あさひとうみのかがやき!
「……。」
皆して、格納庫へ通じる入り口から覗き見れば。
格納庫の物品が少なくなっていて。
そう、例えば戦闘機や、ヘリコプターが何機かない。
そのために、広く。
かつ、その広くなった格納庫にて、一様の集団を目撃する。
きちんと整列し、真っ直ぐどこかを目にしていた。
その集団、イルカやシャチの特徴が垣間見えることから。
サカマタさんの部隊と思われる。
視線を辿れば、たった一人の人物が、仁王立ちしていた。
はっきり分かる、サカマタさん。
「ようしお前ら!!」
「「!!」」
号令が掛かるなら。
ごくりと唾を飲む音が集団より響き、異様に緊張感が増すのを感じた。
「飯は食ったか!」
「「さー!いえっさー!!」」
「よく寝たか!」
「「さー!いえっさー!!」」
「今日も元気か!」
「「さー!いえっさー!!」」
「……。」
朝一番に、号令掛けのようなもののようだ。規律正しく、皆一様に答えて。
ただ、内容はすごく幼稚な気がしてならず。
軍隊としてどうなのかは、甚だ疑問を覚えた。
まあ、サカマタさんたちらしいっちゃらしいか。
「この艦で美しいのはあたいか!」
「「……。」」
「……えぇ~……。」
続く号令は、自分のことのようだが、皆そこは誰も答えない。
見ていて軽く、滑りそうになった。
「うむ!よろしい!」
が、誰も答えないことに、何ら罰を与えることなく、納得している様子。
「今日の任務は何だ!」
「「いつものことです!」」
「言ってみろ!」
「「対潜哨戒!!」」
「「航行に支障のある浮遊ゴミの除去!!」」
「「機雷撤去!掃海行動!!」」
「よし!掛かれ!!」
「「うぃいいいいいいいいいいいい!!!!」」
「……うぅ……。」
そこから、自分たちの任務を確認するなら、サカマタさんは指示を出す。
号令が掛かったなら、部下たちは歓声を上げて素早く走りだす。
なお、俺は、その歓声の高いことに、思わず耳を塞いでいた。
それから、走り出した部下たちは、体中に、何やら装備をして戻ってくる。
水中行動用だろうか。
酸素マスクや、他、銛状の兵装を持ち、また、整列し、サカマタさんを仰ぐ。
そのサカマタさんの後方、どうもシャッターになっているようで。
開きだしている。おまけに、夜明けの朝焼けが、射し込んできて。
「出撃!!」
「「うぇいいいいいいいいいいいいいい!!!」」
その、仰ぎ見る集団に、サカマタさんはそう言った。
歓声上げて。
部下たちはまた、一斉に、その朝焼け射す出入り口目掛けて、走り出した。
水に飛び込む音がいくつも聞こえて。
耳にしたサカマタさんは、部下たちと同じように、素早く移動して。
装備を整えたなら、部下たちの後を追うように、飛び込んでいった。
「「……。」」
ふと、静かになり、俺たちは呆気に取られてしまう。
が、響いてきた独特な音に、つい我に返る。
見るならば、エレベーター……か、リフトか、それが降下しているよう。
「!」
他に目に付いたことは。
合わせて、戦闘機が、車に牽引されながら、そのリフトまで運ばれている光景。
昨日のシミュレーターで経験したことだが、出撃の様子、それが思い起こされる。
その通りに、リフトの位置に停まった戦闘機は、牽引を解かれ。
放置されると上の、天井の向こう、光の射す方向に吸い込まれていった。
俺たちも見送っていたが、他にも牽引をしていた人も見送り。
そして、一仕事終えたと深い溜息。
だが、それは呆れ果ててもいる様子。
多分それは、サカマタさんたちの会合の側にいて、耳にしていたからなのだろう。
「……終わったみたいね。行きましょうか?」
「……!……そうだね。」
気になる騒がしさも、過ぎ去ったならば。
マフィンは、当初の目的に戻る感じに言い出してきた。
俺も合わせて、頷きを返す。
このまま、踵を返して、食堂まで向かおうという時にて。
だが、アビーだけは何か違う。
目を輝かせている。
「ねねね!上に行ってみようよ!」
「!」
何を言うかと思えば、上に行くとのことで。
何事と思ってもいたが、格納庫の上はつまり、最上の甲板であり。
今しがた、戦闘機が上っていった場所。
シミュレーター通りなら。
上ではそう、戦闘機が発艦は今かと待っている段階だろうか。
朝食もそうだが。
アビーは他に、そのことも気になったか、そう言い出してきたのか。
「……。」
とりあえず、マフィンに視線を向けるなら。
呆れは相変わらずだが。
「……まあ、いいんじゃないかしら?特に用事はないのだし。」
「……。」
珍しく、否定もしないで、アビーの意見に賛同を向けた。
珍しさに俺は、つい首を傾げそうになるものの。
多分それは、俺の考えていることと同じことと感じ、同情する。
……暇なのだ……、いずれにしても。
なら、多少物珍しさのあることを、見物しても文句は言われまいと。
「いいの?いいの?うわーい!」
珍しく拒否もされないことは、この上なく喜ばしいか。
アビーは子供のように体を弾ませた。
朝食の前に、散歩がてらの見物。
それは続き、今度は上の、飛行甲板を目指すことにする。
皆ぞろぞろと移動して、上に向かい、扉をくぐるなら、つい息を呑む。
朝焼けがダイレクトに照らす、飛行甲板にて。
ヘリコプターと、戦闘機が4機、発艦準備をしていて。
朝焼けのオレンジに、ただシルエットだけを映す。
側には、パイロットもいるのだろうが、その表情を見ることはできない。
進み出て、周りを見渡せば、他には、見慣れぬコンテナ。
