しょくじにたのしーはなし!
「いやいや。いいさ。それに、俺たちは休憩中のようなもんだし。あと、サカマタんとこのは、慣れてる。」
「そ、そうですか……。」
ギャラリーの人の一人は、気にしないでと宥めて。
ならばと、俺は、頷いた。
「それよりも!早く座れよ!折角の飯が台無しだ。」
「そーだぜ!サカマタんとこのはほっといてさ。」
「もっと聞かせてくれよ!色々さ!」
そんなことよりも、折角の機会だと、催促される。
食事の時間故、冷めると美味しくなくなるだろうし。
何より、折角なんだ、色々話を聞かせてくれと。
「!」
頷いたなら、また、皆に目配せて。
俺たちは催促されるがまま、自分の席を決めて、座り、食事を置いた。
「よぅし!んじゃま!いただきます!」
ギャラリーの人が、遅くなりながらも、手を合わせて料理をいただく。
そういう宣誓をした。
改めて、他の人もしては、夕食の始まり。
俺たちも、合わせるように宣誓したら、食事に取り掛かった。
その席では、サカマタさんたちの賑わいも伝わってきて。
チラ見していたが、サカマタさん一行は、一行で固まっていて。
ワイワイやっている。
その近くには、別の一群がいるが、何だかうんざりしているような顔をして。
「!」
と、その俺を誰かが指で突いてくる。
振り返るならば、あのギャラリーの人で。
「……ええと。な、何か……?」
聞くと。
「そう言えば、特にウィザード……。あーと、名前は……。」
「!大和です。」
「おおっと。すまない。大和。やたらとサカマタんとこの連中と、なかなか、仲がいいな。何かあったのか?」
「!」
どうやら、俺がサカマタさんと仲がいいことについてで。
途中、俺の名前を聞いてもきたが。そこは丁寧に対応する。
「サカマタさんたちとの出会いですか……。それは、前に、帝国に行こうとした際、マキナに乗ったんですが、撃墜されて、脱出して、海を漂流していたら、偶然助けてくれたんですよ。おかげで、帝国まで進むことができました。」
出会いについて言うことは、それで。
その、以前にあった話だが。
俺とアビーは、スフィア狩りに行ったメンバーから一時期離れて。
帝国に向かうことにしていた。
その矢先に、敵艦に乗り込むも。
危うく見つかりそうになり、帝国のマキナに隠れて。
行動したのは良かったものの、共和連邦の航空隊に見つかり。
撃墜されてしまった。
その際、脱出したものの、そのまま海を漂流することになる。
その矢先に、サカマタさんたちと出会ったのだ。
「!あいつら、珍しくそんなことを……。」
「へぇ。……にしても、あんたら運がいいな。」
「……見直したな。」
「ただただ騒がしくて、前線に出て、暴れまわるだけじゃないんだな。」
「それにしたってよぉ。俺が思うに、ウィザードって運がいいんじゃね?海であいつらに遭遇するなんて、よっぽどだぜ!」
「……。そ、そうなんですか?」
俺が話したなら、結構盛り上がる。
珍しいとか、何より、俺の運がいいとか言われて、俺は戸惑ってしまう。
「!スフィアの導き、だね!!」
「!」
アビーが口を挟んできて、皆が意外そうな顔をした。
俺もまた。
スフィアの導き。
それは、スフィアを扱うと、幸運が舞い込むという、一種のジンクスだ。
「……ジンクスか……。」
「本当にあるんだな……。」
「ウィザードクラスになると、それだけのことができる、と?……俺、知り合いに使い手がいるからな、今度教えてもらおうかな……。」
「なるほど、幸運なわけだ……ってレベルじゃねぇな。それだけじゃ、帝国を倒そうなんて思わんぞ。」
「……やっぱりあれじゃね?器の違い。」
「……なら、敵わねーな……。」
「……。」
ジンクスを聞いて、トーンが鎮まり、色々とひそひそ話みたいに言ってくる。
俺は、静かに聞いていて。
思うことは。
この人たちはどうも、ジンクスとやらを本気では信じていないみたいだ。
軍人だからというのもあるか。
「……思うに大和や。あんた絶対、器だったと思うぜ?ほら、天才とか、成し遂げようとする奴って、大体とんでもないことをするもんだし。」
「だよなー!やっぱすげぇや!」
「ソードも気に入るわけだ。」
「ああ。あいつ、そういうの好きだからな。」
「生まれが違うのさ。……ところで、大和ってどこの生まれだ?」
「?!」
今度は、俺の生まれについて聞いてくる。
その瞳は、英雄譚にはつきものの、出自についてだ。
「……。」
困ったことになったと、俺は答えに窮した。
何せ、どこから話せばいいのやらといった具合で。
そもそも、前世から話をすると、ほぼキョトンとされてしまう。
……それに、俺自身も前世のことは言いにくい。
今ほど恵まれた世界じゃ、なかったんだ。
それ以外に、生まれを言うならば、この体になってからだということだが。
これもなかなか難だ。
正直、どのようにして作成された体なのか、説明しがたく。
かつ、魂が前世のということも、話しがたい。
何だかよく分からず、笑い話にできればいいが、そういう自信もない。
「……。」
「?」
ふと、アビーに視線を送るが、アビーは首を傾げるだけで。
「!」
閃くことはあって。俺は、それを答えにしようとした。
改めて向き直るなら。
