かたほぐし!からのじっせん!
「!……なあ、大和!」
「!」
そんな中、レオおじさんが何か思いついたようで。
「……癒しのそれってよ、肩こりにも効くのか?」
「!」
そのアイデアとは、肩こりについて。
俺は、はっとなってレオおじさんを見て。
そうしたなら、レオおじさんが示したのは、自分の両肩であり。
だが、こってそうには見えない。
であっても、レオおじさんはわざと、こったように肩を動かしていて。
「……。」
なら、実演もして見せないとね。
ただ、傍ら思うのは、果たして効果があるかどうかの疑問で。
確かに、以前腰を痛めたマフィンを治したことはあるが。
肩こりに効果があるかは分からない。
疑問に思ったところで、やってみないことには、何とも言えない。
俺はまた、手を動かして。
スフィアをもう一個、バックパックから呼び寄せる。
両手に一個ずつ、浮遊させたなら、レオおじさんの肩にあてがおうとして。
「!おー!」
「!」
その時に。
俺がもう一個スフィアを取り出したものだから、シンが感嘆の声を上げた。
確かに、実演の状況で、複数のスフィアを動かすのは、確かに初めてだね。
「……スフィアの扱いに慣れたら、こう、数個でも扱えるようになるよ。まあ練習あるのみ、だけどね。」
期待の眼差し向けるシンに、俺は言ってやった。
「!うん!」
返事にシンは、言って、元気よく頷く。
で、戻って俺は、スフィアをレオおじさんの肩に持って行くなら。
「……。」
また、撫でるように手を動かした。
連動して、スフィアは淡い光を出して、レオおじさんの肩を包み込んでいく。
「!うぉ?!……すげぇな……。気持ちいい。あ~……本当に肩がこったら、こりゃ効くわ~……。」
どうやら、効果があったようだ。
レオおじさんは、最初驚きの声を上げたが。
途端、気持ちよさそうな顔になり、声もまた、リラックスしたものになって。
「ふぁ~……。」
満足そうな溜息をついた。
「っと。」
ある程度続けたなら、実演を終えたと、スフィアを手に戻していく。
「……んぅ~……!」
レオおじさんは、短時間ながらも、リラックスのそれに。
満足の余韻を呈していて、肩を回して、確認していた。
軽快に回す様子から、疲労なり何なり、改善した模様。
「……。」
その様子見て、俺もまた感心の溜息をつく。
効果があったようだ。応用すれば、色々できるんだね、とも。
「おー!」
「!」
レオおじさんの様子はそれまでとしておいて。
後ろから、俺の実演を見えていたシンが、また感嘆の声を漏らす。
振り返れば、感心した表情のシン。
反対に、静かな様子でじっと俺の様子を見ていたウィッチさん。
「……?」
シンの方は、予想できるが、ウィッチさんのそれは?
疑問に俺は、首を傾げた。
「!」
その俺の様子に、はっとしてウィッチさんは顔を上げた。
「……ええと。」
そうなったなら、俺は声を掛けようとする。
「!……あの、ありがとうございました!」
「!」
先に声を上げたのは、ウィッチさんであり。まずお礼を言って、頭を下げた。
「スフィアの使い方が、いまいちであったので、これを機会に、励みます!」
「!!」
さらには、改まり、抱負まで述べてきて。
見たなら俺は、つい身を引いてしまいそうになる。
「……い、いや。そ、それほどでもないよ。だって、まだ初歩的なことしか教えていないし、何より、攻撃方法も教えていないから、あんまり十分じゃないんだけども。……ええと……。」
その、引き気味の状態でありながらも、俺は、だが、まだ十分じゃなく。
お礼を言われるほどではないと、謙遜して。
ただまあ、正直何を言っていいか、分からないでいる。
「いいえ!そんなこと、ありません!」
「!」
ウィッチさんは、俺の謙遜を拭うように、きっぱりと言う。
相手がその態度なら、流石にと俺は、引くのをやめた。
「……。」
「!」
俺がそうしたなら、ウィッチさんはあの勢いを鎮めて、朗らかな顔になる。
「……あの。ありがとうございます。」
改めてまた、お礼を告げて、頭を下げてくる。
「!」
笑顔添えられたその向こうに俺は、感じる何かに反応し。
それはきっと、そう、夕方にあった、俺に教えられるという嬉しさ。
「……。」
憧れの人に、教えられたという、嬉しさであると。
そのためにウィッチさんはあんな顔をして、今や、嬉しそうに笑み。
俺もまた、教えは身になったと知るなり、笑みを浮かべて。
しかし、照れ臭くもある。
ウィッチさんが褒められ慣れていないのと同じように。
俺もまた、このように言われるのは慣れていない。
「……で、では……っ!」
「!」
そこから続くようで、ウィッチさんは顔を上げて。
「……忘れない内に、練習に励みますね!」
「!……う、うん!」
この機会に覚えたこと、この機会にこうして、教わったこと。
忘れないように今、ウィッチさんは練習したいと言っては、両手をぐっと握り。
気合を露に、また、明るい笑顔を向けてきた。
俺は、そんな真面目さも相まって、別に却下するわけではないが。
許可するみたいに頷いた。
「!そうだ、僕も!」
「!」
ウィッチさんの勢いに追従するように。
ずっと見ていたが、ウィッチさんがそんな様子を見せるものだからと。
シンもまた、手を上げてきて。
「……っと、その前に……。大和お兄ちゃん、ありがとう!!」
「!あ、ああ。」
