ふっかーつ!
失礼だが、何だかその意外さに、俺は驚いてしまう。
冷徹で、厳しそうなイメージがあるが。
そうであっても、同じ飛行隊の面子だからか、よしみもあるのかもしれない。
「?!が、ガント?!うぅぅぅ……!やーさしー!!やっぱり、俺たち、運命共同体だよな!!!ん~~キスしたくなっちまう!」
「……。」
組み伏せられながらも。
止めたガントさんの行いに、ときめいたか俺は理解できないが、涙目一転。
目を輝かせて、唇を突き出す形をして。
俺は見ていて、何だか気持ちが悪くなった。
「……。」
同じだ。
ガントさんも何だか、顔が軽く青くなっているのを目にした。
「前言撤回だ。こんなバカ、締めて構わん。安心しろ。骨は拾ってやる。」
先ほどとは一転して、そっぽ向いて、撤回、やってくれと命令した。
「?!が、ガント?!ひ、ひどっ?!」
「だ、そうだ。可愛い子猫ちゃん!ちょぉっと、痛くするけど、我慢してくれよ、なっ!」
命じられたが最後、ソードの表情は一変して、絶望に。
命じられた方は、にんまり笑い、軽い処罰を加えるみたいで。
「いでででででぇえ?!」
やがては、腕を軽く捻られた。
ソードは絶叫を上げて。それはそれは、艦内中に響きそうで。
一方、俺は、ガントさんとは違って、見ていられないと目を逸らす。
「!」
と、思ったら、誰かが近づき、影が覆う。
何だろうと目を開ければ、ガントさんが立っていて。
「!!」
思わず睨み付けられたと感じて、つい、身構えてしまった。
「……?」
だが、ガントさんは、睨み付けるわけでもなく。
何か、思案するように、顎に手を持っていき。
俺をじろじろと見だした。
何事かと、首を傾げたなら。
「……ふむ。単なる素人だと思っていたが、見た感じ年相応以上の肉体をしているな。おまけに、頭も切れる、スフィアをあれだけ扱える、ときたなら、全く相当な戦士だ。もし、飛行隊にいたなら、それこそ、戦場を一人で変えかねないそんな気がする。……少年。努力を怠るな。精進しろよ。」
「?!え……あ、はい。」
観察していたようだ、終えて言うことには、俺に対しての評価で。
……褒められた?何だかよく分からず、きょとんとしてしまう。
そんな俺の肩を軽く叩いては、そのまま横を通り過ぎて行った。
「……?」
よく分からないやと、キョトンとしたままで。
こんな状態、誰か解消してくれないか、俺は見渡して。
「!」
と、そんな折。
ガントさんの後に続いて歩いていくシールドさんが、足を止め俺に寄ってきた。
「珍しいこともあるな。ガントが人をこんなに褒めることがあるとは。」
「へ、は、はぁ……。」
言うことには、ガントさんの様子は珍しかったと。
俺は、やはりまだ、実感がなく、曖昧な返事しかできない。
「事実、私も驚かされたよ。初心者ながら、あの兵装を使いこなすだけじゃない、ソードからのビットをもコントロールするとは。飛行自体は初心者そのものだったがね。正直、今まで沢山空を巡ったが、あそこまでビットを使いこなす人間は、今日この日まで見たことがない。やはり、ウィザードとは、特別な存在なのだな。ふふふ……。」
シールドさんは続けて。
この人は、実際驚いたと言っていて。
また、素晴らしいものを見せてもらったと賞賛さえ、感じる。
俺は、やはりぼんやりと頷くしかない。
「では、私もお暇しよう。そろそろ夕食の時間だ。」
「!あ、はい。ええと、ありがとうございます。」
俺の頷き見たなら、シールドさんは言うことはもうないと。
そっと微笑み残して、また、歩き出す。
ガントさんと合流するつもりで、さっと、歩を進めていった。
「あ、あの……。」
「!」
揃って出ていくならば、忘れてはいけなのが、ウィッチさんで。
戦闘の時とは違い、いつものオドオドした様子は相変わらずながら。
俺に何か言いたげで。
気付き、促すように頷いた。
「ええと……。」
「あ、はい。」
促したなら、ウィッチさんが口を動かすに。
「あの……。凄かったです。ほ、本当にウィザードって、いるんですね?」
「……。」
