きらい、あぶない、たっくさーん!
しかし、俺の場合は曖昧だ。
故に、はっきりとは言えないが、何となくで返すしかない。
《つまりは、この海域には、大量の機雷がある可能性が、大ってことだ。》
「!」
つまりは、何となくでは察しがついていたが。
そう、大量の機雷が、この海域に存在している可能性ということだ。
はっきりとした言葉を聞き。
緊張に俺は操縦桿の握る手が、異様に強くなるのを感じてしまった。
《……そんな緊張するなよ。》
「!」
けれども、緊張はしなくていいと、ビリーさんは言ってきた。
《へへっ!》
笑ってもみせて。
そこには、緊迫する様子はない、むしろ余裕の。
《そうだぜ!》
《俺たちが、どんな修羅場を潜り抜けたと思ってんだってんだ!》
「!皆さん……。」
援護に、合流した3人も言ってきて。
映る顔には、やはりビリーさん同様の、余裕を持った笑みを浮かべている。
「……。」
その頼もしささえ感じる表情に、黙して思うことは。
まあ、想像だけれども。
この人たちは、今の状況以上に厳しい世界を生きてきたんだ。
それこそ、砲弾、ミサイル、戦闘機行き交う中。
あるいは、電子戦。
あるいは、対潜。あらゆる状況を、より困難な中で完遂してきた。
それが、その表情に映し出されている。
《悲しいから、思い出したくもないが……。》
「!」
ビリーさんは、語りだす。
聞き入るなら。
《大規模な空母機動部隊同士の戦いに、支援として駆り出された日にゃぁ、生きた心地がしなかったぜ。ま、相手側もそうだったが、こちらも被害が出てね、それも、こちら側の航空母艦一隻が大破状態で、曳航しながら撤退よ。その時この艦が護衛に回って、んで、航空隊に頑張ってもらってってことさ。いやはや至る所から敵が迫っていてな、冷や冷やしたぜ、ありゃ。》
「……。」
相当な苦労をしたと、語りながら様子を見せる。
その様子は、残念ながら、想像できない。口にできないでいる。
《あー!堅苦しいぜ、ビリー!》
《気楽に行こうぜ。さっさと掃除を済ませてしまお!》
だからフォローをしてくれたのかは、分からないが。
堅苦しい空気になるとして、払拭してくる。
《だな。》
ビリーさんは、言い切って。
やはり深刻な表情を拭い、ニヤリと笑みを浮かべてくる。
《ようし!堅苦しいのはやめて。後は、賑やかな連中と合流して、海の掃除をすりぁいいさ!》
気持ちを入れ替えて、再び見据えては、言うことには。
「?」
ただ、途中にある言葉は気になる。
賑やかな連中?
首を傾げていると。
「!」
コックピット部分に、海面に、何か浮いてくる小さな像を捉える。
いくつも出てきて、だが、残骸ではないようで、意志を持って、動いて回る。
生物の、海洋生物のそれと言えば、そう。
《お~い!目標地点に到着したが、何もね~ぞ~?あたいら、ただ働きか?》
「!」
ついでに、通信も入ってきて。
聞きなれたその声は、サカマタさんだ。
どうやら、あの像は全て、サカマタさんたちのようだ。
現に、俺たちが操作するウィングビットを見ては、手を振ってアピールしている。
《お!ようやく到着か!》
ビリーさんは、言ってきた。
《おいおい!!でっかい艦船があるからって言われてさ、現場に急行してみたらこれよ。何もないじゃんか~。》
《面白いのないの~?》
《遠泳だぁ~……。これじゃ、鬼のしごきの遠泳だぁ~……。》
「……。」
ビリーさんへの返答は、文句で。
それも、サカマタさんだけなく、部隊の皆からも。ブーイングまで。
《あ~、そのことだがな、魔法使いが魔法で解決しちまったよ。》
《あ?!魔法使い?!》
ビリーさんは、仕方ないから、何が起きたかの説明をしてくれるが。
冗談めかして言ってくる。
