こうりつのいいすふぃあがりだねっ!
「……ごめんよ、つまらないこと聞いて。」
《!……いいわ。でも、その疑問よりも、他に気になることはあるのは、確かね。あなたの言う通り、……どうするのかしら、残骸のスフィアは。》
「!」
こんな質問をしたのも、何だか愚かだったのかもしれなく思い。
素直に俺は、謝ることにしたが、マフィンは気にしていない様子。
それよりもとして挙げたのは、やはり残骸のこと。
残骸を破壊するのはいいとしても。
その中にあるスフィアはどうするこのか、ということだ。
「……聞いてみるか。」
手っ取り早い方法は、別段ここで思案することではない。
なら、この作業に従事している誰かに、聞けばいいとして、俺は提案した。
《その方が賢明ね。》
マフィンも同意してくれる。
「……っと。すみません!」
《お!どうした?》
マフィンの同意を聞き終えてすぐに、俺は隊員さんに聞く。
隊員さんは耳を傾けてくれた。
「残骸を破壊するのはいいですが、スフィアを見付けた場合はどうします?」
《……お~!それだったら、その機体下部にな、取り付けられる場所があるのさ!上手く誘導すれば、プローブが起動して、スフィアをがっちりつかんで、回収するって、寸法さ。回収が難しくても大丈夫!その地点に、サカマタの連中を向かわせりゃぁ、一丁上がりよ!》
「わ、分かりました。やってみます。」
聞くと、どうやら、この機体の下部に、取り付けられる場所があり。
上手く動かして、機体下部に収容できるということらしい。
頷き、作業を再開しようとしたなら。
《あ、だがちょっと待って。》
「?」
待ったが掛かる。
《機体で回収することはできるが、せいぜい一個までだ。回収したら、一旦母艦に戻ってきてくれ!こちらで受け取る。》
「!は、はい。」
付け加えることがあったようだ。
この機体で回収できるのは、一個までだということらしく。
回収したなら、一旦母艦に引き返さないといけないらしい。
付け加えにまた、頷きを返すなら。
《それじゃ!健闘を祈る!》
「はい!」
最後は、祈られる。祈りを受け取って俺は。
作業に戻るなら、今度はマフィンやアビーに通信をした。
「……だそうだ。この機体自体で回収できるってさ。でも、一個までだから、回収したら一旦、帰艦しろって。」
《へぇ。そうなのね。……行って戻っての繰り返しだと、何だか……。》
伝えたならマフィンは、納得はしたものの。
最後、どこか複雑そうな物言いを残してしまう。
疑問に、首を傾げていると。
《何だか~疲れちゃいそう~……。》
「!」
アビーがまず、言ってくる。
《アビー……。まあ、何となく私も思っていたわ。》
マフィンも続く。
「俺も……。何だか、そう、これは。……効率が悪い……。」
《効率が悪い。》
「!……。」
俺も同意見で、紡ぐなら、マフィンと被ってしまう。
ただ、大っぴらに言うわけにもいかず、つい口ごもってしまった。
聞かれやしないかと、多少冷や汗をかくものの、だが、何も言ってこない。
聞かないことにしているのかもしれない。あるいは、通信を切っていたか。
幸いだ。が、それ以前に、効率の悪さは露見して、何にも言えない。
《普通のスフィア狩りなら、ポケットに入れたりできるのに~……。》
アビーは、残念そうだ。
《それもそうだけど、その前にすることはあるからね、進めましょう。》
「!だね。」
そうであっても、スフィアの回収作業も何も。
残骸の破砕をしなければ始まらないと、マフィンは手を叩いて、作業に戻らせる。
場合によっては、細かくすることによって。
浮力を失って沈む物もあるかもしれないから。
マフィンの、鶴の一声に、アビーは静かになり、作業に取り掛かる。
俺もまたスフィア回収よりも先の、破砕作業に戻った。
画面には、相変わらず、スフィアの存在を示す、濃いもやの表示はあり。
破砕作業の続きとして、その場所目掛けて、機銃を撃ち込んだ。
連続で打ち込むうちに、厚い装甲は砕かれ。
やがては、浮力の根源たる、光り輝く水晶玉を曝け出していく。
スフィアだ。
「……。」
なら、言われた通り機体下部のプローブだか何だか。
使って回収をすればいいのだが。
稼働させたなら、モニターには丁度機体下部の様子も表示されて。
目視で様子を伺えるようだ。
後は合わせて、回収しやすいようにすればいいだけだと。
機体を上手く動かして、合わせていく。
今更ながら気付いたことだが。
この機体は、シミュレーターでもやった戦闘機とは違い。
低速状態で失速して、墜ちることがないらしい。
むしろ、ヘリみたいにその場に留まれもする。
だから、いわゆる機体下部を、目標に合わせるのも、容易。
《……うぅ~……。》
「?」
と、通信にアビーの唸り声が聞こえる。面倒臭そうな顔をしてもいる。
《アビー。仕方ないでしょ?これしか方法がないって言われているから。》
《え~……。でもでも、マフィンちゃんなら、手をかざすだけでスフィアを呼び寄せることができるじゃない。ここでやって見せてよ!そしたら、何だか簡単にできそうだよ~!》
「……。」
ならもっと、画期的なアイデアをと求めている様子で。
挙句マフィンに何だか無茶振りなことを言っていた。
それも、遠隔からスフィアをコントロールする。
そうして、呼び寄せて回収をするというものだ。
《……あのね……。私だって難しいことはあるのよ。たとえコントロールしようにも、距離があり過ぎるわ。その期待には応えられないわ。》
《そっか~……。》
