ぜんぶかたづけちゃった!
《提案ですが、当機にてコントロールしているスフィアを使えば、より短時間で片付けることができます。》
「!」
その衝撃に、主たる俺を案じてか、盾はプランを提案してきた。
「……で、そのプランは具体的には……?」
なら、盾の言うプランとは、と聞くと。
《フォトンレーザー、オービタルレンジに加えて、マルチロックオンを行い、対象に攻撃いたします。》
「……?」
具体的に言ってはくれたが。
どういうことやらと、一瞬想像できないで、つい首を傾げてしまうが。
「!」
ピンと来て、思い出す。
フォトンレーザーの、オービタルレンジとは。
沢山のスフィアを用いて放つ、それも一斉に、レーザーのことで。
さっきも、それででかい残骸を片付けた。
とするなら、マルチロックオンとは。
今度は、多数の目標に対して、照準を合わせることで。
そうして攻撃するなら、ちまちまやるよりは、片がつくということか。
「……一応聞くけど、大丈夫?」
《機銃を用いるために、接近するよりは安全です。》
「……分かった。後は、借り物だからね、ビリーさんに聞いてみる。」
念を押して聞くと、安全性はよく。
なら、あとは借り物であるために。
管理をしているであろうビリーさんに許可を求めるかと。
「……あの、ビリーさん。」
俺は、通信を始める。
《お?どした?今度こそ、トイレ?》
「……い、いえ、そうじゃなく……。」
開口一番は、またまた、似たようなセリフで。やや緊張気味に、否定はする。
《なぁんて、冗談さ。大方、また、〝魔法〟でも見せてくれるのだろ?》
「!」
もちろん、先の口上はあくまで冗談で。
俺が話し始めた雰囲気から察されて、先に、冗談めかして言われる。
内容は、強ち間違いじゃないようなことだったが。
「……魔法、……は言い過ぎかと。それよりも、今からスフィアを使って、多数の対象をロックオンして、破壊いたします。」
そうであっても、多少宥めながらも続けるなら。
盾が提案した内容を俺は、そのまま口にした。
《ははぁっ!やっぱり魔法じゃねぇか!いいぜ!見せてくれよ!》
《聞いた。また魔法を見せるってな。楽しませてもらうよ。あと、他の奴のために、さっきから録画させてもらってるがな。》
《ほっほーぅ!楽しみだな。海中の連中は、残念がるだろうぜ?》
《俺たちの特権だな。》
「……。」
ビリーさんは、楽しみに笑みを浮かべながらも。
やっぱり魔法だと言ってきて許可を出してくれる。
聞きつけた、他の隊員さんも、歓声交じりに言ってきたが。
中には、どうも、この状況を記録している人もいて。
耳にすると俺は、顔を赤くしてしまった。
「!」
そうであっても、許可をもらったなら、やらないわけにはいかず。
俺は、頭を振って、自分の紅潮を振り落としては。
真っ直ぐまた、向き直る。
「……ええと。魔法は元より、これから、開始しますので。それと、爆発に巻き込まれないように、注意してください。」
開始を宣言する。ついでに、安全性を訴えてはいた。
さっき、機雷を破壊する際に、かなりの衝撃が伝わったのだ。
まして、多数をロックオンして行うなら、その衝撃は結構なものだろう。
《はははっ!言われてんぜー?》
《気にすんな、どんと行け!別に機体が落っこちたって、こっちにダメージあるわけじゃないしな!》
《ああ!……文句は言われるだろうけど、言われ慣れてるし!やっちまっていいぜ!》
「……皆さん……。」
注意は受け止められて。
だが、笑い飛ばされてしまう。そういうのは、気にするほどでもないと。
そういうのには慣れているし、別にダメージがあったところで。
操作している自分たちには、あんまりダメージはないと。
ある意味、頼もしく感じて、ならばと、懸念なんて、俺は拭い捨てる。
頼もしさに笑みを浮かべ、またも画面に向き直る。
「……始めます。」
《おう!やったれー!》
掛け声を出すなら、応じて、返事もあり。頷いて俺は、構えた。
《了解しました。コマンドを認識。ロックオンマーカー展開。スキャンデータと同期します。》
「!」
俺の号令を、命令と認識するや、盾はその実力を見せる。
《AWSFCS、リモートでドライブ。》
やがては、お得意の能力を見せて、次々と目標を定めていく。
ロックオンマーカーは、音を立てて、次々とロックオンをして。
やがて、画面いっぱいに、マーカーが埋め尽くされた。
《マーク。フォトンレーザー、オービタルマルチレンジ。発射。》
そうなると、盾はスフィアたちに命令を下す。
真っ先に応答したのは、先ほど手に入れた、巨大なスフィアだ。
命じられるまま、俺の眼前に来るなら、勢いよく発光する。
「?!って!うわぁ?!」
……その発光は強く、画面を覆い尽くす。
が、すぐに晴れ、ならどうなっているのかと確認すると。
「?!そんなことできるんだ……。」
巨大なスフィアの前に、光の膜を展開させて。
そこから、連続の光弾を放出させていく。
こちらの機体の兵装である、機銃と同じタイミングで。
連続射出しているが、範囲が広い、それは、光の雨だった。
眼前の海域全体を、埋め尽くすように放出されるなら。
やがて、次々と爆発に水柱を上げていく。
その勢いに、光景に、ただ、ぼんやりとそう呟くしかない。
《はっはぁ~!!見ろよ!機雷が消えるぜ!》
《くぅ~。魔法使いはいいね~!》
歓声は、他の人たちより上がり。
