しみゅれーたーでなにしてる?
「……ええと。」
溜息つき、そのような表情しているマフィンに。
どうにか声を掛けようと思うものの、言葉が思い付かないでいる。
「……何も言わなくていいわ。正直、私も何て言おうか迷っているの。お説教の一つでも言いたくはあるけど……ね。こうも、称賛されていたりしたら、何とも言えないわ……。」
「……う、うん?」
その表情通り、マフィンは上手く言えない状態だ。
背景には、俺の無謀に対してのお咎めもあるが。
結果的には成功してしまい、挙句称賛を浴びていることに、怒るに怒れない。
「……!」
俺はマフィンがそうであっても、言わないといけないことがあると気付き。
「……そのマフィン。」
「?なぁに?」
「……ありがとう、手伝ってくれて。それと、何だか心配させて、ごめん。」
「!」
言いたいことそれは、お礼とお詫び。
何だか、言いそびれていたし。
マフィンがいなかったら、難しかっただろうし。
また、度々心配させてしまうのも、気が引けて。
マフィンは耳にして、耳をピクンと跳ねさせて意外そうな表情をする。
「……ふぅ。いいわよ、もう。心配し過ぎても、何だか老けそうで嫌だわ。」
また、落ち着いた表情になるなら、もう、そのことはいいと言ってくれる。
朝からながら、早速疲れたといった風も、感じた。
聞いて俺は、そうかと、小さく言い、そっと笑みを浮かべる。
「えぇ~?!マフィンちゃんがおばあちゃんになっちゃうの?!何で~?」
「……。」
傍ら、アビーが顔を出して、不思議そうに聞いてきた。
言葉の文だというのに、そんなすっとぼけな感じに。
マフィンは別の意味で呆れ果て、俺もまた、同様に呆れてしまう。
「頭が痛いわ……。」
最終的には、よく知ったる仲のマフィンは、頭痛を感じて、頭を抱えて。
俺は、沈黙し、アビーにどう説明したらいいやらと悩む。
アビーは、そんなマフィンが不思議でしょうがなく、首を傾げては。
気付き、耳をピンと跳ねさせた。
「マフィンちゃん、痛いの?じゃあ、とっておきのおまじないしてあげる!」
気付板なら早速と言い、アビーはスキップしながら、マフィンに寄って。
「!」
頭に手を載せて、撫でまわすように動かした。
「!な、なに……っ?!」
マフィンは驚きに顔を上げるが。
「痛い痛いのとんでけ~!」
「……。」
「……。」
そうして、何をするかと思えば、幼い子に対して使う。
痛みが早く治るおまじないだ。
これには、俺もマフィンも閉口してしまう。
「……あれ?」
おまじないをしたアビーは、首を傾げてまた、不思議そうにする。
「……はぁあああああ……。」
マフィンは思いっきり大きな溜息をつく。
「……アビー……。精神的なものなのよ?それ、あんまり効果ないってこと、分かっているの?」
「?」
「……その様子じゃ、分かっていないようだわ。もう、諦める。」
それが、所詮子供だましだと注意はするが。
応えないアビーに、最早打つ手なしと諦めに変わる。
「……。」
こういう時は、鈍いや、アビーはと、俺も俺で呆れてしまう。
なぜ、さっきの時は、あれほど素早く動けるのか。
この点、こちらが不思議に思えてならない。
「……はぁ。このままこうだと、私は本当におばあちゃんになってしまいそうだわ。……行きましょう……。」
俺が思っている傍ら、マフィンは散々な思いがあって。
諦めの果て、気分転換か、言って、どこかに行こうとする。
「!」
マフィンが、先頭に立ち、歩き出したなら、俺もはっとなる。
「!!あれあれ?マフィンちゃん!待ってー!!!」
アビーが続いて、走り出す。
マフィンがそうするならと。
また、レオおじさんやエルザおばさんは、年長者ということもあって。
やり取りに微笑ましく思いながら続く。
シンも、よくは分かっていない様子ながら、従う。
俺もまた、マフィンがそうするならと従った。
「!っと。」
俺は、ここから艦橋に入る前に、一旦立ち止まり、振り返っては手を振って。
なお、気付いた甲板作業員の何人かは、手を振って応じてくれる。
見届けて俺は、マフィンにやがて続いた。
皆に続き、艦橋に入るなら、マフィンはふと立ち止まる。
振り返るなら。
「……確認しておくけど、他にどこか寄りたいってことはない?」
聞いてくる。
俺はアビー、他の人たちとそれぞれ顔を合わせて、確認するが。
皆一様に首を横に振る。
「……なさそうね。じゃあ、言われた場所に行きましょう?ほら、さっきも聞いたでしょ?あそこよ。」
「!」
特にないなら、予定通りと示すことは。
「例の、シミュレーションルーム。」
マフィンが続ける。
そう、言われたシミュレーションルーム。
あの、矢じり状の兵装に関わる、何かをしている場所。
まあ、操作だろうけど、に行こうということだ。
「!うんうん!行く行く!!」
「……同意。異論はないよ。」
マフィンの意見に追従することには、アビーが言ってきて。
俺も同意見で、異論はないと、言う。他のメンバーも、同じだと頷き。
「分かった。じゃあ、まあ、気晴らしついで、覗きに行きましょう。」
方針は固まり、マフィンが告げるなら俺たちは、早速移動を始めた。
艦内の狭い通路を潜り抜けて。
昨日も見た、例のシミュレーションルームへ向かう。
「……。」
辿り着きはしたが、そこは相変わらず頑丈な扉で閉ざされていて。