向こうから見れば、強ち嘘じゃないとも捉えられるものの。
が、何のことやらと、サカマタさんは、やや不機嫌に聞き返す。
《上見て見ろよ。ウィングビットのどれか一つが、スフィアを侍らせやがるからよ。》
《んなアホな……。あ?!》
返答に、上空を見てみろと言い。
言われて、サカマタさんは、俺たち。
いや、特に俺の操作する機体に目をやり、丸くする。
《うそん!!》
《たくさんたくさん!》
《あたちたちより、多い~!》
見上げた全員が全員、驚愕して、声を上げた。
《……な?どうだ?魔法使いがいるだろ?》
《《……。》》
これで分かっただろうと、ビリーさんは締め括る。
だが、海面の全員からは応答はなく、唖然としている様子。
《……あたいは、信じるよ。こんなことできるのは……。》
《《うぃざっ……!!》》
「……。」
やがて、気付いて明るい顔になったなら。
サカマタさんはニヤリと笑みを浮かべてきて。
それを合図に、全員がその名前を口にしそうになる。
聞く前に俺は、一旦通信を切った。
……でないと、耳が壊れてしまう。
なお、通信は切ったが、様子はちゃんと映し出されていて。
歓声を上げて、喜ぶ様子があった。
両手を上げて、子どものように大はしゃぎしている。
多分、通信をオンラインにしたら、うるさいかもしれない。
そうであっても、様子は観察している。
一しきり、歓声が終わったところで、また通信をオンラインにした。
《……あ~、ほら。それは置いといて、だ。》
ビリーさんは、宥めていて、本題に入ると。
珍しく、サカマタさんたちが大人しくなっていた。
《代わりとしちゃなんだが、新しい仕事として、掃海任務だ。》
《《……えぇ~……。》》
「……。」
本題に入ったなら、一転してサカマタさんたちは。
あまりいい気分じゃなさそうだ、残念な様子。
《……そう言わんでくれ。海中に長く潜って、機雷を処理できるのは、お前らぐらいしかできないんだ。頼むぜ?なあ。ああ、あと、浮上させれば、こちらで処理するからさ。》
暗い顔されると、気分が悪くなるか。
ビリーさんは拝み手一つ、頼み込んでもきた。
《……ま、それがあたいらの仕事だし、な?仕方ない。本当は、派手に残骸を爆破する方が、好きだけどな……。》
《仕方ないっす!爆破は全部、ウィザードが持って行きましたし。》
拝まれたなら、仕方ないと頭を掻きながら、サカマタさんは言ってくる。
フォローは、部下たちがして。
《姐さん!ちゃんとやらないと、俺っちたち、ご飯食べられなくなるっす!》
《嫌だぁ~。唯一の楽しみ~……。》
《よく分からない海の上で眠るのやだー。美味しくないご飯やだー……。》
口々にあれこれ言っていて、どうも、しなかったなら。
艦船が轟沈して、より不快な思いをしてしまいそうだ、伺える。
《うっし!じゃ、もう一仕事やりますか!》
《《は~い!》》
ならば、致し方ないとサカマタさんが、ついに号令を掛けるなら。
一斉に従い部下たちは声を上げる。
気合を入れるためにか、腕を空に突き出してもいた。
やがて、海面にある人影は、またまた海中へ消えていく。
「……。」
俺は、静かに見守って。
また、他の人たちも、見守り、あるいは、空中から探索を始めてもいた。
《海域をスキャンいたします。対象は、機雷。》
「!」
自動で、盾も解析を開始する。
「ん?これは……。」
そう、長くない時間過ぎるなら。
海面に向かって、何かが浮上してくる様子が映し出された。
何だろうかと思うなら。
《海中より浮上。海底にケーブル等で繋がれたタイプの機雷です。》
「!これが……。」
すかさず、盾が解析結果を表示する。
拡大され、情報が表示されるなら。
全体が針だらけの、ウニみたいな球体。