「……わっかんないや?」
アビーの真似をして、言い、首を傾げた。
……嘘では、ないね。事実今現在、自分が何なのか理解できないでいるのだから。
すると。
「ぶっははは!やっぱり面白いや!」
「出自が分からないなんて、全く、ミステリアスな奴!!」
「傑作だな!」
「ギャップ!そのギャップ!いつもは真面目で、冷静で、かつ、とんでもないことをしでかして、それでいて、可愛らしく首傾げ……。たまんないね!」
「……あはは……。」
楽し気な、笑いが起こった。
それは、バカにするそれではない、大盛り上がりのそれで。
俺もつられて、笑みを浮かべた。
「いやはや。俺ぁてっきりよ、スフィアから生まれたんじゃないかと思っていたんだよ。」
「なんじゃそりゃ!!……ん?待てよ。分からないんだったら、さもありあんと思えてきた……。」
「?!おいおい。そうだったらさ、マジでスフィアの申し子じゃね?神様かもしんなくね?」
「「神様?!」」
「「おぉ~。ありがたやありがたやぁ~!!!」」
「?!えぇ……。」
やがては、話は飛躍してしまい。
大仰にもほどがあると言わんばかりになり。
挙句、俺の出自が、何だかスフィアから生まれたになってしまい。
神様扱いまでされて、最終的には、拝み手。
まるで神様に祈るかのような振る舞いをされてしまう。
当然ながら、あまりの飛躍といい、何といい、俺は困惑した。
「……何よそれ。」
「!」
そんな俺の様子を、横で見ていて、やがてジト目で言ってきたのはマフィン。
気付くなら、これこそ、ありがたくもある。
こんな、拝まれだらけの状況に、何とかしてくれそうだ。
「へへぇ~……。ありがたやぁ~。」
「……。」
「……。」
だというのに、周りに合わせて、同じく拝み手をしてくるのはアビー。
とてもありがたく思ってくれていた。
そんな様子から、俺とマフィンは何も言えないでいる。
「あなたもよ、アビー。そんなわけないでしょ?私が触って分かったことは、普通の人よ普通の。見た目はね。それに、大和にだって、父親、母親いたでしょうに。……あれ?いたわよね?」
呆れたマフィンは、アビーに言うものの。
それは他にも、突っ込みとして。
先に述べたギャラリーの人たちにも言っているみたいだった。
説得力のある説を言ってくれたものの、だが、最後が異様に尻すぼみに。
はっきりしないそれが、……残念でならない。
マフィンもまた、はっきりしないために、アビーのように首を傾げてしまう。
「……。」
頼みの綱が切れた気がして、俺の方は何だか落胆を感じてしまう。
「なになに~!」
「楽しそー!」
「入れて入れて~!」
「!!」
俺たちの間でそんなやり取りしていたなら。
楽しそうだと勘付いたサカマタさんたちの一部が、こちらに加わろうとしてくる。
俺の方は、嫌な予感がしてならない。
「ウィザードが神様ぁ~?!」
「わぁ~い!!神様だぁ!」
「ありがたや~ありがたや~!」
「明日も、豊作になりますように~!」
「……。」
その通りに、加わったならサカマタさん一行は、拝みだして。
カオスになっていく食堂に、俺は頭痛がしてならない。
「!」
また、気付くことがある。
サカマタさん一行の近くにいた人たちのようだが。
こちらもありがたがって、感謝している。
安堵する様子もあって。
どうやら、こちらの方は本当にありがたがっている様子で。
多分、サカマタさんたちから解放されたことへのだろう。
……こちらには、同情を示してしまう。
「!」
今度は誰かからの、アラーム音が鳴り、周辺に響き渡る。
「?!あぅぅ!休憩終了~……。」
「……。」
サカマタさん一行の一人のようで。
鳴ったなら、本人は落胆してしまう。
「待機~!!」
「うわ~ん。艦長鬼~……。」
「いそげ~……。」
「「わ~……。」」
どうやら、そのアラームは、休憩終了の合図らしく。
サカマタさん一行は、耳にしてとてつもなく落胆を示していて。
そうであっても、食事を残すわけにもいかない。
彼ら彼女らは、一気に平らげてしまった。
あんまり楽しくなさそうに、それぞれ立ち上がり、食器を戻しに行く。
やがては、ぞろぞろ揃って、食堂から抜け出していった。
「……。」
楽しくなさそうに出て行く様子に、何だか可哀想に思えてくるものの。
彼ら彼女らにも、やるべきことがるのだから、そこはやむを得ない。
俺はただ、静かに見守ることしかできないでいる。
釣られて、サカマタさん一行の近くにいた一群も、立ち上がり。
食器を片付けていく。
片付けて、食堂から抜け出す時に、ふとその内の一人が、振り返り。
こちらに立ち寄ってきた。
「!」
注目するなら。
「いやぁ。助かったよ。あのお喋り好きたちはなかなか、ねぇ……。」
少しだけ、笑いながら頭を掻き、言ってきた。
助かったと言われて、俺は、目をぱちくりさせながら聞いていた。
「一度絡まれると、なかなか終わらないんだ。ありがとう。いやぁ。ここに、君みたいなのがいると、色々と上手く回りそうで、頼もしい!それじゃ。」
「は、はぁ……。」
終始お礼を言われながらも、俺は生返事ながらも頷いて。
その人は、踵を返して、また一群と合流して、食堂を去っていく。