《ごめんなさいね。でも、これが私の限界だから。》
当然、無茶振りだった。
マフィンは応じられないと謝り、アビーは、項垂れてかつ、耳を垂らして。
聞いていて、遠隔のコントロールも無理かと俺は。
残念に小さく溜息をついてしまう。
マフィンができないなら、俺でもできないと感じ。
地道にやるしかないと少し残念にも思った。
《スフィアが露出したことにより、コントロールが可能になりました。いかがなさいますか?現在、露出したスフィアは、誰からのコントロールも受けておりませんので、掌握は可能です。》
「?!で、できるの?!」
《?!な、何?!どうしたの?!》
溜息と残念が、思わぬことを引き連れてきた。
盾は冷静に分析していたようで、また、俺の破砕作業が功を奏したらしく。
何と、盾はコントロールして見せると言うのだ。
思わぬそれに、ぎょっとしてしまう。
マフィンも、気付いて声を上げた。
《遠方地であるためと、機体を中継しての行動であるため、通常の操作よりもタイムラグが発生しますが、可能です。いかがなさいますか?》
「……。」
追加でなお、解説も盾はして。
俺は、しかし、迂闊に決断しない。
万が一、迷惑を掛けてしまうと、何かと問題になりそうだ。
「ええと、マフィン?」
《!な、何?それと、私こそ、ど、どうしたの?》
「楽に回収する方法を見付けたんだ。」
《……ええと……どういう方法?》
厄介なことになる前に、確認のためにマフィンに声を掛ける。
マフィンは、先の俺のこともまた気に掛けていて。
なお、気に掛けに応じるよりも。
盾が示したことを先に述べさせてもらいたく思い、俺は続ける。
「何でも、俺の盾がコントロールするってさ。できるらしいよ?」
《……あの盾、やっぱり何でもできるわね……。それにあなた、直接持ち込んでいるわけだし……。今更もう、突っ込まないでおくけど、それ、私に言うよりも、隊員さんに言っては?》
「!あ、そうか。」
説明するなら、マフィンは複雑な顔をしてしまうが。
ただ、自分に言うよりは。
ここを指揮している人に言ってはとアドバイスも付け加えてくれた。
気付いた俺は、確かにと思い、頷きを返して、通信を切り替えた。
「……ええと、相談なのですが……。」
《お!どうした?トイレにでも行きたいか?》
「……いえ、そうではないんです。スフィアの回収ですけれども、遠隔で操作する方法を見付けまして……。」
《?!おほっ!マジで!!楽な方法を見付けたのか!いやぁ~、俺たちもさ、ちまちまやるこれに、実際辟易しててな~!》
「……あ、はぁ……。」
例の隊員さんに相談を持ち掛けたなら、最初は勘違いされたが。
盾が示した方法を言うなら、思ったよりもフランクな反応が返ってくる。
どうやら、隊員さんを含む、色々な人たちも実は、辟易している様子。
その様子に、曖昧な返事を返すしかない。
《……で、だ。できんのか?》
「!」
翻って、フランクな様子から真剣に、興味を込めて、深堀したく聞いてくる。
翻ったそれに、つい身を引いてしまうが。
聞き入ってくれるならと、こちらも真剣になる。
「……できます。」
《……。》
「!」
言い切ると、隊員さんは、しかし何も言わず、ニヤリと笑う。
不敵な笑みとも捉えられた。
なぜだろうかと、首を傾げていると。
《是非やってくれよ!ウィザードが見せる、魔法ってやつをな!》
「!!」
間を空けて、是非やってくれと承諾をしてきた。
が、付け加えには、気になる言葉もある。
ウィザードの魔法、とか。
……かなりの期待が込められていると、感じてしまった。
「ええと、本当にいいんですか?規範にないことだったりするわけですし。」
ただ俺は、このままというのも何だか気が引ける。
このままそうしてしまうと色々と問題になるのではないかと、不安がよぎり。
改めて問うと。
《いいに決まっているさ!こう、早く航路が開けるってのは、素早く作戦を展開する上では重要な……、っと難しいか。まあ何だ、早いことに越したことはないのさ!やってくれよ!まあ、記録映像は取らせてもらうぜ?何せ、ウィザードの魔法を見せてくれるってんだからな!はははは!!》
「……は、はぁ。わ、分かりました。では……。」
隊員さんは、気にも留めていないというか、むしろ、望んでもいた。
そう言われるならと、俺は頷くしかなく。
「で、では。始めますね。」
《おう!やってくれ!ついでに、他の奴らにも声掛けとくわ。今から、天下の魔術師のショーが始まるってな!》
「……はい。」
始めると、宣言するなら。
ついでにその隊員さんは、今からショーが始まるとでも言いたく。
ワクワクした様子を返している。
この勢いは止まらないと思ったなら俺は、突っ込むのもやめて。
作業に取り掛かることにした。
「……じゃあ、スフィアのリモートコントロールをお願い。」
《了解しました。アクセス開始。コード伝達完了。コントロールをこちらに移行しました。稼働させます。》
「……早いね。」
その作業を盾に命じるなら、早速動かして。すぐに終わらせてしまう。
その速さには、感心した。
盾が命じるならば、破砕した残骸からスフィアの輝きが強く、空まで伸びて。
合わせて、スフィアがゆっくりと浮かび上がってきた。
反対に、スフィアによる浮力を失った残骸は、周辺を泡立てながら沈んで。
物悲しさを一瞬感じはしてしまう。
それはそうとして、浮遊したスフィアは、こちらの機体に向かい。
並んで浮遊する。
どうやら、コントロールがこちら側にあるようだ。




