すふぃあがり?!すふぃあがりだね!
「ざ、残骸が沢山……!」
《危険そうな物ありそうか?》
「!……ええと。」
うっかり呟くなら、隊員さんは聞き取っていて。
指示することには、危険な物があるかどうか。
よく、残骸を見つめて。
形はまばらだが、大きさはそれなりにある。
ぶつかると、艦にダメージがありそうな物ばかり。
ただ、いわゆる機雷という類の物は見当たらない。
「……大きな残骸が多数、ですね。ただ、機雷の類は見受けられません。」
《そっか。おうし!まあ、解体できる物は解体しよう!無理な物は、……サカマタん所に任せよっと。》
「は、はぁ……。」
伝えるなら、解体作業を示す。
ただし、難しい物は、サカマタさんたちに任せるという感じだ。
よく分からないが、返事をする。
《っと、解体だが……。できることは、機銃掃射だな。上手くすれば、細かくできるし、場合によっては、スフィアを取って、沈められるかもな。とりあえずやってみてくれ!》
「!わ、分かりました。」
具体的な方法は、この機体に付いている機銃を使うものらしく。
ならばと、理解を示して俺は、頷きを返した。
「……。」
思うことがまた、通信を終えて出てくる。
スフィアを残骸から取るということは。
いわゆるスフィア狩りのように思えてならない。
《ねねね!海の上で、スフィア狩りだね!》
「!」
アビーから通信があり。
俺と同じことを思っていたらしい。
《同感だわ。まさか、こんな所でやるとは思っていなかったけど。》
マフィンもまた、思っていたようだ、そう言ってくる。
皮肉に、何だか小さく溜息もついている。
「……だね。……けど……。」
同感だということでこちらも頷きを返すが、懸念もある。
どうやって、そのスフィアの場所を見付けるということで。
「……スフィアどこにあるかな?」
つい、口にしてみた。
《……。》
マフィンは押し黙る。
その向こうでは、思案している様子だ、微かな唸り声のようなものを上げていた。
《わっかんないや!》
「……だろうね。」
傍ら、アビーも言う。可愛らしく、相変わらずな様子だが。
《只今、残骸をスキャンいたしました。スフィアの活性を確認、画面等に、表示いたします。》
「!」
回答が得られないと思っていたが。
流石は何でもできちゃう盾だけはある、もう何かしていた。
その間情報を解析しており、何か結果を得たらしい。
そのためか、モニターといい。
コックピットの窓部分といいに、表示がされていて。
表示は、残骸の部分に、濃いもやのような感じで表示されている。
「……。」
なるほど、弱点を表示して、分かりやすくしてくれるのには。
ありがたく思うものの、また疑問が。
「……機銃で壊せるかな?」
と。
戦闘機なら分からなくもないが。
より大きな物品に対しては、有効かどうかが疑問になる。
《当機に装備されている機銃は、高出力圧縮パルスレーザーですので、非常に高威力と思われます。対象が頑丈であっても、ダメージは通りますので、連射していけば、装甲も破壊できます。なお、調整すれば、より高威力にすることもできますので、検討される場合は、ご指示をよろしくお願いします。》
「……なるほど。……って、調整は流石に……。」
疑問はすぐ解決する。
盾が言うことには。
比較的高威力のようだから、破砕はできるという回答のようだ。
だが、出力もついでに調整できると言ってはいるが。
流石にそれは、無断でするわけにもいかない。
その辺は、断りはしておいた。
「!そうだ……。」
威力といい、そういうことよりも、重要なことが頭に浮かぶ。
「マフィンや、アビーにも、情報を渡そうよ。一人じゃ、流石に何だか、悪い気がする。」
情報の共有だ。
この、スフィアの位置情報、独り占めするのも悪く。
また、いつもスフィア狩りに行く時は、皆一緒だったし。
「マフィン!アビー!スフィアの位置が分かったよ!今から、通信するから、受け取って!」
《え?!分かったの?》
通信に、マフィンとアビーを呼んだら、まずマフィンが出て。
驚いたような口調で聞いてきた。
「!……ああ。あの、盾が解析してくれて。だから、送るよ。」
《……やっぱり十徳盾だわ。いいえ、もっと徳がありそうだわね。村に帰ったら、後でカワマツリさんに見てもらおうかしら?》
「……それは、……ちょっと……。」
解析してくれたことを述べたまではいいが。
感想としては、本当に何でもできる十徳盾のようだということと。
さらには、その盾自体の解析に、カワマツリさんの名前まで出す始末。
俺は、マフィンの言葉に、複雑な返答を出してしまう。
《……まあそれより……。確かに受け取ったわ。分かりやすいわね。》
《!ほんとだー!!大和ちゃん、すっごーい!!》
「あ、ありがとう。」
その、複雑な気持ちになった言葉は置いておいて。
マフィンは受け取って、分かりやすいと言い。
加えて、アビーもまた続き、いつもの名台詞を付け加えた。
素直にお礼を俺は述べる。
《……変な大和だこと。お礼を言いたのは、私たちの方よ。まあ、そういう所は大和らしいわね。》
「あ、あはは。」
マフィンは、むしろお礼を言うのは自分たちだということでと指摘。
俺は、しかし、苦笑しか返せず。
《ねねね!!!早く早く!スフィア狩りだよ!!やろーよ!》
《……全くこの子は……。》
「……。」
方や、そのことを気にせずに、はしゃぐ子どものような態度で。
通信してくるのはアビーである。
らしく、スフィア狩りに興じそうで。
マフィンとは逆のリアクションに、マフィンは呆れて。
俺は、苦笑をより深めてしまう。
まあ確かに、この哨戒は任されたこと。
残骸の破砕は、早ければ早いほど、いいだろう。
なお、アビーは、呆れるマフィンや苦笑の俺を置いておいて。
残骸に向かって機銃掃射を始めてしまう。
《いっくぞー!それー!!》
まるで、子どもが遊ぶような感覚で。
「……しょうがないや。だって、破砕してくれって言われているから。」
俺は、このことは任されたことなのだから、やむを得ないと納得。
《……そうね。見ているだけじゃ、だめだしね。やりましょう。》
「ああ。」
マフィンもまた。
その言葉に頷いたなら、マフィンは確認して、大量の残骸に向かって。
アビーと同じように機銃を掃射し始めた。
俺も続く。
操縦桿のトリガーに指をやり、引けば、一定リズムで光弾が発射されていく。
近くの残骸に当たったなら、残骸から、金属が弾け散る様子を見る。
当たった部分は、赤く焼け、威力を物語る。
確かに、盾の言った通り、威力は相当なもののようだ。
一撃でこれなら、連発すれば、大穴を開けることも容易いだろう。
そうして、スフィアを出せば後は……。
「……?」
後は、というところで、件の残骸よろしく、疑問まで浮上する。
スフィアが起動しているから浮上しているのであり。
スフィアを破壊ないしは回収はどうするのだろうか?
