うぃんぐびっとうごかすの?
「外で、ウィングビットは見た?」
「ええ。」
続いては、甲板のことを聞いてきて。俺はもちろん頷く。
「ここではな、そのウィングビットを操作しているのさ。」
「!」
やがて答えに辿り着く。
その人が言うことは、ここでは、そのウィングビットを操作しているのだ。
「……。」
もちろん、それはそこのタブレットではあるまい。
でなければ、操作についてシミュレーターを指すことはない。
ちなみに、タブレットは多分、管理か何かをしているということか。
「……!」
ということは。
昨日使ったシミュレーターで、あのウィングビットを操作している、と?
気付いたなら、目を見開いた。
「お!それは気付いたって感じだな?その通り、あのカプセルでだ、ウィングビットを操作しているのさ。どうだい?面白いだろ?」
「!……ええ。」
その通りで、その人が言ってきた。俺は、同意に、頷きを返す。
「パイロットじゃない俺たちも、まあ、手伝いって形でやっていてな。いやはや、なかなか大変さ。」
「……は、はぁ。」
頷きを返したなら、その人は苦労話でもしそうで、苦労が垣間見える。
笑みを浮かべて、頭を掻きながら言ってきた。
生返事っぽいが、相槌を打つ。
「こういうのは、パイロットとかもしているんだけどな、今は出払っているし広範囲をくまなくするとなると、そもそも戦闘機が足りない。ま、補うために、こうしてウィングビットでやっているってことさ。」
「え、は、はい……。」
加えて、裏事情も言ってくれた。
苦労話にも捉えられ。
そう言えばと思うこともある。
空母ではあっても、格納庫にはあんまり機体がなかった気がする。
昨日乗船した際には、もっと本格的な空母を見せてくれたこともあって。
おおよそ、この艦の2倍程であったな。
それぐらいであれば、艦載機を沢山載せることも可能だろうが。
この艦では、難しいということか。
「……まあ!けど楽しいさ!何せ、戦闘機乗りになりたかった奴も、ここにはいるからさ、こう、空の仕事ができるのは、な!」
「!」
やがて、苦労をも払拭する、一言に思いっきりな笑みを浮かべた。
楽しそうで何より。
「!にゃ!」
「!」
なお、楽しさはアビーにも伝わる。
こちらの会話は当然耳にしていて、自分の耳を楽しげに跳ねさせるなら。
興味津々とこちらに顔を出してきた。
「楽しそー!」
アビーは、その人の気持ちを体現するように、言ってはにっこりと笑う。
「!お!分かってくれる?へへ、嬉しいな!」
「うんうん!分かるー!」
アビーの言葉に、その人は嬉しそうに返した。
アビーはまた、言っているものの。
しかし、果たして本当に理解しているか、こちらは疑問に思えてきた。
「……はぁ。アビーったら。」
マフィンは、いきなり飛び出すアビーに、呆れて。
「お仕事の邪魔しない。」
「!えー!」
続けて言っては、前に出たアビーの手を取り、引っ張った。
「でもでも!楽しそうだよ?あたしもやってみたい!」
反発はあって、アビーは子どもみたいに言う。顔は、興味深々とした様子で。
「はぁぁ。あなたは子どもじゃないでしょ?またまた、そう言って。ここの人を困らせないの。」
マフィンはめげずに宥めにかかる。
「!」
「!ん?やりたいってか?」
ふと、傍らその人は呟いて、眉をピクリと跳ねさせる。
何か、気付いたか、はたまた閃いたか分からないが。
「……。」
その人は、手を口元にやり、怪訝そうな顔をしては、思い悩む。
「!……ええと、すみませんね。うちのアビーが……。」
その怪訝に、マフィンが捉えたことは、気まずさということか。
ならばとして詫びに頭を下げる。途中、慌てたような雰囲気もあった。
「!いいや、そういうことじゃないぜ。」
「!」
が、その人は悩みながらも見ていて、首を横に振り、マフィンを宥める。
マフィンは耳にして、顔を上げては、意外そうな感じになる。
「……ん~……。ちょっと、艦長に聞いてみる。」
その人の悩む様子は相変わらずで、しかも、何か相談事があるという感じであり。
相談のために、言ってその人は少し、俺たちから離れる。
「?」
何だろうかと俺たちは、不思議そうに首を傾げていて。
「あ!艦長につないでくれ!あ、ああ!ええと、艦長!相談がありまして。ええ。まあ、人手不足でってことなら、まさしくそうですが。ええ。ちょっとしたアイデアがありまして。」
少し離れて、通信機を取り出して、その人は通信を始める。
相手は上官、それも艦長さんのようだから、口調は改まっている。
「協力という形で、参加させたいと思うのですが、いかかでしょうか?ええ、実戦よりは大丈夫でしょう。いやはや、戦闘機自体であったら、問題になりますが、扱うのはミサイルよりも安いやつですし。損耗した所で、他の艦載機の喪失よりは、ましでしょう。いかがですかね?……正直、客人ですからね、扱わせるのもいささかどうかとは、思っておりますが。……え?いいんです?あ~、艦長も耳にしておりましたか……。まあ、我々としても、ある程度の人手不足解消で喜ばしい限りですが……。わ、分かりました!で、では……。」
「!」
やや長いながらも、話し込んでいて。
最後、どうやら何か決断が出たか、口調が上ずり。
また、合わせてその人は体をピンと張る。
