さびしそうなはなしなんて、すふぃあがりでなくそうよ!
「!」
疑ってしまうものの、そういえば、アビーから聞いたことはないと。
「……多分、アビーのことだから言ってないのでしょうし。それに、聞いてもアビーは答えないわ。物心つく前と言えば、いいかしら?アビーが小さい頃から知っている身としては、その時からも、家族はいない様子だったの。」
「……!」
マフィンは俺が、そう見て、疑うものだから、根拠も言ってくる。
アビーの意外な一面を知り、かつ、マフィンの言葉が真実なら。
ぎょっとしてしまう。
「……小さい頃の話よ。でも、アビーあんまり、自分の家族のこと話さないしずっと、あんな調子だもの。私でも、正直知らないの。」
「……。」
続けられる、アビーの過去。
あんな、超お調子者であっても、暗い部分があったなんて。
話を聞いていたら言葉を失ってしまう。
「!」
と、思っていたが、気付くことが。
なら、今までどうしていたのか。
いくら一人であっても、流石に村に最初から一人では。
生活はどうしていたのか気になってしょうがなくなる。
「!な、なあ。」
「?」
言葉遮ることが、申し訳なく思うものの。
なお、マフィンはそうであっても、嫌な顔をせず、聞き入ってくる。
「……あの、俺と会う前、……アビーってどうしていた?小さい頃は、どうしていた?その、話を遮って悪いけど、さ。」
そのタイミングで、今しがた、気付いたことを、口にした。
「……。」
耳にしたマフィンは、目を瞑り、思案する。開いたなら。
「……。あんまり変わらないわ。大和と一緒にいた時と同じように、村でお手伝い。まあ、小さい頃は、私と一緒に暮らしていたわ。お腹を空かせて、倒れてもらっても気分が悪いもの。」
「!……そっか。」
思案の果てに、紡がれた言葉は、変わらない優しいもの。
聞いて、寂しさはあれど、どこまでも孤独でないのは、救いであったと思う。
なるほど、小さい頃からアビーとマフィンは、仲良くて。
それも、一緒に暮らしていたということだと。
頷ける。
会った当初からでも感じれたが、そういうことが背景にあったということだ。
改めて見ると、アビーは耳をピンと立てて、何だか嬉しそう。
「ん!そうだよ!あたしは、マフィンちゃんと仲良しなの!」
自分に話を振られたと感じたか、アビーは言って、いつものらしい、元気な笑顔を向けてきた。
「……。」
その元気さには、陰りさえ見せない。
精一杯、取り繕う、とかいうものじゃない、天然の。
その様子から、家族のいない寂しさは。
アビーにとっては大したものじゃないということだ。
まあ、逆に必死に元気さを取り繕うとなったなら、それはらしくないね。
「へぇ!」
「!」
もちろん、その話はソードも聞いていて。感心に溜息漏らす。
「……。」
「「……。」」
そんなことをするものだから、他の人たち皆、ソードに視線を向けてしまう。
ただ単に、咎めるとかそう言うものじゃなく。
なら、そういうソードはどうなのかと。
「?!そ、その目は……?!え、俺?!俺のこと?話すの?」
何でだかと、ややびっくりしながらも言うが。
この流れなら、かつ、変に声を上げるものだから。
今度はソードはどうなのかと皆気になっていると、察したなら。
表情は何だか面倒臭そうにしてしまう。
頭を掻いて、いかにも困ったと言わんばかり。
俺も含む皆は、その通りと頷いて。
「う~ん。言いたかないが、俺は戦争孤児なんだよな。」
「「!」」
困ったとは言っても、言わないわけにもいかず。
それに、別に言って減るもんじゃないとして、言い出した。
言い出しのそれに、皆は息を呑む。
……なお、その言い出しに俺は、悲壮を禁じ得ない。
戦争孤児……。
今はほとんど脅威も下がってきたものだが。
かつては各地で戦争を起こしていたのだ。
伺えるに俺は、ソードの両親も、戦火に巻き込まれて……。
「俺が住んでいた場所……。まあ、俺もほとんど覚えていないんだけどよ、そんなに昔じゃないがな、戦闘で焼き払われてな。んで、俺だけ一人ぼっち。ま、物心つく前だったからかな、両親も、兄妹がいたのかも、分かんねぇんだわ。」
「「……。」」
紡がれる先は、その通り、悲壮。
見掛けに寄らず、ソードはそんな過去を持っていたなんて。
いつも、アビーのようなお調子者の裏は、こんなのだったとは。
その悲壮聞き、場の皆は沈黙する。
「……あなた、そんな過去があったのね。ごめんなさい。私は、アビーみたいな、どこまでもお調子者とばかり……。」
「!!」
その中で、マフィンがまず声を上げて。
悲しそうにしながらも、まず告げたことは謝罪であり。
ソードは耳にして、目を見開く。
「あーあー!!だから言いたかないんだよ!こんなしみったれた話!」
「!」
このような雰囲気が嫌いだとばかりに、払拭するように明るく言ってきた。
「なぁよぉ?そっちの、ええと、アビーだったっけ?な奴みたいによ、俺もそうなわけ。そんなの、どうでもいいことだ!」
「!」
払拭するために、手を叩いては、変えようとして。
アビーを引き合いに出すのだが。
「にゃ?」
「……。」
アビーは首を傾げるだけで。いまいちピンと来ていない。