剥き出しにしたなら、後はスフィアをどうにかするだけだが。
「……ねぇ。スフィアはどうすればいいと思う?破壊する?」
《スフィアの破壊はお薦めできません。まず、光子拡散率が高く、当機の機銃では傷が付けらえませんし、仮に完全破壊ができたと想定すると、反動として、広大なエリアが破壊される恐れがあります。》
「……ええと。」
質問への回答はしてくれたが。
あんまり有意義なことではなさそうだ。
「具体的に言うと……?」
具体的に、どのようなことだか、深堀をしてみる。
《この残骸を爆心地に、半径2kmの同心円状に、爆発が起こります。また、余波として、巨大な津波も発生、付近一帯を破壊する恐れがあります。他にも、当機の母艦へ、かなりのダメージが予想されます。》
「……な、なるほど……。」
具体的な説明の他、地図に色々と表示をして丁寧に説明をしてくれる。
見ると、目標の残骸を中心に、同心円を描いて。
その爆発の範囲を示しているが、その円状に、今こちらの母艦まで入っている。
爆発がしたとなると、ここまでダメージが響くということらしい。
「……。」
聞いてなるほどと思いつつ、頭の片隅では、恐怖まで沸き立った。
スフィアの大きさがどうであれ。
多分小さくてもそのような破壊力をもたらすのなら。
普段から俺は、何て物を使っているのかと思ってしまう。
まあ、なるほどという感心の中には。
だから小さくても、マキナを動かせるのかともあるが。
「……で、歴史上、そんな破壊したことのある事例は……あるのかな?」
《残念ながら、その質問への回答はできません。データ不足です。》
「……そっか。」
なら、さらに深堀したく思い、つい続けてしまうが。
盾はデータがないらしくこれ以上の回答は望めないようだ。
「……マフィンに聞いてみようかな?」
なら、詳しい人はとして、思い付くのはマフィンである。
忙しくないなら、応対もしてくれそうな気がする。
「……と、いうわけで、マフィン。」
《?!な、何?あと、何が、〝と、いうわけで〟なの?》
ならばと、マフィンに聞いてみることにする。
すると、マフィンは突っ込みを入れつつ、対応してくれる。
「忙しくないなら、だけどね。」
《……そもそも、あなたも同じことをしているのだから、その言い回しはどこか、おかしいと思うけどね……。》
「……なら、この点は流してくれていいよ。変なこと聞くけどさ。」
《ええ。》
「スフィアって、破壊したらどうなるの?」
《……うぇっ?!》
「……?」
断りを入れたが、聞き流してくれるようだ。
ならばと、本題に入ったはいいものの。
まず聞こえてきたのは、変に素っ頓狂な声で。
何でだろうか、首を傾げる。
表示されている顔も、質問にぎょっとしている様子だ。
《……一体何を聞いてくるかと思ったら、何その質問。》
「!……まずかったかな。いや、さ。このまま残骸を破壊するのはいいけど、スフィアで浮上している以上、スフィアをどうにかしないとって思ってね。だからその前に、壊すとどうなるか~って思って。」
《……。》
ぎょっとした勢いながらも、口を動かしてはきた。
一応目的があるとして、俺は説明をしたが。
マフィンは、押し黙り、気まずそうな顔をして、思案している。
《……私もよくは知らないわ。けど……。》
「!」
思案はすぐ終わり、今からも紡ぎそうな感じを出す。
俺は顔を上げて、聞き入るように耳を澄ました。
《……光放つスフィアを破壊する者は、祟られるって謂れを私は、お婆さまから聞いたことはあるわ。まあ、それ以前に、破壊しようとして、消えた町があるという噂もあってね。でも、それ以上は聞いたことがない。破壊したらどうなるか、なんてのは、特に私たちの間では、語られることもないし。……これぐらいかしらね?私が知っているのは。》
「……あ、ありがとう。」
マフィンは語り終える。
そのマフィンに、お礼を言って。
その内容は、いまいちピンとこないことで。
伝承レベルか、噂レベルでしかないようだ。
ここはどうやら、マフィンでも分からない様子。




