おじゃまがはいったけどれんしゅう!れんしゅう!
「……。」
自分が光らせるスフィアを、しげしげと眺めていたなら。
「!つ、次は?もしかして、飛ばすの?」
「!」
気付くことは、単に光らせるだけじゃなく、宙に浮かせるのかとも。
ある意味、真骨頂な気もするが。
「う~ん。」
そうなると、途端俺は悩みに顔をしかめてしまう。
「?」
どうしたのだろうかと、シンは首を傾げて。
そんな俺が、なぜかというならば、アビーの姿が頭をよぎってしまい。
懸念がある。そうとも、それは、スフィアを浮かすのならまだしも。
まかり間違って、辺り一面を乱反射させる目になると。
……シンは慌てふためくかも。
そうであっても、立ち直れるならいいが。
場合によっては、トラウマになってしまうとなると。
……何だか、可哀そうに思えて。
「……その、宙に浮かせるのだけども、気を付けないといけないよ?」
「?」
懸念含んで、不安げに俺はまず、シンに問うた。
俺が、不安げな表情を見せるものだから。
シンもまた、不安といい、疑問といい、覚えて首を傾げる。
「……気を付けないとね……。」
「?!」
「!!」
どうなるかを、言おうとしたなら、そのタイミングで隣が騒がしくなる。
耳を立てて、よく聞くならば、固い物が乱反射、跳弾するような音を立てて。
喧しく。
つい、驚きはするが、……全くいいタイミングだと、一転呆れもする。
「ちょっと!!!!私のスフィアなのよ!大事に使ってよ!!!」
「あ、あわわわ……。ご、ごめんね!!」
マフィンとアビーの声も同時に聞こえて。
何をやっているかは、想像つくが、故に呆れ返る。
どうも、またアビーが、スフィアの練習をしていたようだが。
結局、不器用が災いし、同じことになった模様。
「……気を付けないと、アビーのように、この音を響かせるようなことが起きるようになるんだ。」
「!!……う、うん……。」
気を付けないと、どうなるかのいい例だと、静かに俺は言う。
聞いたシンは、この音に若干恐怖を覚えながらも、こくこくと頷く。
「じゃあ、気を取り直して、やってみるか。」
向こうのことは、マフィンに任せるとして、俺は気を取り直し。
シンに教えることを続けようとする。
「……責任もって、止めなさいよ。」
「うぇ~?!」
傍ら、まだ鳴り止まないアビーの跳弾音の中。
マフィンもまた呆れ返っているようで。
ちゃんと自分で止めなさいと、やや厳しく言う声が聞こえ。
「ええと、ええと!!!!えーい!!!」
「?!あぁぁ?!」
「?!」
跳躍を止めるためにアビーは、何をしたのやら。
どうやら、マフィンが驚くことのよう。
やり始めようとした矢先に。
マフィンが驚く声につい、俺は不安を覚えてしまい、止めて。
胸騒ぎも、感じる。
「ちょっと!!!何廊下に放り出しているの?!」
「え、えぇと……。えへへ……つい。」
「気を付けてね!……って、きゃああ!!」
「……?」
耳をそばだてて、続きを聞くならば。
どうやらアビーは、止めるために、使っていたスフィアを外に、廊下に放り出したようだ。
ただ、それだけでなら、大したことじゃないが、続く悲鳴が気になる。
と思ったら、近く、廊下の方から跳弾する音がまた響き渡り。
それも、威勢よくあって。
「いや~な予感。」
その反射音に、嫌な予感を覚え、つい呟いた。
「……。」
俺は、そっと、部屋の外、廊下の方を向き、手をかざし、目を瞑る。
「!」
スフィアの気配を感じたなら。
手に取るように手を動かし、握り締める動作をした。
途端、反射音はなくなり。
「……と、止まった?……!」
マフィンは音が止まったと、恐る恐る顔を出したようで。
そうして、目にすることに息を呑む。
「……宙に静止しているわ……。アビー?……じゃないわね。」
「!」
マフィンの言葉から、上手くいったみたいだ。
俺のしたことは成功したと、言葉から確信する。
俺はそうして、スフィアを止めたのだ。
「……。」
「!」
マフィンは、だが、嫌に沈黙を向けて。と、扉をノックする音が響く。
「……大和。入るわよ。」
「!う、うん。いいよ。」
マフィンが言ってきて。俺は、頷いて招き入れるような言葉を掛けるなら。
扉が開き、マフィンは怪訝そうな顔をしていて。
かつ、俺がシンと一緒にいて指導しているのを見たなら。
やっぱりと確信を抱いた顔をする。
「……ふふ~。」
「?」
やがては、何だか嬉しそうな笑みをも浮かべて。
どこか、誇らしげでもある。
「大和、上手になったわね。」
「!」
言うことには、俺への褒めで。
言われて、つい頬を赤くし、顔を逸らした。
「……褒めてあげたのよ。少しは素直になったら?まあ、鼻につかないようにするのが、大和らしいのだけどもね。」
そんな俺を見てか、素っ気ないと少し気を悪くしたマフィンで。
言いはしたがそんな、鼻に付けないのが俺らしいと呆れて。
「うぉー!!やっぱりウィザード!」
その後ろから、原因となった本人が顔を出し、感嘆の声を上げる。
「……。」
俺は、苦笑する。
アビーが顔を出したなら、マフィンは振り返り、やや睨むように見る。
「アビーは反省!危ないじゃない、ちゃんと扱わないと。」
「?!うぇ~!マフィンちゃん、きーびしー!!」
