表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【ねこみみゆうしゃ大和ちゃん】ようこそ!リオンキングダムへ  作者: にゃんもるベンゼン
かわをみにいったら、おとこのこが
7/186

みんなとごはんっ!みんなとおふろっ!

 そう、思い耽っているのと同時に、後方から美味しそうな匂いが漂って来て。

 どうやら、料理も完成したらしい。

 匂いが強くなることから、配膳が始まるか。

 その通りに、振り返って見れば。

 エルザおばさんや、他の奥さんたちが料理を沢山抱えてきている。

 合わせて、大広間にいた奥さんは、入れ違いに台所へ向かい。

 戻ってくる頃には、同じように抱えていて。

 エルザおばさんと、他の奥さん、今度もまた入違って、料理や皿を運んできて。

 やがて大机には、大量の料理並ぶ食卓が完成した。

 端から見れば、食べきれないと思うほどの量だが、いかんせん大家族、これもすぐ食べきれてしまうのだろう。

 料理が並べられたなら、各々、大机に向かい、好きな場所に座り。

 食卓を囲む。

 一瞬訪れる静寂、何かを待っているかのようで。

 レオおじさんがその最中、両手を合わせて、食べ物への感謝を示したなら、料理に手を付けて。

 それから、子供たちが一斉に手を付けて。

 そうなると、あっという間に、大量の料理は、消えていき。 

 思った通りだ、すぐに食べきられてしまう。

 「……。」

 夕食に誘われた以上、何も食べないのも悪く、自分の小分け用の皿を持ち、手を付けようとするものの、子供たちの食欲旺盛なことこの上なく、代わる代わる手が伸ばされて、俺は付けようがない。

