すっごーい!おっきなすふぃあつかえるんだぁ!
「……?」
説明を流しながら聞いていたら、ふと、そうだったか?と疑問が湧く。
他のスフィアに供給ってできたっけ?
首を傾げてしまう。
なら、詳しそうなマフィンに通信してみることにする。
「マフィン。」
《?なぁに?》
「……あそこにあるの、巨大なスフィアだったようだけど……。」
《でしょうね。》
「……他のスフィアにエネルギーを供給って、できるんだっけ?」
《……あら?教えてなかったかしら?》
聞くと、返ってきたのは、意外そうな顔をしての、言葉で。
「……どうだったっけ?」
俺は、記憶を巡らせるが、どうだったかよく分からず、首を傾げる。
《……。まあいいわ。スフィアを重ね合わせたら、基本的にはエネルギーを移すことはできるわ。聞いていたけど、相当な大きさだと、重ねなくても供給することができるみたい。だから、艦船にいると、消耗はしないわ。》
「……分かった。ありがとう。」
優しく説明してくれた。そのため、俺はお礼を返した。
《スフィアのコントロールが可能です。》
「!」
傍ら、作業を進めていた盾は。
その巨大なスフィアさえ、コントロール下に置いたようだ。
つい視線をそちらに向ける。
「……。」
が、懸念もある。
いくら掌握したとはいえ、相手は巨大なスフィアだ。
果たして動かすことはできるのか?
なお、俺の経験では、そんな巨大なスフィアなんて扱ったことはない。
見掛けるのも、そうないし。
使い手のマフィンからも、見せてもらったことはない。持ってはいると思うが。
まして、いくら何でも無茶だと、隊員さんから言われて。
かつ、補助として、サカマタさんたちを向かわせると言っていたし。
「……で、動かせるの?」
そうであっても、参考までに一応、聞いてみた。
今現在でも、沢山のスフィアを扱っているのだから。
無茶ではないかと疑問もあって。
《できます。》
「……言い切った……。できるんだ……。」
当の盾は、短い言葉ではっきりと言い切った。
その言い切りに、よく分からないが、冷や汗も出てきてしまった。
今まで見たことないが、果たしてできるのか、その予想できないそれに。
「!」
俺の不安は聞かず、盾はなおも作業を進めて。
巨大なスフィアを動かしているようで、光の柱の中に。
より眩い光が上ってきているのが見て取れた。
《?!な、ちょ?!スフィアが……?!や、大和、何を?!》
「!!い、いや、俺じゃない。盾だ。艦船用のスフィアを、動かしているらしいんだ。」
《?!うぇぁ?!……な、何それ……。遠方でのコントロールだけじゃなく、巨大なスフィアまでもっ?!》
「……で、できるらしい……。いや、できている?」
マフィンが通信を入れて来るや、驚愕している様子。
もちろん、俺がやったわけではなく、盾だと、説明するなら。
素っ頓狂な声を上げて、より驚愕する。
《……。》
最後、曖昧な感じで、盾ができるとか言っていたなら。
マフィンはついに言葉を失った。
バイザー上でも、驚愕し、唖然としている様子が伺える。
「!」
と、そうであっても、俺たちが驚愕していようが。
お構いなしに、盾は作業を続けていて。
ついに取り出したか、一層強い輝きが向こうに見えた。
いきなりそうなるものだから、視線を向けたなら、目が眩みそうになる。
また、浮力を失った残骸は、瓦解しながら沈んでいく。
物悲しい、軋む音を立てながら。
「……。」
《……。》
俺とマフィン二人、どう言っていいか分からないでいる。
ただ、スフィアの輝きだけが、美しく照らしていて。
《あなたのその盾、量産したらすごいことになりそうだわ。》
「……思った。」
マフィンが呟くが、俺は、何とも言えず、頷くしかない。
《すっごーい!大きなスフィア!大和ちゃん流石!!》
「……。」
一方で、能天気なアビーは、巨大なスフィアを目にして、大喜び。
そこに、俺やマフィンのような懸念はない。
むしろ、自分のことのように、喜んでいた。
「……ここは、喜ぶべきところかな?」
ここは素直に、喜ぶべきところだろうか?