それからの、軽い説教。アビーは厳しく言われて、項垂れて、耳垂れる。
流石に、あんなマフィンの剣幕には押されるか。
「……しゅん……。」
押されたその先に、アビーは正座し、項垂れていく。
いつぞやかで見たが、久し振りに見た。
アビーの反省のポーズ。
「……全くもう。」
マフィンはまた呆れ、溜息を漏らした。
「……っと。お邪魔したわね。それじゃ、アビーと一緒に帰るわ。」
「!あ、ああ。」
アビーとの悶着が済んだならと、俺に向き直るなら。
多分邪魔をしたと思い、マフィンは言い、帰ろうとした。
俺は、頷きを見せて。
「……と。お、お休み……。」
帰るならば、と俺は挨拶を続けて。
「!」
言ったならマフィンはピクリと眉を跳ねさせて。
そっと、笑みを浮かべるなら。
「ええ。そうね。お休み。」
マフィンも返した。
そうして、アビーに向くなら。
「ほら、帰るわよ。夜だからね。」
「!うぇ~……?まだ大和ちゃんと一緒にいたいのにな~。」
「……村に帰ったら、いつも一緒じゃない。はぁぁ……。」
部屋に戻ろうとして、アビーに言うが。
アビーは不満を述べてくるものの。
マフィンは反論として、村でのことを口にして、呆れ。
溜息を思いっきり吐いた。
「!うぅ~。そうだね~……。」
マフィンの先ほどの睨みがまだ聞いているのか、今回のアビーはやや素直に。
頷くなら、渋々立ち上がって、マフィンに続いていく。
「!」
そのまま部屋に戻ると思いきや、アビーはふと振り返り、手を振ってきた。
「大和ちゃん、シンちゃん、それと、レオおじさん!お休み!」
「!あ、ああ。お休み。」
それは、夜の挨拶のためであり。
アビーはそうしたなら、いつもの笑顔を向けてきた。
俺もまた、手を振って見送って言い。
「お、おやすみなさい……。」
シンも続き。
「おう!それじゃ、また明日。」
レオおじさんが最後に続いた。
マフィンは頭を下げて、部屋を出て行くなら、アビーも続いて。
扉がゆっくりと閉まるその時まで、俺は二人を見送った。
閉じたなら、また、元の状態に。
「……。」
アビーたちが去ったなら、やはり静寂があり。
寂しさに何だか、悲しさも感じてしまう。
「!」
が、その傍らでシンが俺の服を引っ張ってきて。
その寂しさも、やがては消えていく。
入れ替わりに思うのは、まだシンに教えている途中であったと。
「……ごめんよ。まだ、教えている最中だったね。」
俺はまず、頭を下げて。
「ううん!大丈夫。」
シンは、首を横に振って、気にしていないと言う。
「……じゃあ、また始めるか。」
シンが求める故、またスフィアの扱い方を教えるのを再開する。
そっと、笑みを浮かべては、またスフィアに手を添えて。
「もう、起動の仕方は分かる?」
その際、聞いてみる。
「うん。やってみる!」
シンは分かっていると頷いたなら。
最初に見せたように、スフィアを両手に包み込んで。
そうしたなら、淡い光が漏れてきた。
開くなら、スフィアは光を発して。
「その次は、浮かせる。いい?見てて。」
「うん!」
次は、スフィアを宙に浮かすことで。
俺は言って、スフィアを手の平に載せたまま、じっと見つめる。
シンは、頷いて、俺の様子を見つめる。
俺が見つめたスフィアは、やがて浮かび上がる。
「!おー!」
シンは見て、歓声を上げた。
「……浮かせるのは慎重にやらないとね。じゃないと、アビーのようになってしまうし……。」
シンに言うことには、慎重にやることを言っておく。
「し、慎重に……。う、うん……。」
俺の言った言葉を繰り返しては、シンは震えながらも頷いて。
その上で、自分の持つスフィアの扱いに取り掛かる。
「!……コツとしては、羽が手の平から浮かび上がる様子を想像してみて?」
「!う、うん!」
俺は、取り掛かるシンに、コツとしてそうアドバイスした。
事実、俺だってやる時はそうしていた。
今はそんな想像しなくても、何となくやれてしまうから、あんまり実感はないが。
シンは聞き入れて、頷いたなら。
……集中のために、目を瞑り、眉間に皴を寄せて。
「!」
すると浮遊する、スフィア。
柔らかく、羽のように。気付いて俺は、目を見開いた。
シンは、うっすら目を開けて、自分のスフィアを見たなら。
大きく目を開き、驚きを露にした。
「す、すっごーい!」
アビーから教わった言葉にて、その様子を表現する。
「……うん!いいね。」
教え方が上手だったのか。
あるいは、シンがそれなりに扱えるからなのかは、知らないが。
見ていて俺は、誇らしくなり、言って、そっと微笑んだ。
傍ら思うことは、……アビーより上手なんじゃ?ということで。
だが、それは表にすることはなく、片隅に追いやることにした。
「次は、動かしてみる?」
「!う、うん!」
なら今度は、試しに動かしてみるということで。
シンは、頷いて進めることに同意する。
確認して俺は、浮遊したスフィアの下にある手を、そっとスライドさせる。
スフィアは追従して、動いた。
「これもまた、厄介かもね。何せ、動かし方に失敗すると、……言いたくはないけど、アビーのようにスフィアを跳ねさせまくる結果になるから、ね。」
「!う、うん……。」
注釈をまず、俺は言った。