その決断を実行に移すか、でも、こちらには振り返らずに。
まだ通信機をいじり、どこかにまた、通信をし始める。
「おお!トム?今いい?あ、丁度空いたところ?」
相手はどうも、同級の人だろう、口調は打って変わって、カジュアルに。
「……いや、飲みの相談じゃないぞ。やったら叱られる。そうじゃない。まだウィングビット出せるなら、用意してくれたらな、って。え、ある?今からでも艦隊戦を仕掛けられるほど山ほどに?そいつぁ~、よかった。」
相談を始めて、また、手応えがあるか、嬉しそうにトーンを上げる。
「ああ!聞いて喜べ。何でも、ウィザードが手伝うって。おう!もちろん、使うのは戦闘機じゃねーぜ?……墜落したら、何て言われるか。え?もし戦闘機であっても、魔改造の一品を用意するって?いや、流石にダメだろ。あと、危険だろうし。そうじゃなくて、だ。ウィングビットだよ。そうそう。ほら、今俺がいる部屋の……。そうそう。空いているかって?当たり前だろ!ソードの奴にでもやらせてやりたかったが、あいつこれ幸いと戦闘機で早々に出掛けるし。ま、そうであっても、足りないけどね。おいおい、夜勤の連中を起こしたら、俺ぁ、殺されちまう。勘弁してくれよぉ~。……冗談か、あぁ~良かった。ああ、まあ、用意はしているってな。後は中に入ればやるってか。分かった!」
「!」
やがて、長話に、ジョーク交えて談笑しながらも、その人は通信を終える。
振り返ったなら、やはり、嬉しそうである。
「いやぁ!助かるよ、ほんと。完全初心者なら、考え物だが、昨日ちょっとでも齧って、まして、いい空戦をした奴がいるってことなら、歓迎ってさ。」
「?」
言うことには、嬉しさを体現したもので。
ただ、状況はまだ飲み込めないでいる俺は、首を傾げる。
「不思議そうにしないでくれよ。そこの茶髪の……。ええと、アビーちゃんの意見が通ったってことだ!」
「!」
「?!うぇ?!」
そんな俺に言葉を掛けることは、アビーの意見が通ったということで。
俺は、気付き耳を跳ね、また、マフィンは耳にして、素っ頓狂な声を上げる。
俺はとりあえず冷静にしていたが、マフィンは気が気じゃない様子。
予想外の答えに、動揺を隠せないでいる。
「……ええとつまりは……?どういうことで……?」
マフィンは、あわあわしながらもその人に問う。
「ん?いやぁ、使っていいってことだ、要するに。……あれ?意外だった?」
マフィンの態度に、意外さを感じて、より分かりやすく言ってきた。
こちらも気付いていることだが、つまりは了解してくれたと。
「え!使っていいの?いいの?!」
分かりやすく言ってくれたなら。
はっきりとしたリアクションを示したのは、アビーであり。
子どものようにはしゃぎそうだ。
「ああ!いいとも。ま、指示には従ってもらうがな!」
「!!わーい!やったー!!」
改めて、頷きを見せるなら、やがてアビーは、子どものように弾んだ。
「……いつもそうだけど、どうかしてるわ……。」
「……。」
マフィンは、アビーのその様子を見ていて、つい思う。
そこから、感じるのは妙な疲労感。
昨日といい、今朝といい、マフィンの予想外があり、そうなったのだ。
なお、その疲労感の中には、俺も入っている気がしてならず、ただ押し黙る。
「?ふぇ?マフィンちゃんどうしたの?何だか疲れちゃっているよ?」
「……何でもないわ。」
マフィンの様子に、アビーは気付き、言ってくるが。
マフィンは、何ともないと首を横に振る。
「えへへっ!変なマフィンちゃん!でもでも!それよりも、早くっ!早く、やろうよ!!ねねね!」
「……はぁ。全く、能天気だこと……。」
マフィンは何ともないと言うならば、なら、早くと急かしてくる。
マフィンは、再三再四、呆れに溜息をついた。
やはりそこは、アビーらしい、俺は静かに見守った。
「おっし!……っと、全員は乗れないし、身長制限があるから、そこの所は了解してくれよ。」
「!」
俺たちの様子に、話がまとまると気付いたなら、言ってくるものの。
懸念をいくつか付け加える。
「……。」
その折に、俺は皆を見るならば、話に了解を示す。
「……ええと。」
そうであっても、何人かが仲間外れになるのが、あんまりいい気はしなく。
俺は、声を掛けようとするものの、だが、思い付かないでいた。
「!気にすんなよ!大和!ついでに、そいつぁ、昨日操作した、お前さんらが適任だろうよ?……あと、俺が乗っちまうと、漏らすかも……。」
「そうそう!気にしなくていいよ。あたしらよりも、あんたたちのが、受けがいいんだろうよ!それに、この旦那の世話は、あたしがするさね!」
「僕はいいよ!応援しているから!」
「!……皆!」
しかし、残される側は、気にしないでとこちらの背中をそれぞれ押してくる。
俺は見て、胸が熱くなる。
「……ありがとう!じゃあ、行ってくる!」
熱くなったなら、残される皆に、言っては頭を下げて。
あの隊員さんにしっかりと向き直る。
「……お話は、分かりました。」
俺は、改めて了解をして、頷いた。
「お!話はまとまったってところか!んじゃ、……ええと、空いているのは、丁度3基だから……。ウィザードと、赤茶色の娘と、長い髪の娘、が搭乗する、でいいかな?」
「!」
俺が了解を告げるなら、隊員さんは、確認を取ってきた。




