あさごはんおいしー!
「!何だか皆すごいね!もう、シャキッとしてる!」
「!」
アビーは、俺が考えていたのと同じことを、口にする。
「……まあ、それはそうよ。ここは、いつも私たちがのんびり暮らしている村じゃないの。皆、何だかんだで真剣なのよ。」
マフィンは、アビーの言葉に、突っ込んできた。
「えへへ。そうでした~。」
アビーは言われて、にへらと笑う。
「……全く。アビーはいつもそうね。」
マフィンは、その様子に呆れる。
「!」
そうしている内に、列は進んでいて、いつの間にかこちらの番になっていた。
目配せするなら、そう言えばと気付いてこちらも進み出る。
進んで入り口を潜ると、昨日見た例のプレートがあり、皆一様に手に取っていく。
変わりないその様子に。
おいそれと食器を用意するのも時間の無駄であるということか。
故に、効率を求めて、同種の金属プレートに統一しているということのよう。
なお、メニューは違う。漂ってくる香りも、昨夜のそれではない。
まあ、メニューまで同じだったら、ソードとてああは言うまい。
食事が楽しみである人たちにとっても、きっと味気はないだろうな。
ようやく、配膳の場所まで進むなら。
「!」
厨房の人も、違うようで。
厨房係も、シフトが決まっているのか、交代しているらしい。
特徴として、昨日見た、厨房係とかのおじさんではなく。
一部女性隊員がいてそれも、こちらと同じ、猫の耳を持つ人だ。
年も、格好もこちらに近い。
なお、髪が長いことから、クーンやウィッチさんを思わせるが。
多分面識はないだろう。
「あれぇ?今日は違うんだ?」
アビーは、口をついて出す。
「!あ、昨日来たウィザード一行の……。あ、うん。そうだよ!」
気付いたその人は、耳を立てて、こちらに顔を向けては言って、頷く。
「働き詰めもよくないの!だから、交代交代でやってるの。大丈夫!味は変わらないから!……でも、よく分からなけど、男の人たちは何だかあたしが当番の時は嬉しそうにするんだ。何でだろう?分からないや!」
「へぇ~。大変だね!」
「……。」
その人は続けて、業務のことを言う。なお、最後は不思議そうにしていた。
アビーは、にっこりと笑いながら、労わりの言葉を掛けてあげる。
傍ら俺は、何も言えないでいる。
それは、内容によってか。
どうやら、この艦の人たち、特に男性陣は。
少なくはないが女性のことが気になっているからだろう。
何となく気持ちが分かりそうで、俺は苦笑してしまう。
「まま!食べてってよ!」
話もそこそこにして、その人は配膳をしていった。
「……。」
配膳されたプレートを持ちながら、歩いている中、ちらりと内容を見る。
ケチャップがけのスクランブルエッグに、トーストと牛乳。
後はコーンスープという組み合わせの、前の世界でいう洋食スタイルのようだ。
これも多分、時間短縮のためか?
そこは分からない。
内容を見ていて、と、皆に遅れまいと顔を上げて探すなら。
皆は既に、席を確保してくれていて。
また、その際見渡したが、昨日の夕食時とは違い。
皆はそそくさと離れているようで、わりかし席はどこも空いていた。
「ごめんよ。つい、見とれていた!」
皆の手招きに、俺は遅れたと詫びて、皆と一緒に座る。
「仕方ないわね。珍しいんだし。こういうの、村じゃ見掛けないからね。」
「!」
フォローにマフィンが言ってきた。物珍しくなるのも、仕方ないと。
確かに、あんまりこのようなメニューは村じゃ見受けられない。
エルザおばさんや、マフィンもあんまり作らないし。
というか、見掛けたことはない。
「それじゃっ!食べよっ!!」
「!そうだね。」
「!そうね。」
俺が揃ったならと、アビーは催促して。
マフィンは、とりあえず話を区切り、皆に目配せしてくる。
俺は、頷いて応じる。
マフィンがそうして、手を合わせたなら、皆も合わせて。
「それじゃ、いただきます。」
「「いただきます!」」
「……。」
マフィンが掛け声をするなら、合わせて出す。
そうしたなら、何だか不思議と笑みが浮かんでしまう。
「?どうしたの?」
「!……いや、何でもないよ。」
「?変な大和ちゃん!」
アビーは、俺のことが気になり、つい声を掛けるが。
俺は何でもないと首を横に振る。
変だとアビーは笑った。
俺は、何だかこれが、軍艦内では結構違和感があるなと思い。
どこの誰も、手は合わせることはすれど、このように掛け声をかけることはない。
つい違和感に。
まあ、アビーはアビーのため。
言ってもきっと、変な大和ちゃん、で返しただろうけれども。
「んー!おいしー!!」
アビーは、先のことを気にも留めず、早速と料理に手を付ける。
口に含んだなら、蕩ける様な表情をして、言ってきた。
その様子から、余程美味しいのだろうと伺えた。
こちらも手を付けて、トーストをちぎり、スープに浸して口に含むなら。
「!」
アビー同様、思わず頬が落ちるかと思うほどの美味しさを感じた。
昨日のもよかったが。
朝のこれは、美味しさによってはっきりと目を覚まさせてしまえるほど。
……昨日もソードが言っていたが。
確かにこれを求めるのを楽しみにする人間もいても、不思議じゃない。
「あら!おいしい!」
マフィンも同じく言い、美味しさに驚きを見せる。
「あら!いいわね!」
「食ったことはねぇが……美味いな!」
「!!すっごーい!」