《安価な物で、近くを航行する艦船に対し、無差別に攻撃を仕掛けます。なお爆発半径は10m程度でありますが、艦底に穴を開けるには十分な威力を持っています。》
「……そうか。侮れないね。」
追加で説明があり、小さいながらも、十分な威力を誇ると。
ならば、俺はそう侮れななと、感想を述べる。
また、その一つだけじゃない、他にも多数、海上に浮かび上がってくる。
《当海域全体、スキャン完了。結果を表示いたします。》
「!!……多いな。」
その多数を浮上するのを見届けている内に、盾は解析を終えて。
結果を表示知ることには、見て俺は、その数の多さに、素直にそれだけを述べる。
画面に表示される数は、いや、点か。
相応しくないが、星空かと思うほどに表示されている。
言うなれば、骨が折れそうなほどだ。
《……あれが存在するってことで、覚悟はしていたが、……これほどとは。》
ビリーさんもまた、気付いていて。言葉遣いには、異様な緊張が走る。
《なあビリー。いっそうのこと、この海域一帯消し飛ばす勢いのミサイルでも使うか?》
「!」
傍らで、俺と同じように機体を動かしている隊員さんは。
提案をしてはくるものの、なかなかに物騒なものだった。
聞いて俺は、……嫌な予感しかしない。
《却下。第一、うちらの艦隊にそんな物ない。》
「……。」
ビリーさんは、意見を却下してくれる。
何だか、嫌な予感は払拭されて、安堵に胸を押さえた。
《そもそも、この海域を吹き飛ばすような物使ってみろ!こっちにまで被害が出ちまう。あと、サカマタんところにもダメージが。いくら、普段、あんな連中だからと言ってもよ、憂さ晴らしにそこまでするほどじゃねーぜ。……それに、消し飛ばそうものなら、夜中に枕元に立たれそう……。》
続けることには、サカマタさんたちを一応思ってのことも。
なお、最後辺りにはぞっとするようなことも言ってくる。
《……おっかねぇ。寒気がしてきた。》
提案した張本人も、ぞっとしたか、軽く身震いした。
《まあ、機銃でどうにか対処だな。後は、後ろから艦隊が来て、処理する、とした方が、安全だわな。地道にやるっきゃない。》
《だな。》
ビリーさんは、身震いする話はそこまでにして。
致し方ないと諦め気味に言うなら、まとめてきた。
結局は、地道に対処するという方針で。
《とまあ、ウィザードと、他お二人さん。聞いていただろうが、対処できるなら、やってくれるかい?……やり方は、残骸を破壊する方法と同じだ。機銃で対処してくれ。》
まとまったなら、こちらに話を振ってくる。
「!」
俺は、気付いて耳を弾ませる。
《……まあ、乗り掛かった舟、というよりは、既に乗っているし、このままお手伝いを続けても、私たちは特に問題はないわ。やります。》
「……だな。俺も、やります。」
《あたしも続ける!》
答えは、続けるということで。代表のマフィンは、否定することはない。
俺もアビーも、頷いて応じる。
《!……ありがとう。頼りになるな!あんたら。》
耳にして、ビリーさんは嬉しそうに言ってくれた。
他の人たちが、作業に取り掛かるのに合わせて。
こちらもまた、残骸解体のように、機雷撤去作業に取り掛かる。
「!」
見つけた機雷に、機銃を掃射するなら。
とんでもない爆発を伴って、水柱を上げて吹き飛んだ。
「……。近寄ると、危ないか。」
《爆風に巻き込まれる恐れがあります。衝撃による安定性は、通常の戦闘機と比べて、大きく劣りますので、作業はなるだけ慎重に行うようお薦めします。》
見ていて俺が口にしたことに、盾はコメントをしてくれた。
その通りに、やや時間差をつけて、衝撃が伝わり、機体が揺らいだ。
「……ひぇ……。」
揺れに、軽く俺まで動揺してしまう。




