、色々と言っている中。
もうすぐ作業が終了すると感じたなら、トムさんは号令を掛ける。
その号令に従い、ぱっと向き直るなら、素早く大きな蓋を持ってくる。
やがて、箱を締め切るように、覆い被せていき。
最後、空気が抜ける音を立てて静かになる。
「……?」
よく見ると何だか、棺に見えてしまう。
不思議なことを感じて、俺は首を傾げてしまう。
だが、説明は特になく、作業員さんたちは、別の準備に取り掛かるようで。
大きなコンテナを開き、誘導をしてくる。
それは、最初、このウィングビットが入っていた物。
そのコンテナに、誘導をしてきた。
《おっと!3人とも。疲れただろう?上がっていいぜ?後は、オートで格納できるからさ!》
「!」
その折に、トムさんが通信を入れてくる。
この後の誘導は、別に俺たちが乗っていなくてもいいというもので。
「……ええと。」
これもそうだが、急に言われたものだから、つい戸惑って反応が遅れて。
《……従いましょ?多分、私たちの仕事はここまでってことでしょうね?》
「!……だね。」
遅れた俺の代わりに、マフィンが言い。それも、応じるようだ。
マフィンが言うならと、俺は頷き、応じる。
「……ありがとうございます。では、俺たちはこれで……!」
誘導の人たちに応じて、通信をした。
《礼なんていいさ!むしろ、こっちが感謝したいぐらいだぜ!》
《ありがとうよ!》
《さっすが魔術師!》
「!は、はい……。」
お礼はいいと、笑顔で言われて。逆に、お礼を言われてしまう。
俺は、ならばと、返事をした。
「?!」
俺が返事をしたのを最後に、途端画面は暗転した。
急になるものだから、暗闇で目を丸くしてしまう。
《状況終了。お疲れさまでした。》
「!……。」
その状況にて、盾は静かに言う。
暗闇の中、酷く寂しさも感じはするが、盾が言うことでピンときた。
オートパイロットで、誘導されるということで。
もう、俺たちの操作はいらないということだ。
つまりは、仕事が終わったということ。
「!」
その盾が言った後、周辺から空気が入る音がして。
次いで、光が隙間から入り広がっていく。
カプセルが、開いたのだ。
「うっ?!」
暗闇から急に明るくなるものだから、眩しさに目がくらみ。
目が慣れて、ゆっくり開くなら。
場所は、先ほどの海原ではない。
無機質な壁で囲まれた、シミュレーションルーム。
「……。」
一瞬、今までのが夢だったのじゃないかと、思ってしまうものの。
「!!」
やがて、後ろの方から、けたたましい拍手が響き渡り。
驚きに、ついピンと体を跳ねさせてしまう。
座席から立ち上がり、バックパックを背負い直して、振り返るなら。
「?!」
俺は余計、目を丸くすることになる。
何と、いつの間にか人だかりができていて。
沢山の隊員さんがいたのだ。
目立つのは、釣竿を持った人。
さっき、マキナに釣り針が引っ掛かってしまった人。さらに、その付き人。
同じく、歓声を上げて、嬉しさに指笛まで吹いている。
レオおじさんや、エルザおばさん、シンも混じっていて。
なお、その3人は昨日見たヘッドギアを装着していて。
俺が気付いたらとして、脱いでその顔を表す。
「……?」
その歓声、何でだろうかと、不思議に思えてしまう。
「良かったぞ!!〝ウィズ〟!!」
「はははっ!生意気なあいつが、泣く姿が思い浮かぶぜ!」
「……?」
ギャラリーよろしく、歓声に称賛が混じる。
その中には、早速あのニックネームがあって。
不思議と速いなと思う傍ら、違和感もあって首を傾げて。
〝ウィズ〟。いつもなら、ウィザードと呼ばれるのに?
「お?どうした?」
不思議そうな顔をするものだから、ビリーさんが顔を覗かせて、聞いてくる。
「!」
俺はまた、体を跳ねさせるなら。
「……いえ。もう広まっているんですねと、不思議と。」
気になったそのことを、聞いてみた。
「!ああそれか!いやはや、ガントが言った後からだからね。多分、言っていたと思うけど、TACネームなんだわ。ウィザードだから、〝ウィズ〟。まあ、そういうこと!言いやすくて、皆に広まったようだぜ!」
「!」
ビリーさんが、意外そうな顔をしながら答えることには。
どうやら、ガントさんが言っていたニックネームで。
言いやすくて広まったという形らしい。
「……。」
改めて、言われた名前、〝ウィズ〟を心の中で反芻するなら。
確かに言いやすく、割と親しみやすく感じてしまう。
いつも言われる、ウィザードだと何だか気後れするが、これなら、まあ。
つい、了解に頷いた。
「ウィズ!ほら……っ!」
「!」
「呼んでるぜ!」
その傍ら、手招かれる。ビリーさんに催促され、顔を上げるなら。
真っ直ぐ、ギャラリーの一群に目が行く。
ギャラリーの一群は、両手を上げて喜びを表していた。
「……。」
催促されるままだが、応じるために俺は、カプセルから出て、歩み寄る。
「いぇぇい!!」
「流石!ウィザード!こんなことまでやりこなすとは!」
「……え、えぇ~……。」
人だかりに辿り着くなら、歓声通りの勢いで、色々と言われるが。
しかし、戸惑いが出てしまい、ついたじろいでしまう。
俺だけの力じゃないから。この盾の力だから、故に、自分事でもないと。
「もてもてね!〝ウィズ〟!」
「?!」
戸惑いの中、後ろから声が掛けられる。
振り返るなら、ニマニマ笑う、マフィンがいた。
どうも、ちょっとだけ意地悪そうな感が否めない。
「大和ちゃん、すっごーい!ってことだよ!ねっ!」
「!」
一方で、同じタイミングで体をカプセルから出してきたアビーは。
純粋な感じで言ってきた。
アビーらしい意見で、単純に言えばそうだよね、と納得してしまいそう。
「……ま、強ち間違っていないわね。」
アビーを見ては、マフィンは否定することはない。
「そうだぜ!あんな芸当、普通できないからな!」
「この凄さには、敬服するよ。」
「勲章モノか?」
「多分な。へへへっ!賑やかしに来てやるぜ!」
アビーの言葉に追従して、すごいことだと皆言ってくる。
ギャラリーの皆の顔を見れば。
アビーの〝すっごーい!〟を確かに表しているようだ。
また、アビーに視線を戻せば、微笑ましく見ている。
「ぬぅお?!真っ暗に?!……あと、何だかこれ、脱げない?!」
「?!」
そんな微笑ましく、誇らしい中。
ギャラリーの先に、際立って聞き慣れた声が響く。
野太いそれは、レオおじさんの模様。何事かと見ると。
「!」
レオおじさんは、眼前を覆うサングラスのような物が付いた。
ヘッドギアを装着したままのようであり。
もちろん、それは、昨日シンが付けていた物と同じ物。
それを今日は。
レオおじさん、他にもエルザおばさん、昨日に続いてシンも付けていたようだが。
なお、他の二人は、ちゃんと外しているが。
一方、レオおじさんは、何かが引っ掛かってか脱げないでいる。