その様子に、ソードは何か、調子を崩されたような顔をする。
まあ、アビーはアビーで、自分の境遇はどこ吹く風のようなものだが。
「……んんっ!!」
調子を崩されたが、咳払い一つ、取り戻して。
「あ、まあその何だ。俺の意見じゃ、泣いても帰ってこないなら、別に気にするだけ無駄だってことで。俺ぁ、やっぱり、こう、笑っていないとな。それこそ戦闘機をブイブイ言わせて、空中でにやりってね!こうでなくちゃ!だからよ気にしないでくれよ!笑って、生きていたいじゃん!にひひっ!」
自分の過去話を決着させるために言い切り、締めは笑顔を見せた。
意見はらしいもの。
ある意味、納得するようなものだ。
そんな過去を背負って生きていたから、必然的にポジティブになったと。
「……そう。分かったわ。まあ、あなたらしいわね。」
ソードの意見に、納得を見せるマフィン。俺も、同じだと頷いた。
ソードの払拭により、場はやはり、明るい雰囲気に変わる。
「まあまあ!そんなことより、面白い話の方がいいぜ!こう、もっと、笑えるようなお話にさ!するんだったらな!」
やがては、楽しいお話にしようと変えていく。
「!」
で、笑える話となったが。
「「……。」」
皆は黙して、それぞれ見渡してしまう。
俺は思考を巡らせるが、面白い話はあんまり思いつかない。
「じゃあ、言い出しっぺが、って流れだな!」
「!」
皆、何も言わないものだからと、ソードが先陣を切る。
注目するなら。
「じゃ、面白い話を一つ。今、進んでいる海はな、〝光る海〟って言われる場所らしい。」
「?」
始めたことには、何か引っ掛かるようなもので。
あと、これだけでは、何が面白いのかは分からない。
首を傾げていると。
「この海域ではな、夜になっても光っていてな、また、夜中になると、ぼんやりと出たりすることがあるらしい。また、機械も一部、調子が悪くなるってわけさ。」
「……。」
続きが言われて。
だが、内容は何だか、違う気がする。
「……それじゃ怪談でしょ?怖がりを怖がらせるつもり?あと、オチというか原因が分かった気がするのだけども。」
マフィンは冷静に突っ込んでくる。
それじゃ、怪談だとは、的確だ。
ただ、マフィンはそれが何であるかは見抜いた様子で、気になる言葉も残す。
「?」
なお、何でだかは、俺は知らないでいる。
「……何だよ~。見抜いたって。……あ、もしかしてオチを知っていると言うのって、実は怖がりとか?」
つまらなさそうにソードは言うものの、挙句は煽りを加えてきた。
「違うわよ。あと、そういうのに詳しいのは、他でもない私なのだけど。」
煽りに対してマフィンは、冷静に言い返してくる。
「げぇ~……。」
言い返しにソードは、やっぱりつまらなさそうだ。
「……はぁ~あ。も~、話の腰折っちゃってぇ~。まあ、いいけどね。じゃあこの海域が、どういう場所って言うとだな!」
「続けて。それと、気を悪くしたなら、ごめんなさいね。」
「にひひっ。気にしてない!」
話の腰を折られたとして、残念がってもその先の。
どういう海域かの説明をしようとしてはいて。
なお、マフィンは途中、口を挟むことには、謝罪であり。
言われた本人は、気にしていない様子を見せ、続ける。
「この海域はな。」
「……。」
静かに聞き入るなら。
「かつて、大規模な戦場だった海域さ。光るのは、その場所に沈んだ魂たち、何て言うと、怪談だけどね。実際はそう、マキナや軍艦さ。そう、スフィアがこの海域には、沈んでんのさ。」
「……でしょうね。」
「だからよ、時折、活性が上がった時に、海域内でジャミングが発生する、ということさ。それが、機械の調子が少し悪くなる原因!にひひっ。まあ、時折誰かが何かを見間違えて、つい、幽霊が出たって騒ぐこともあるけどね!」
続きを言い切っては、いつものように笑う。
マフィンはまた、予想通りという感じで。
「……へぇ。」
俺は俺で、納得を示す。
……どうも、この海域は大規模な海戦があって。
結果、大量の軍艦や、マキナが沈められて。
同時に、動力源であるスフィアも沈んでいて。
だから、輝くのだと。
なお、その光景は見たことがなく。
残念ではあるが、興味が湧いて、面白く感じてきた。
「!!!ということは、ここでスフィア狩りができるの?!」
「!」
内容を理解してるかは別としても。
その沈んでいるとか、スフィアの残骸とかの話から。
途端アビーは顔にときめきの色を、輝かせては、言ってきた。
いきなりなものだから、驚きながらも俺は、納得もしてしまう。
スフィア狩り。
マキナや他、色々な残骸からスフィアを回収することなら。
残骸が沢山眠るのなら、可能だ。
「……はぁ……。」
アビーのそんな様子に、マフィンは呆れ返る。
「アビー。今、海なのよ。残骸があるのは、海底も海底よ。潜る前に、溺れてしまうわよ。」
呆れた調子ながらも、やや考え直しなさいとの諭し。
「ふぇ?!そうだった……。」
「……あとあなた、泳げるの?」
「うぅ~……。自信ない。」
「でしょうね。」
「……。」
諭された結果、重要なことに気付き、ときめき一転、残念そうに項垂れる。
マフィンは小言を続けるなら、泳ぎについて。