その前に、シンは俺に頭を下げてきた。俺は、俺で、頷きを返す。
シンは、にっこり笑みを浮かべたなら。
立ち上がり、ウィッチさんに追従するように、スフィアを手に持つ。
「ぼ、僕も、練習する!そうしたら、もっと皆から尊敬されるかな?」
「!」
練習することまで、追従するか。
シンの眼差しはよく、憧れのその先に、成長した自分を思い描いている。
その姿はきっと、誰からも愛される、素晴らしき姿のようだ。
「……。」
見ていて俺は、何だか自分の弟のように思えて、つい笑みが浮かんだ。
「見といてあげるよ。頑張って。」
二人がするなら、俺は見ておくと言い、励ましも残して、座った。
二人は頷いて、スフィアを改めて発光させる。
その様子から、今まで教えたこと、一通りやるつもりだ。
二人のスフィアは、手の平から少し高い位置にて、浮遊。
ウィッチさんはふと、目を瞑っていて。
俺が教えた技術、反芻させているかのよう。
やがては、全てを行うと、言う感じで、目を開いた。
しかしその時。
「うぃ、ざぁ、あ、どぉおぉおおおおん!!!」
「?!うげっ……。」
軽快で、勢いのある駆け足が通路から響いてきて。
誰だかすぐに分かったあまり、俺は嫌な予感がしてならない。
その通りで。
ノックあっても、俺の了承得るか否かの前に、扉は思いっきり開け放たれた。
誰だか。
この雰囲気を破壊するのは、誰だか。
ソードだ。
ソードは、にっこりと嬉しそうに笑っていて。
今から俺に飛び掛かりそうな勢いであったのだが。
その勢いが災いをもたらしてしまう。
「ひにゃぁあああああ?!」
ソードが突撃したに近い音を立てるものだから、驚愕し。
飛び上がる人が一人いて。ウィッチさんだ。
悲鳴をつい、上げてしまったうえに、スフィアのコントロールをミス。
加えてウィッチさんの能力か、コントロール不能が災いをさらに呼んだようで。
彼女が用意したスフィアたちが、一斉に飛び上がり。
「?!」
挙句、一応主であるウィッチさんを守るために。
脅かしたと捉えられなくもないソードに、襲い掛かっていった。
俺は、危険を察知して止めようとしたが、間に合わない。
それらは、ソードの顔面に目掛けて行ってしまった。
「?!うぎゃぁあああああああ!!!目がぁ!!目がぁ!!!!!」
「……!!」
顔面に直撃したそれらにより、ソードまでも悲鳴を上げて。
挙句、通路を走り去ってしまう。
間に合わなかったか……?
悔やまれそうになる。
そうであっても、まだ近くにいるようで。声は聞こえた。
耳を澄ませて、聞くならば。
《ソード。負傷したか?目が痛いか。そうか。なら、そのまま飛行甲板に出て海へ飛び込むといい。目の痛みを和らげるだけなく、頭も冷えるだろう。》
「……。」
通信もあって、何か言っている。
「はぁああああああ?!が、ガント!!!鬼かぁ!!!俺、死んじゃう!まだ死にたくない!!!!」
そんな酷い通信をされたのだから、当たり前で、ソードは叫んでいる。
俺は、……いつものソードかと、呆れて。
驚きは、もう消え失せてしまう。
《……。……。ザッ……。》
「あぁ?!くそぅ!!通信切りやがった!!!」
反撃として、口汚く罵ろうとさえ思っていたソードであったが。
相手は先を読んだようだ、通信を切ってしまう。
「ぬぬぬぬぬ……!!!!ガントめぇぇ!!覚えてろよぉぉ!空戦で、後ろから撃ってやるぅぅぅ!」
苛立ちにソードは、致し方なく恨み節を口にして。
ずかずかと足音を立てながら、またこちらに戻ってきている。
やがて入り口まで来たところで。
「……もぉぉぉ~……。夜なのに元気なのね……。」
「!」
隣の部屋の扉まで開いて。呆れた溜息をつきながら、マフィンが出てきたようだ。
やがて、ソードの後を追うように歩んできている。
「……いつつつ……。」
「!」
最初に通路から姿を現したのは、ソードで。
痛む目の部分を押さえつつ、登場してきた。
「あ、あわわわわ……。」
「!」
ウィッチさんは見て、やらかしてしまったと、震えていて。
「!」
「あらあら。全く。大和、あなたの側には、いつもこんなことばかり。何かついているのかしらね?」
その後ろからは、呆れた笑みを浮かべながら、マフィンが続いてきた。
「マフィン!」
俺は、その登場につい声を掛けてしまう。
「目がぁ……。目がぁ……。あぁぁ……。」
「……。」
何となく期待を出してしまう声掛けも、だが、ソードの悲痛な声に消え。
俺は、何だか可哀想に思えてならない。
抱いた期待の表情は、哀れみに変わりソードをそんな目で見てしまう。
「……はぁぁ。今度はこの人がトラブル?」
「……としか、言えないかな?」
マフィンは、そんなソードを見て、呆れて一言。
俺は、そうかもしれないと頷くしかなく。
「……。」
マフィンは、溜息つきつつ、ソードに顔を寄せて来て。
「?!」
「はいはい、見てあげるから。大人しくして。」
ソードの手を払い、ソードの顔を覗き込んだ。
いきなりそうされるものだから、ソードは、見られてはいるが。
思わず、目を丸くする。
「……単に打っただけね。出血も見られないし、瞳孔も、眼球もちゃんと反応しているし。」
マフィンは、診断しているらしく、淡々と話していた。
「あはっ!」
「……。」
そうして、診断を受けているにもかかわらず。
ソードの表情はやがて、ときめきの色に変わり。
何だかそんな、期待の笑みを浮かべていく。