光景に興奮し、楽しそうだ。
《ばっちり、録画しておくぜ~。後で編集して、ソードやらに見せよっ!》
もう一人は、録画に専念しているようで。
こちらが見せる光景に、楽しさを覚えて、興奮している様子だ。
その光の雨が、本当に雨がやむかのようにゆっくりと撃ち終えていくなら。
雨上がる直前のように、画面上を埋め尽くしたロックオンマーカー。
あるいは、対象を示した点が、消えていく。
代わりに、海水の水柱が散った結果のもやがかかるが。
それも晴れていくなら、静かに波音を湛える、海に戻る。
《わ~お。魔法使い。海がきれいになったぜ。》
静かになったそこに一声、ビリーさんが、モニターしていて言うことには。
《ふっふぅ~!ウィザード最高!》
ほぼ同意見に、他の隊員さんたちも、言っていた。
《こちらCIC。状況を述べよ。》
《!……っと。俺の方にお客さんか。あんたら、俺の方に客さんだから、あとは適当にしていていいぜ?あ、ガス欠なら帰艦してもいい。誘導はトムに任せるからさ。》
「!」
その光景に見とれていたなら、横から通信が入る。
どうも、指令室のような所かららしく。
ビリーさんは、その対応をするために自分から通信を切ったようだ。
「……。」
ついでに言っていたが、適当にしていいとは。
言われると俺は、さて何をしていいかと今度は迷ってしまう。
「……で、何をしようか。」
《当該海域のスキャンを行います。多少の残骸はありますが、艦隊の航行に支障はありません。機雷の反応は、ありません。全て除去しました。ミッションは完了です。お疲れさまでした。》
「……そ、そうか……。」
俺が迷っている傍ら、盾は分析していて。
淡々と言うことには。
この海域にある、危険な物の除去はできているため、任務は終わったと。
なお、俺の迷いの解決にはならず、安心半分、やや残念である。
《手持無沙汰ね。ほんと、何をしていいやら。……まあ、半分は、大和、あなたが解決してしまったことにあると思うけど。》
「!……ええ?そうか?」
マフィンもまた、手持無沙汰と言うが。
ついでに、非難ではないが、呆れた様子を匂わせて。
俺がして、スフィアを行使して解決してしまったために。
《でもでも!やっぱり大和ちゃん、すっごーい!》
「!」
一方で、隣を飛んでいたアビーは、素直に、お得意のセリフを言ってきた。
素直に、屈託ないそれは、嬉しく思う。
《……まあ、いいでしょう。自由にしていていいということだけど、意見は他の人に聞きましょうか。》
「!……だね。」
マフィンは非難やら文句やらを重ねることはなく、こちらも素直だ。
この、自由にしていいということへの迷いの解決策を、見付けてくれる。
他に、一緒に飛んでいる人たちの意見を聞いてみればということで。
俺は同意に頷きを返した。
「……ええと、皆さんは他に何か……?」
マフィンのアドバイスに従い、通信を他の人にすると。
《ん~?いや特に何も?まあ、偵察がてら、見回るってぐらいか。》
《レーダーだけじゃ、見つからないこともあるからな!特に、今時の戦闘機はなぁ。》
《あ、そうそう。余裕があったら、航空隊の、ほら、ソードとかおちょくるとかやるかもなぁ~。へへへっ!》
「……は、はぁ……。」
すぐに答えてくれた。が、内容はやはり、特に収穫のあるものでもない。
各々、やれることをするようだ。
言わんとしていることは、ある程度理解はできるが。
おちょくるってのは、どうかなと思ってもしまう。
かつ、その通りに、それぞれ散り散りに、各々で動いていく。
「……じゃあ、俺たちも、見回る?」
その様子に、ならばとマフィンに言う。
《そうね。賛成。アビーもいいでしょ?》
《うん!大丈夫!見て回ろー!》
答えは賛成であり。
かつ、アビーも横から入ってくることには、元気いっぱいに答えてくれた。
決まったなと、感じて、頷くなら、他の隊員さんたちと同じように。
周辺海域の見回りに徹しようとする。
「!」
機体を動かして、偵察の手伝いでもしようとしていたなら。
画面にぽつぽつと影が映りこんでくる。
また機雷かと思い、あれこれ操作しているうちに、拡大できて。
確認するならば、それらは人影で、つまり、サカマタさんたちだ。
派手な爆発の後、静かになったのでか、確認に周辺を見渡している。
さらには、確認に通信を始めている。
《おいおい!もう終わっちまったのか?それとも、母艦が派手に爆発して、沈んじまったか?!》
《姐さん!違うっす!!爆沈していたら、母艦の反応はなくなりまっせ!》
《あ?!……そうだったな。ちゃんとあたいらのソナーや地図に、反応があるなぁ。あ~、よかったぁ。》
《よかったぁ!!お家が残ってる!》
勘違いをしてか、あれこれ確認しているようだが、無事だと安堵して。
また、隊長であるサカマタさんが言うのだから。
合わせて他の隊員さんも、安堵に笑みを浮かべている様子だ。
《じゃ、なかったっす!あれだけの機雷、どこに消えたっすかぁ?!》
《うぇ?!忘れてた。……どうやったんだ?》
翻って、安堵から冷静に状況判断に移るなら。
あれだけの機雷が、どうして消えたのかと疑問になる。
《あぁ?!思い出した!ウィザードっす!》
《?!マジかっ!!》
「!」
やがて、一つの結論に達するなら、はっとして、俺の機体に目をやってきた。
俺は、騒がしさを予感して、指を通信用のスイッチにやる。