 圧倒されてしまう。

 「あーもー。お客さんもいるというのに、容赦ないわ……。」

 子供たちのそんな様子に、呆れ顔のエルザおばさん。困ったようにも思えて。

 小分け皿が空っぽの俺も見ては、何だか申し訳なさそうな表情もして。

 「……しょうがない。ほぉら、大和ちゃん、お食べ!」

 「!あ、ありがとうございます。」

 見かねもした、エルザおばさんは言って、自分が取った料理の一部を、俺に分けてくる。

 お礼言い、少量分けられた料理盛る、小分け皿を受け取り。

 「……ええと、大和ちゃん、私のも上げるわ。」

 「!あ、ありがとうございます。」

 見かねた、というのはエルザおばさんだけじゃない、他の奥さんもそんな様子で。言ってきては、分けてくる。

 気付いてお礼を言い、小分け皿を渡して。料理が盛られていく。

 「私も。」

 「ほら、お姉さんが分けてあげる。」

 「!!ふ、二人とも、あ、ありがとうございます。」

 他に二人、奥さんがまたまた、分けて来て。

 差し出した小分け皿は、結果、皆に負けないほど大きく盛られた姿となる。 

 お礼をそれぞれに言ったなら、受け取って。

 そんな俺の姿見たエルザおばさん含む、奥さんたちは優しそうに微笑む。

 「いいのよ。大和ちゃんも、アビーちゃんも、私たちの子供のようなものよ、遠慮しないで。」

 優しくそう言ってきた。

 俺は、頷く。

 「よかったね!大和ちゃん!」

 傍ら、アビーが顔を覗いてきて、よかったねと笑みを浮かべて言ってくる。 

 俺も、ちゃんとアビーを見るため、視線を向けて。

 「うん、そうだね。……って、アビー……。」

 きちんと向き合い、頷き合おうとするものの、彼女の様子が分かるようになると、言葉が途切れてしまう。

 何せ、当のアビーは、子供たちに負けじ、なんてものじゃない、どの子供たち以上に、小分け皿を山盛りにしていたのだ、……呆れてくる。 

 遠慮どころか、子供たち相手に容赦しない。

 それを気にしているかどうか知らないが……。

 「なぁに?」

 首を傾げてきた。

 「……いや、いい。アビーらしいから。」  

 何でもないと言葉を紡ぐこともない、らしいやと俺は片付けた。

 「変な大和ちゃん。えへへ。」

 そんな俺を不思議にそうに見ては、呟いて、盛った料理を口にしていく。

 「なっははは!いい食べっぷりだね!」

 遠慮しないアビーの食べっぷりに、エルザおばさんは脱帽もののようだ。

 そう言っては笑う。

 「えへへ~……。」

 「……。」

 褒められたと思ってか、アビーはにへらと笑い、俺は、何か違う気がすると、思うものの口にはせず、沈黙する。

 なお、首は傾げた。

 