アビーの様子に、つい疑問を抱いてしまう。
「?」
そんな疑問も、レーダー上の影への気付きに消され。
アビーへの疑問を呈したその時に、3つ、見慣れた影が接近してきて。
さらに識別信号が送られるなら、味方表示される。
《後方より接近。対象はこちらと同じ、ウィングビット。なお、遠隔による、人為的操作を行っています。》
「!……となると。」
その影への解説は、やはり盾が行っていて。
味方なうえ、かつ、こちらと同じように操作されているとなると。
《いよっ!お待たせ!》
《手助けに来たぜ!でっかい獲物がいるってんでな!》
《スフィアの回収は、サカマタたちに任せいりゃいい。俺たちは、航路の邪魔になる残骸さえ破壊すれば、な。》
それぞれに通信と顔が表示されて。
味方で、そう、俺たちよりも先に、ウィングビットを操作していた人たちだ。
すぐに心強さを感じ取ったものの、しかし、残念でもある。
なぜなら、残骸は沈み、巨大なスフィアは、既に回収していたから。
《って?!うそぉ!あいつらだけでやっちまったってか?!》
《おいおい!こちとら、母艦を何回往復したことやら。それをあいつら、一度も戻らずに。……って、マジか?!》
《見ろよ!あれ!一機だけスフィアを周りに侍らせてる奴!マジで、魔法を見せているぜ!》
《?!マジだ……。だけじゃねぇ、一個見ろよ。》
《……?!》
《嘘だろ……。艦船用のスフィアまで、侍らせてやがる。スフィアのハーレムだぜ、ありゃあ。》
《現実なら、いや、現実だろうけど、大金持ちだぜ、おい。ウィザードって奴は、俺たちよりもはるか高みにいるのかよ……。》
「……。」
近付いて、確認しているなら、口々に言ってくる。
様子から、相当驚いている様子が見れた。
《どうした?でっかい爆弾でも見つけたか?》
「!」
そんな、他の人たちのやり取りに割り込んできたのは、あの隊員さん。
《おいおい!ビリー。聞けよ。》
《あ、おう。どった?》
《ウィザードの奴が、でっかい艦船を破砕してな。》
《……特段無理じゃないだろ?》
《だけじゃねぇ、スフィアまで回収してやがる。》
《あ?!》
あの隊員さん、いや、ビリーさんって言うのか。
ビリーさんは、報告を聞き驚愕の声を上げた。
《んな無茶な?!いくら回収できる装置があっても、艦船用の巨大なスフィアは無理だろ?!》
《普通なら、だろ?とんでもない魔術を使える、ウィザードなら……ってのはどうだ?》
《ぬぬぬ……。俺もまた、見せられていたってことか。侮れねぇな、大和って奴は。……それよりも、詳しい映像、回してくれ。》
《お安い御用っと!》
いくら何でも、それは不可能だと言うものの。
他の人が言うことには。
そんなことを可能にする、魔法を使えると言われたなら、納得。
加えて、ビリーさんは見たく、映像を回してくれと頼んでもいた
「……。」
言われて、どこか複雑だ。
どうも、この盾と俺は、一体であるということで。
そのおかげか知らないが。
ウィザードによる、すっごーい!エピソードが加わることになってしまった。
《はぁぁ……全くの予想外。稀代の申し子だな、こりゃ。もしこのまま訓練したら、この艦一のパイロットだぞ、下手すりゃ。》
《おぉ!じゃあ、ホンダにでも頼むか?カスタム機を作ってくれるかもな!》
《あと、スズキも加えりゃ、最強だな。》
《……ってお前ら!やめとけ!!あいつら言ったら、本気で作りかねんぞ!》
《あははっ!傑作だな、そりゃ!》
《……はぁぁ。こういうの大好きな連中だもんな……。》
映像を回してもらって、呆れの溜息に。
さらには、もし、このまま訓練をし続けたなら。
もっとすごい人間になってしまうかもなとも言っていて。
なお、他の隊員さんは、笑いながら冷やかして。
何でも、大和ちゃん専用機を作りかねないとも。聞いていて、また呆れていた。
言われている俺は、苦笑しか浮かべない。
《……さぁて、んなことより、でっかい残骸は破壊したんなら、あとは他にないかのスキャンをっと。3機ならまだしも、6機も揃えば、楽だろ?やってくれよ。》
「!」
《おっと!そうだな。まだ帰艦にははえーし。またいっちょやりますか!》
呆れとかそれよりもとして、ビリーさんは手を叩くなら。
まだこの海域に何か残っていないかの調査を言ってきた。
言われた隊員さんは、もう一仕事と気合を入れ直している。
《ああそうだ!映像を回すぜ。解析お願い!》
気合入れた後すぐに、ついでとばかりに、映像をビリーさんに回していた。
《ああ。残骸とかの解析は任せろ。探索しといてくれよ。》
《了解。》
そうして、ビリーさんも仕事に就いた。
《……っと待てよ……。》
「?」
など言ったすぐに。
解析を終えたか、不穏を込めた口調でビリーさんは言ってきた。
気になり、首を傾げていると。
《……おい。左上、もう少し拡大してくれ。》
何やら、指示を出していて。
合わせて、こちらに表示されている情報にも反映され、拡大される。
「?」
何が気になっているのか疑問に思う。
映っているのは、艦船の残骸で。
それも、近くにある小島に、座礁する形で浮いている物だが。
普通の艦船ではなく、特徴的な、何か、牽引するようなレール。
あるいは、何か巻き上げる際に、伝わせるようなレールか。
が左右対称に、艦尾に配置された形状である。
錆が目立つが、軍艦であるのは分かった。
まあ、俺が思うことは、そこらに浮遊している残骸よろしく。
単なる残骸の一つとしか認識できない。
《……こいつは……。敷設艦だ!》
「……?」
ビリーさんが言うことには、敷設艦とのことで。
……その言葉について思ったことは、……何だそれ?
頭に疑問符を浮かべてしまう。
《……その顔じゃ、分かってなさそうだな。》
「!……は、はい。」
もちろん、ビリーさんには見抜かれて。
俺は、否定することなく、素直に頷く。
《簡単に言ったら、海底ケーブルとかを海に敷設する機能を持つ艦ってことだぜ。だが、こいつは違う。》
「!……。」
簡単な説明をし始めてくれたが。
ただ事ではなさそうだ、言葉切りに、俺は唾を飲み込む。
《……機雷敷設艦だ。》
「!」
続きを言ってきたなら、その言葉に俺は、またぞくりと背筋を凍らせた。
機雷敷設艦というと。
敷設艦と機雷で、合わさるなら。
つまりは、艦船を攻撃する兵器たる、機雷を敷設。
あるいは、ばら撒く艦船のことだ。
意味することに気付くなら、つまりは。
《分かるか?》
「……ええと、何となくは……。」
察しているのか、聞いてくる。