エルザおばさんや、レオおじさん、シンもまた、それぞれ美味しさに称賛を。
その様子は、やはりアビーと同様、頬が今にも落ちそうなほど。
朝一番のこれには、なかなかな衝撃を持って、目を覚まさせてくれる。
「ねねね!マフィンちゃん!これ作れる?!」
「?!ぅぇっ?!」
その衝撃が相当なものか、感動にアビーは目を輝かせて。
挙句料理上手であるマフィンに聞いてきた。
珍しくマフィンは、変に素っ頓狂な声を上げてしまう。
あまりの美味しさに、我を忘れていたマフィンは。
衝撃に思わぬ声を上げていたようで。
また、目を丸くして、さらに思考が鈍ってしまう。
「……って。ううん!」
マフィンは、頭を振り、我を取り戻して冷静になる。
「……全く、いきなりなんてことを……っ!もう。」
マフィンは、困ったように言っては、呆れも含めて。
「……アビーの食いしん坊は相変わらずだけど、いくら私でもこれは。第一、私だってできるか分からないわ。レシピも知らないし、知っていても、材料が揃えられるかどうか……。」
「?んにゃ?」
「?!き、聞いてない……っ!えぅぅ~……。」
アビーへの回答に、頭を抱えながら言うものの。
当の本人は、残念ながらどれほどの大変さか分からない様子、首を傾げるだけ。
見てマフィンは、悲しそうな声を上げて、頭を大きく抱えてしまった。
「?!あ、あれ?!マフィンちゃん?!」
マフィンがそうするものだから、アビーは途端不安になり。
慌ててマフィンのフォローに入ろうとする。
「そ、そのごめんね!よ、よく分かんなくて……!」
「……い、いいわ。はぁぁぁ……。全く、いつもいつも、アビーはそんなんだから……。はぁぁ……。」
フォロー次いで、詫びも入れはしたが。
マフィンは頭を抱えて、大きく溜息をつくばかり。
そこに諦めがあり、しかし、アビーは悪気があってやってるわけでもないと。
致し方ないといった感じだ。
「……まあ。何事も、大きく気にしないってのは、ある意味アビーらしい所だわね……。」
顔を上げたなら、諦め半分、結論付ける。
もっとも、前々から理解していたことだろうけれども。
「?あれ?あたし褒められた……?」
「……。」
なお、妙に鈍いアビーは、マフィンのそれを誤解する。
俺は、内心これは褒めていないと心の中で、突っ込みを入れ。
なお、表には苦笑をするばかり。
マフィンは、アビーのその様子に、またやっぱりと、頭を抱えた。
談笑交じりの朝食を終えたなら、食器を戻して、早々に立ち去る。
いくら、余裕があるとはいえ、流石に昨日みたく長居するのも気が引ける。
マフィンの指示に、皆従って。
「ごちそうさまでした。」
マフィンは、代表して、厨房に挨拶をする。
「……その、ごちそうさまでした。」
俺も続き。
「ごちそうさん!」
「ごちそうさま!」
「ご、ごちそうさまでした……。」
レオおじさん、エルザおばさん、シンが続く。
「!うん!ありがとね!」
耳にして、奥からさっきの調理係の少女が顔をだし。
笑みを向けて、こちらに軽く会釈し、見送っていく。
その笑顔の見送りの後、朝の忙しさ伝わる空間から、抜け出し。
また通路に立つことになる。
「……っと。今日は急いじゃったわね。」
マフィンは一番に言う。
「!……そうだね。いつも、こんなに急ぐことないし。」
マフィンの言葉に、俺は乗じて言う。
傍ら思うのは、いつもの日常。
いつもは、こんな風じゃないし。
あの、のんびりとした村風景には、急く世界は似合わない。
ただ、珍しくもあり、違う日常にまた、つい心躍りそうになる。
「でもでも!何だかいつもと違って、不思議~!」
アビーは、こちらを代弁するように口にしては、やはり心躍らせて。
軽くその場で弾んだ。
「……。」
見ていて、確かにそうだけどもと内心思いながらも。
アビーのその姿には、苦笑を見せてしまう。
年恰好には不釣り合いな幼さは、違和感だらけ。
けれども、アビーらしくはあるけれども。
「……ふぅ……。」
マフィンも同意見のよう。
呆れて果てて、もうアビーのそのことに何も突っ込みやしない。
「……さぁて。」
「!」
突っ込むことをやめて、話題転換。
マフィンは軽く息を吐いては。
「……早速だけど、例のシミュレーションルームへ行きましょうか。」
方針を告げる。
皆は、特に否定もすることはなく、同意に頷く。
朝食を採る前に、飛行甲板であった出来事だが。
興味があるなら、ということで。
また、否定も何も、予定はとりあえずこれしかない。
皆そうするならと、マフィンは満場一致の決定として、向かうことにする。
「?!」
と、俺が持っていた通信機が妙な音を立てた。
何事と思い、取り出すなら。
《げぇええええ?!とんでもないもの釣り上げちまった!!!》
《くそっ!残骸ならまだしも、……よりにもよって!!》
《ヘリを!!……そこら辺飛んでんだろ!》
《それよか、海獣どもは、サカマタたちはどうだ?》
《却下!!!あいつら、気が利く風だと思うか?後、多分あいつら今、通信できない。》
《よぅし!撤回だ!踏ん張れ!!ヘリが来るまでなっ!》
「……?」
どうも、通信からは奇妙な会話が聞こえて。
割と、緊急事態な気もしてならない。
「!」
ふとそんな時、思い出すことがある。
それは、朝起きて、通路に出た時、すれ違った隊員さんたちの姿で。
何だか、釣りの道具を持っていた気がしたが。
緊急事態な様子に、変な胸騒ぎがする。




