表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【ねこみみゆうしゃ大和ちゃん】ようこそ!リオンキングダムへ  作者: にゃんもるベンゼン
かわをみにいったら、おとこのこが
8/186

おふろあがりにびっくり!

 子供たちの騒がしくも楽しげな声が終わったなら、次は俺と、レオおじさんの番となる。

 「!おっし。行くか。」

 「!あ、はい。」

 レオおじさんは立ち上がり、にっこりと笑って俺の肩を叩き、催促してくる。

 俺もまた頷いて、立ち、レオおじさんに続いた。

 脱衣所に来ると、洗濯物の多さに、言葉を失う。 

 大家族なだけはある。

 洗濯物が山積みになっている場所に、見え隠れする籠の一部から、多さを物語る。

 洗濯物を出すのに、何だか申し訳なく思えてくる。

 「おうおう!気にせんでいい!ほら、そこ。アビーの服もあるだろ?」

 俺が戸惑っていると察したレオおじさんは、気にしなくていいと言い、ついでに指もさす。 

 その向こうにあるのは、無造作に置かれた、アビーの服。

 結構躊躇なく出していることから、性格をも感じ取れるほどだ。

 「……。分かりました。」  

 他人にお世話になること事態に戸惑いはあるが。

 息を呑み、俺は自分の着ていた服を脱ぎ、洗濯物の山に入れて。

 浴場に足を進めていく。

 後から、レオおじさんも続いてきて。 

 「!!」

 俺はちらりと見た、レオおじさんの姿に息を呑む。

 服からでも分かる、筋肉質な体形は、露になった際、より際立って。

 「……。」

 何だか、比べると俺の肉体が、貧相にさえ思えてくる。

 「!……がははは。気にすんな!お前さんはお前さんのいい所があんだから、な!」

 「!……あはは。」

 俺の考え何て、簡単に察された。レオおじさんは、笑い飛ばしてくれる。

 釣られて俺も、笑みを漏らした。

 さて、男同士二人で入ることになった浴場。

 大きな、木を組んで作られた浴槽は、お湯を沢山に湛えてはいるものの、子供たちの暴れっぷりを想起させる、辺り一面に、むやみやたらに一部は飛び散っていた。

 浴室、浴槽共に広いが、大人数だと狭いな。

 「おっし!大和!背中洗ってやる!」

 「!あ、はい!」

 浴室を見ながら、思い巡らせていたなら、レオおじさんが椅子を持ってきて。

 座っていいよと指示し。

 俺は、頷いて、遠慮せず座り、背中を向ける。

 「んじゃ。始めっか。」

 後ろでスポンジタオルを泡立てたなら、レオおじさんは言って、俺が向けた、背中にあてがって、擦りだす。

 「?!い、いててて?!」

 有難いが、……力が強すぎた。感じる痛覚に、思わず悲鳴を上げてしまう。  

 「!うぉっと。……すまんすまん。子供たちにするみたいに、やってしまったぜ……。」

 「……い、いえ。大丈夫です……。」

 入れ過ぎたと、レオおじさんは謝ってきて。俺は、大丈夫だと言う。

 「……!……。」

 それならばと、レオおじさんは力を緩めて、擦り。

 強い押しを感じるが、痛くはなく、安堵し、背中を預けて。

 それから擦っている最中、無言だが思っていることもある。

 子供たちには、俺が痛みを感じるほどの力加減でやっていたのか。

 そう思うとレオおじさんの子供たちは、見かけによらず、頑丈なのかもしれない。

 背中洗いが終わったら、今度はレオおじさんの番に。

 入れ替わりで、レオおじさんが椅子に座り、背中を向ける。

 「!」

 同じように、スポンジタオルを泡立てて、背中を見ると、その筋肉の付き具合に、また息を呑む。

 その背中は、背の高さは元より、筋肉により、さらに大きく見え。

 また、不思議なこともある。 

 レオおじさんの前面は、主に夫婦喧嘩ではあるが、傷跡が多くあるのに対し、背中には見受けられない。

 それは、……生きていて、色々あったけど、背中を向けたことはないという、現われか?

 「?おい、どうした?」

 「い、いえ……。」

 見とれていたら、レオおじさんが声を掛けてくる。

 俺は、言葉詰まらせながらだが、続けるつもりで。

 「……その、レオおじさん。背中、きれいですね……。」

 そう言葉を紡いだ。

 「がっははは!俺を口説いているのか?そういうのは、アビーちゃんにでもしてやれよ!……って、まあ。そういうわけでもないか。」

 「……あ、はい。何でだろうな、って。」

 聞いたレオおじさんは、最初肌の綺麗さを言われ、口説いているのかと笑い飛ばすが、そうではないという意図を汲み取り、最後、言葉を変える。

 俺は追うように続けることは、何でだろかの疑問で。

 「……。それはな……。」

 レオおじさんは、俺の質問に答えるようで。

 意味深な表情をしながら言葉を紡ぎ出す。

 「……野獣相手に、背中向けたらダメだろ?血気盛んな相手だ、背を向けたら即襲われる。……だからさ。食い止めるためにも、俺は背を向けずに戦ってきたそう言うことだ。がははは。」 