何用かは、分からないけれど。
さらに、飛行甲板の先には、等間隔に、周りを取り囲んでいる護衛艦。
これが、艦隊なのだと示す理由。
もちろん、朝焼けに彩られて、影だけをこちらに見せる。
「!」
と、その整然とした様子に、息を呑んでいたら。
戦闘機の付近で、誰かがこちらにてを振っているのを目にする。
何かを言ってはいるようだが、しかし、戦闘機が発する音に掻き消されて。
けれども、何もしないわけにもいかず、俺は手を振り返した。
そうしたなら、嬉しそうに笑ったような姿を見せて。
やがて戦闘機の、コックピットに乗り込んで、姿をくらませる。
その後は、戦闘機たちは轟音を立てて。
軽く進んだら、すぐに空へ登っていった。
それから、時間差で。
発艦準備をしていたヘリコプターは、プロペラを回していて。
その勢いを上げるなら、轟音を立てながらこちらも飛翔する。
その音が次第に遠のいていくなら、ふと静けさが来る。
この艦から出る、心臓の鼓動のような蠢きに加えて。
波を掻き分ける音、他、隣を航行する、護衛艦の音。
後は、自然が作り上げる、波の音だけが、静けさに響く。
こちらも呆気に取られていたなら。
アビーは甲板の端っこに勝手に行って、何か見つけたようで、はしゃぐ。
「?」
こちらも進み出るならば、アビーは意気揚々と海面に向かい、指をさして。
「見て見て!!すごいよ!!」
「!」
言われるがまま、覗き込めば、その光景に息を呑む。
太陽の光とは違う、淡く、かつまだらに海が光っている。
昨日ソードが言っていたことが思い起こされて。
この海域では、大規模な海戦があって、その後は、大量の残骸があり。
つまりは、スフィアも未だに存在していて。
それが活性を失っていなければ、今も輝き続けていると。
言われた通り、その光景が今、眼前に示される。
「本当ね。まだ没してもなお、輝き続けるなんて。」
マフィンは、その光景につい言葉を漏らして。
「……。」
俺は黙して、そっと手をかざしたなら、感じるのは沢山のスフィアたち。
嘘ではないようだ。
「!」
そうして皆で光る海を眺めていたら、ふと後ろから無骨な音が響き渡る。
思わず飛び上がりそうになりながらも、皆して振り返るなら。
何と、あの見慣れぬコンテナが開き、中身を曝け出していた。
徐々に露になるそれは。
整然と格納された、……ミサイル?いや、平たい。
丁度矢じり状に思える、物品で、何となく、見覚えがあるような?
また、側では、先ほど誘導とかしていた人たちが、あれこれ調整をしている様子。
完了したなら、素早く離れるならば。
そこから勢いよく、矢じり状の何かはいくつも飛び立っていく。
「!!」
気付くことがある。
それは、その矢じり状の物は。
昨日シミュレーターで俺たちが使ったことのある物。
〝ウィングビット〟と言われる兵装。
俺は目をつい見開いて、その軌道を追ってしまった。
「お!ウィザード一行さん!おはよう!!」
「!」
俺は、いや、俺たちはつい見とれていたなら、寄ってきて声が掛けられる。
見れば。
甲板で誘導を行っていた人のようで、俺たちに気付いて近付いてきたらしい。
声を掛けられて、俺たちはその人を見る。
「……ええと、お、おはようございます。」
「!おお!改まってまたぁ。いいけどね。」
俺ははっとしながらも、まず、挨拶をした。
皆も続いて、挨拶をして、頭を下げてくる。
見ていたその、誘導員さんは、改まらなくてもと言うが、仕方なしとした。
「……っと。もしかして、これに興味があった?」
「!は、はい。」
挨拶もそれぐらいにしてと。
本題は、この機械に興味があったのかという問いであり。俺は、頷く。
「ふふふ。」
「!」
疑問について、返すことは含み笑いであり。
何でだろうか、余計に気になってしまう。
「隠すわけじゃないが、多分あんたらも知っている物だぜ?」
「!」
続けることには。
なお、見抜いたような言い様に、こちらもピンとくるものを感じて。
「ウィングビットさ。遠隔で今、コントロールされている。」
「!……な、なるほど。」
やはりそうだ、正解をその人は言う。
俺は、なるほどと言いつつも、内心はやはりというもので。
先ほどピンときたのは、正解だったようだ。
「?」
正解だったのはいいとして、今度は疑問も浮かぶ。
「……なら、不思議ね。」
「!」
同じくそれは、マフィンも思っていた。その疑問を口にする。
「……単なる警戒だけなら、戦闘機だけでも十分だと思ったのですけども、なぜこのような兵装まで扱うのですか?何の目的があって?」
「うん。」
その疑問の内容は表にされて。
俺は、特に何も言わず、マフィンに同意見と、頷いた。
「んんぅ~。どう説明したものか……。」
「!」
言葉は聞き届けられてだが。
言われた隊員さんは、どう説明しようか迷う様子を見せる。
口元に指を当てては、宙を見上げて。
言いにくいことなのか、こちらは勘ぐってしまった。
「……話して通じるかなぁ?」
「……?」
その勘ぐったこととは、少し違うみたいだ。
どうも、俺たちにこの話が通じるものかの悩みのようで。
何を話すのだろうか、分かるかどうか以前に、興味が湧いてしまう。
「そうだな。その何だ、海のゴミの片付けだ。」
「……?」
「?海のゴミ?でも、とても清掃する道具には見えませんわ。」
悩みぬいた果てに言うことは、海のごみを取り除くというものだが。
これは、逆に疑問をより抱かせる結果にしかならない。