 この家での食事は、あっという間に終わってしまう。

 「……げふっ。」

 俺にとっては、結構な量だったと思う、お腹をさすりながらも、失礼ながら、軽くげっぷが出てしまい、少し顔を赤くした。

 その間、子供たちは同じように母親たちを手伝って、片づけをしていて。

 俺も、手伝おうとしたが、お客ということで、ゆっくりとしていいと言われ、言葉に甘える。

 アビーはしかし、誰よりも食べているのに、顔色一つ変えない。

 悠然と座していた。

 「……。」

 そんなアビーを見つめて、思うことは。

 同じ?猫の人ながら、こうも体力とか違うとは……。

 長くアビーと暮らしているが、謎は深まるばかり。

 「!」

 ゆっくりしてと言われてから、奥の台所からは、子供たちの声と共に、色々聞こえてきて。

 耳をすませば、今度はお風呂だと言っているみたいだ。

 中には、ブーイングを飛ばす子もいるが、強制連行のように、どこかへ連れて行かれてしまう。

 「……。」

 何だか、お風呂も壮絶な気がしてきた。

 「……やっぱり。」

 その通りに、ここまで響いて来る、子供たちの歓声と、奥さんの大変そうな様子を思わせる声。

 やっぱりなと、呟く。

 十分ぐらいしたか、歓声が一旦やんで。今度は、手前から騒ぐ声だ。お風呂から上がって、体を拭かれているのだろう。

 拭き終わって、広間に歩いてくる音と入れ替わりに、お風呂に入る音と、再び始まる、子供たちの歓声、大騒ぎ。

 「……。」

 その多さに、大変さを禁じ得ない。

 「!」

 大広間に、奥さんと子供たち数人が、洗濯したてのきれいな服に身を包み、湯気を伴いながら現れた。

 「!大和ちゃん、アビーちゃん。お風呂使ってもいいよ。子供たちと遊んだりして、汚れているでしょ?大和ちゃんも、旦那様のお相手していたし……。」

 「!」

 現れたらで、子供たちの世話をしながら、こちらに目線を向けてては、そう言い、微笑みを見せる。

 「……ええと。……。」 

 お風呂を使っていいという誘いに、嬉しい反面、何だか申し訳なさが、ここでも出てしまい、はっきりと決断できないでいる。

 「遠慮しなくていいのよ。」

 付け加えられる。

 俺は、ならば断わるまいと、頷きを見せて。

 一方のアビーはというと。視線向けると。

 「いいの?わーい!じゃあ、大和ちゃん、一緒に入ろっ!」

 子供みたいに飛び上がり、嬉しそうに笑いながら、言ってくる。

 「へっ?!」

 その言葉に、素っ頓狂な声を上げて、目を丸くしてしまい。

 ……すかさず、顔が紅葉してしまう。

 年頃の男女が、一緒に入るのは、さすがにまずいだろうよ。

 いやま、前例があるけれども……。

 その言葉聞いていてか、広間の入り口から、呆れ顔のエルザおばさんが顔を出してきて。

 「アビーちゃん。さすがに年頃の男女同士は、まずいよ。あんたは、あたしと子供たちと一緒だよ。」

 「えー……。」

 「……ほっ。」

 言うことは、救いの言葉で。俺は聞いていて安心し、ほっと胸を撫で下ろす。

 一方のアビーは、残念そうだ。

 「あとさ。」

 「?」

 「洋服も洗濯してあげるよ。洗濯機に放って大丈夫さね。」 

 「!あ、ありがとうございます。」

 残念そうなアビーは置いといて、エルザおばさんは、ついでに着ている服も洗濯してくれるとのことで。

 有難く思い、この時は頭を下げた。

 「?!」

 頭を下げたその時に、ふと思うことが。

 着替えのこと。

 顔を上げたなら、俺は急いで自分のバックパックの元へ向かい。

 広間の隅に置いてある、自分のバックパックに急いでは、中身をまさぐる。

 「?どうしたんだい?」

 俺が急に動いた様子が気に掛かり、エルザおばさんは聞いて来る。

 「ええと、洗濯してくれるのはありがたいですけれども、……着替えのことが気になって……。」

 エルザおばさんの方を向き、事情を説明しながらも、手はバックパックを探していて。

 「!あった。」

 手に触れる物があって、それを引き出した。

 予備の服。

 虎柄の、猫耳少年用に、マフィンが作ってくれた服と、ショートパンツ。

 他に、下着を。

 それら、汗をかいたりして、汚れることを想定して、俺はバックパックに入れていたのだ。

 「……へぇ。いい子ね。ちゃんと準備しているなんて。ほんと、息子にしたいわぁ。」

 そんな俺を見て、エルザおばさんは言って、一層優しく微笑むのだ。

 俺も、嬉しさに笑みを浮かべて。

 「!あれ?あたしはどうしよー。」

 「……あ。」

 これにて、洋服も解決、と言いたいところだったが、別の問題が。

 アビーのはどうしよう。俺の言葉を聞いて、アビーは少し困った様子を見せていた。 

 ……残念ながら、アビーのまでは用意していない。

 だって、女の子の下着や洋服まで、俺のバックパックに入れていたら、俺は、誤解されてしまう。

 「ああ、気にしなさんな。下着はあたしたちのお下がりだが、、合うのを見付ければいい。……う~ん。服はどうしようかね~……。ライオン用のなら、沢山あるんだけど……。サイズ合うかな……。」

 助け舟第二弾。

 エルザおばさんが出してくれたよ。ただ、最後、服については残念な様子。

 「……。」

 聞いていて、少し考えたら俺は、アビーを向いて。

 「……下着は用意できないけど、服とかなら、俺の使ってよ。」

 「!」

 「!!」

 提案することは、俺の予備の服の内、予備の一つを貸すこと。

 幸い、もう一組揃って入れていたんだ。

 一つぐらい、アビーに貸しても、悪くはないだろう。 

 それにこれは。

 「……アビーだって、裸だった俺に、服を貸してくれたじゃないか。ちょっとした恩返しだよ。」

 続けて、そっと笑う。

 そう、俺がこの世界に来た時、裸だった俺に、貸してくれた、そのお返しも、この時でいいかな。

 「!大和ちゃん……!えへへっ!ありがとう!」

 聞いたアビーは、気付いたか、表情を明るくし、先の困り顔を吹き飛ばすほどの笑顔を向けて、喜んだ。

 「なははは!大した器じゃないか。やっぱり、ウィザードってからには、これぐらい器があるもんかね!」

 アビーと共に喜んだのは、エルザおばさんだ。俺とのやり取りを見て、嬉しさに思いっきり笑い飛ばしてくる。

 ウィザードという言葉も添えて。

 そう言われて俺は、……何だか恥ずかしくなった。

 「おっと!次はあたしたちの番だよ!ほら、アビーちゃん、一緒に!」

 「!分かったー!」

 そのタイミングで、アビーたちの番になり。

 この場を中断するみたいな形になるが、アビーはエルザおばさんに呼ばれ、一転して、スキップがてら、お風呂場へと向かって行った。

 「……。これで、よかったの、かな?」

 それがよかったかは、実感掴めないままで。首を傾げて、俺はアビーの後ろ姿を見送っていく。 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