 「……なるほど。」

 紡ぎ出された言葉には、勇気さえ感じるもので。 

 村を守るために、背を向けず戦ってきた。

 そういう、ある意味、英雄とは何たるか、言葉もそうだが、背中までも語る。

 格好も、よく見える。

 「……ん?」

 見えた所で、ふとした疑問、いや、齟齬を感じて。

 アビーから聞いた話だと、古傷の多くは、エルザおばさんとの喧嘩でついた、ということだったけど……。

 「……立ち向かってきたから、背中に傷はないのは分かりましたが。その、前面の古傷は……?」

 「!!!」

 その真相はと、俺は聞いてみて。

 すると、一転して、身震いし、背筋を強張らせる。

 「うぅ~。古傷がぁ~……。」

 「!す、すみません。いらないこと聞きました……。」

 「い、いやいいんだ。」

 冗談かどうか知らないが、腕やら肩にある傷跡に手を添えては、何だか痛そうにして。

 その様子は、先の誇らしい大男とは反対に、怯えている様子で。

 俺は、聞かなかったことにしようとするものの、レオおじさんは続けようとする。

 首を後ろに向けて、怯える瞳をこちらに向けながら、口を動かして。

 「笑わない?」

 「……大丈夫です。」 

 最初、笑わない?と聞いて来る。俺は、大丈夫だと、聞き入って。

 「……おk。この、これらの傷はな、こんな俺でもおっかねえ生き物から付けられたもんだよ。」

 「……はぁ。」

 紡がれ始める、言葉。生返事ながら、相槌打って。

 「……野獣なんかよりも、怖い。……そうだよ。母ちゃんさ。」

 「……エルザおばさんでしたか。」

 その正体を告げたなら、レオおじさんは両腕を組み、身震いして。

 知ってはいたが、合わせて俺は、納得し。

 「……その、ええと。じゃあ、話題変えましょう。楽しくなる話題とか。」

 この件はもう終わった。

 なら、話題を変えて、折角汚れ落としと、温まりに来ているんだ、もっと、良いものをと俺は提案する。

 「!ああ、そうだな。……さて、何がいいかな。」

 レオおじさんも、気を取り直して、話題を考える。

 その間俺は、背中洗いをして。

 思いついた話題に、相槌打ちながら。

 時に笑い、その後のお風呂タイムを満喫した。

 

 お風呂から上がり、二人とも服を着る。

 湯気をも纏い、広間に向かうその最中にて。

 「おおっと!大和ちゃん!あんたもなかなかやるね!」

 「?!はっ?!」

 広間の入り口からエルザおばさんが顔を出し、にやりと笑みを浮かべては、気になることを言ってくる。 

 何のことやら分からず、驚きの声を上げた後、首を傾げて。

 ……さて、その真意知るのは、入ってからで。

 「ほっ?!」

 広間に入ってから俺は、素っ頓狂な声を上げてしまう。

 広間に戻っていきなり目についたのは、アビーで。

 だが、服装がおかしい。俺が与えた服だが、下はショートパンツ、きちんと履いているものの、問題は上で。

 アビーはなんと、ブラジャーを付けてはいるものの、貸した服は、ボタン止めシャツだ、その胸元を広げて、良く育った大きな胸を晒していたのだ。

 そんな情景見て、俺は顔を赤くしてしまい、かつ、しまったとも思う。

 アビーのバストサイズを考えていなかった。

 以前、アビーから服を借りた時、下はともかく、上は結構余裕があり過ぎて、ガバガバだった。

 貸した服は、マフィンの採寸により、俺に合わせたもの。

 当然、サイズ違いになる。

 「!あ、大和ちゃん!お帰り~!服ありがとね!」

 「!!あ、ああ……。」

 俺が登場したことに気付いたアビーは、第一声として、お帰りと、感謝を述べて来て。

 そこには、服のサイズ違いなんて、気にしている様子は感じられない。

 俺は、赤面のままのため、しどろもどろになりながら、返事をする。

 「?」

 今日もまた、いつになく続く変な様子に、アビーは首を傾げて。 

 「……えと……。」

 状況的に、目のやり場に困る。

 変に緊張しながら、言葉を紡ごうと口を動かして。

 「……アビー……。その、服のサイズ合ってなくて、ごめん。何だか、変な感じになってさ……。」

 そう伝える。

 アビーは、一瞬理解していない様子を見せ、首を傾げたが。

 理解したなら、顔を明るくして、にっこりと笑みを返す。

 「ううん。いいよいいよ!あたし、気にしない!工夫したら、ちゃんと着れるもん!胸は窮屈だったけど、開けたら楽になったし、こうすると、いつもより何だが涼しいの!」

 そんな俺に、やっぱり気にしていないと返してくれて。

 それ以上に、俺の行いが嬉しかったのだと。なお、そこから窺い知れることには、……自分の胸が曝け出されていることを、気にしていないという感じ。

 ……思うところ、色々あるけれど、この言葉でまとめられる。

 アビーらしいや。

 「なははは!そこら辺気にしないとか、この子も大物ね!さすがは、あの時、帝国に行くことを買って出ただけはあるわ!」

 「……ははは……。」

 アビーのそんな様子を遠目に見ていたエルザおばさんは、大したものだと笑いながら称賛する。 

 その肝っ玉っぷりには、流石とエルザおばさんは認めているのかも。

 釣られて俺も笑うが、何だかまだ緊張もしていて、乾いた笑いでしかない。

 「がはははは!大和もなかなかだが、アビーもなかなか大胆だな。こりゃ、その内俺たちよりも、腹の据わった奴になっかもな!」

 「……ははは……。」

 俺の後ろにいたレオおじさんもまた、アビーの服装を見て、かつ、エルザおばさんの話を聞き、アビーの話も聞いた後、これは将来、敵うまいと想像し、笑い飛ばしてきた。 

 返答としては、不釣り合い、これも乾いた笑いしか浮かばないや。

 レオおじさんは、そんな俺の肩をポンポン叩き、前に進み出て、皆の眼前にその姿を晒す。

 全員の視線、中央において、一挙に集める様子は、家の長であっても、さながら王様にさえ見えてくる。

 先ほどの恥ずかしさも、そんな様子を目にしたら、いつの間にか消えていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