近寄ったところで、だが、開く気配はない。
「……決めてきたまではよかったけど、昨日もそうだったけど、私たちじゃ開けることができないのよね……。」
「……だね。」
昨日もそうだったが、マフィンが思い返して言うことには。
自分たちじゃここを開けることはできないと。
確かにと俺は頷く。
じゃあ、どうしようかと考えてもしまう。
もちろん、破壊するなんて野蛮なことは、しない、しちゃいけない。
危ないよ、色々と。それに、この艦は味方だ。
「……。」
腕組み、さてどうしようかと。
「!ノックしたら、開けてくれるとか、あるかな?」
やがて思い付いたことは、大人しくノックすることだ。
「……扉を叩いて、大人しく入れてくれるなら、いいでしょうけど。本当は、無駄じゃないの?と言いたいとこだけどね。」
「……。」
「?何?」
「今日はやけに、素直だなって。」
「……。」
マフィンが言うことは、遠まわしながらも賛同のようだ。
本心としては、無駄だと言いたくもあるとあるが。
俺はじっと聞いて、珍しいと思い、言う。
マフィンは、諦めたような小さな溜息を漏らした。
「……ま、散々あんな、無茶でも打開する様子を見せられたら、あなたに任せることにしたくもなるわ。正直今、私がおかしいんじゃないかって思っているぐらいよ。」
「……そう、か……?」
根拠と言えばいいかは分からないが、マフィンはさっきのことといい。
ここに来るまで使った方法といい。
見せられればある意味信じてしまいそうだといった感じで。
締め括りには、自分を卑下してしまう。
複雑に俺は、曖昧な感じでしか応じれず。
思ったことは、マフィンみたいな常識者は、いて然るべきだということ。
冷静で、あれこれと知識のあるマフィンが抜けるとなると。
多分俺は不安でしょうがない。
「えぇ~?マフィンちゃん何変なこと言ってるの?」
「……!」
曖昧さを不思議に思うアビーは、鋭く言ってきて。
言われたマフィンは、耳をピクンと跳ねさせる。
跳ねさせたなら、ジト目になり、徐にアビーの頬に手を伸ばし、掴んだ。
「?!うにゃ?!」
「普段から変なアビーに言われたくないわよ。どうして、こういう時は、鋭いのよ……全く。」
「えへへっ。あたしの予感?」
アビーは、突然のそれについ目を丸くするが。
マフィンは、呆れながらも、言葉を紡いで。
耳にしたアビーは、褒められたと思ったか、にへらと笑う。
頬をやや引っ張られた状態で、変な感じに声を漏らしながらだが。
「……もうそういうことにして。」
マフィンは、もう、アビーのそれに観念して、引っ張るのをやめた。
アビーの頬は、解放されると軽く弾んで戻る。
今回は、縦横無尽に引っ張りやしないようだ。
アビーはまた、珍しさに目を丸くしたが、すぐににっこりと笑みを浮かべる。
「……ほら。」
「!」
場の持ちはともかく、マフィンは翻って、俺の腕を小突いて、促してくる。
何か言え?……という感じかと思うが。
「あなたが思い付いた方法、試しなさいな。」
「!……あ、ああ。」
違った。
マフィンが促したのは、会話のそれではない。
折角来たのだから。
扉を開けるためにも、俺が思い付いた方法を試してということで。
諭されて俺は、頷きを返したなら、また扉に振り向く。
俺が先頭に立ち、扉のすぐ側まで歩み寄っては。
拳を作り、甲を向けて、叩こうと構えて。
ノックをすれば返ってくるのは、異様に固い感覚と、甲高いノックの音。
返事はない。
《!お!噂の奴が来たぞ!!》
《はぁ!!……こっちは手を離せないっていうのに……。ちぃ!今日の俺ぁ、ついてないな~!見たかったぜ!!》
「!」
間を置いて、……どうやって気付いたか知らないが、反応がようやく返ってきた。
しかも、噂の人と喜んでもいるようで。
このことから、俺のことだとはっきり分かる。
その反応の後、重い音を立てて、その扉は開いた。
「ようこそ!」
「!」
開いた先に、眼前にまず現れたのは、昨日食堂で会った人で。
サカマタさんたちの会話に、うんざりして。
また、こちらの会話が盛り上がり、拝み手を見せた人だ。
俺たちが現れたとなると、嬉しそうに笑む。
その人の手元には、タブレットが持たれ、操作をしていて。
ついでに、見上げる形になる大きなモニターには、映像が示されている。
その映像は、この艦を中心として。
矢じりがあちこちに動き回っている様子を示していた。
「……ええと、おはようございます。」
「!おお!おはよう!!」
いきなりな出現に、どう声を掛けていいか迷ったが、まずは挨拶をする。
その人もまた、返してきてくれる。
「……?」
何を言おうか迷ってしまったが、ふと疑問がまず浮かぶ。
「あの……。ここでは何をされてまして?それと、他の人は?」
そも、ここでは何をしているのかと。
甲板の作業員が教えてはくれたが、一体ここでは何を行っているのか?
それと入る前には、その人だけじゃない、他にも誰かがいるはずで。
先の、入る前にも会話が聞こえていたし。
「!そう来るよな!」
「!」
聞いたなら、その人はやっぱりと言った風で応じてくる。
何でだろうか、首を傾げてしまう。
「……あれは、見たことあるよな?」
「!……ええと、はい。」
その答えに入る前に、その人は自分の後ろの空間を指さす。
当然、そこにあるのは、シミュレーターで。
俺は、頷く。