聞くことは、俺がシミュレーターで見せたあの芸当についてで。
やっぱりと思い、また、ウィザードという単語に、こそばゆさを感じ。
顔が赤くなってしまう。
「……その、よかったら……ですけど……。」
「……ええと、はい。」
言いたいことはそれだけではないようだ、続けては。
「こ、今度、教えてくれませんか?スフィアの、すごい扱い方とか、ええと、バリアを張ったり、沢山操ったり……。うぅぅ~……。」
「!」
続けたことには、俺に教わりたいとのことで。
言い切って、ウィッチさんは、顔を思いっきり赤くした。
どうやら、ウィッチさんは、異性と話することに慣れてはいない様子。
そんな様子もあったが、俺は別のこともあって、少々困惑した。
どうしようかと、悩み、頬を掻く。
そも、俺はマフィンから教わったが。
果たして、マフィンのように俺も、上手く教えられるかどうか。
こういう時、どうすればいいんだ?助け舟をつい、探してしまう。
そうして、視線を泳がせながら。
「……ええと、マフィンに……じゃ、ダメ……?……ダメそうだな。」
戸惑い含めて、口を動かすものの。
ウィッチさんの顔を見たなら、どうも、俺に対しての期待の眼差しがあり。
うかうかダメとも言えなくて。
「……うぅ~ん。分かった。教えてあげる。……けど、自信はないんだ。俺も正直、ほとんど感覚だけで操っている気がするし。いわゆる、画期的な方法論とか知らないよ?」
「……。」
悩みに軽く唸ったなら、分かったと俺は承諾する。
が、付け加えもあり。
俺は、マフィンのように教え方が上手いという自信はない。
ましてや、使い方を知ってはいても。
いわゆる方法論、理論なんかはからっきしダメだ。
アビーのことを笑えないが。
俺も、正直感覚だけで動かしている気がしてならないし。
それでもいいならとの、問い掛けを。
ウィッチさんは、こくこくと頷いて意志を示す。
それでいいと、いうことらしい。
「……分かった。いつか、また、ね?」
なら引き下がれないや。
俺は、引き受けると、今度は完全に承諾する。
「あ、ありがとうございます!……その、……では!」
ウィッチさんは耳にしたなら、赤い顔ながらも、俺を見据えて。
そっと笑みを浮かべて、ガントさんたちに続くため、走り去っていった。
「それじゃ、俺たちも行くかー!」
「ああ。ソードの鉄砲玉の相手もこれくらいにしておけよ。後でお返しが、怖そうだ。」
「そんときゃ、投げ飛ばすさね!」
「……っと、ウィザード!またな!今日は楽しませてもらったぜ!」
「おー!思ったんだが、いっそのこと、ウィザード専用機作っちまう?」
「おいおいおい!民間人だぜ?そんな簡単に乗られちゃ、俺たちゃ、世話ないぜ?」
「いやいや。俺よぉ。漫画やアニメで見たんだがよ?民間人がよ、急いで、仕方なく乗って戦う話って、結構あんだよな?」
「あははは!見過ぎだ!!やめとけよ!本気にしちまいそうだ!」
「っと!気にしないでくれよ!なぁに!ちょっとした与太話だ!」
「……あ、あはは……。」
航空隊の面々が去ったなら、続くのはギャラリーの人たち。
皆、俺を見ては、口々に言ってきて。
その内容はまた、なかなかなもので。
楽しんだ挙句。
いっそのこと、俺を入れて、戦わせる兵器まで作ろうと考え出す始末。
その人たちの話じゃ、俺を大層気に入っている様子で。
皆、楽しませてもらったと言っては、手を振り。
航空隊の面々の後に、続いていく。その様子を、俺は苦笑しながら見送った。
「ぐぞぉぉぉ~……。あいづらぁぁ……。」
「?!」
その苦笑見送りから一転して、途端。
地の底から響き渡る、不気味な声が聞こえて、つい飛び上がりそうになる。
見れば、ギャラリーが過ぎ去ったその場には、ボロボロのソードが。
尺取り虫みたいに腰を曲げて伸ばす動きをしながら。
ガントさんたちに続こうとしていて。
「……。」
その様子に、声が掛けられない。
「ぬぐぐぐぐ……。」
呻き声を上げながら移動、その様子に俺は、とうとう見ていられなくなり。
身を屈めて、ソードに手を差し伸べた。
「?!うぃ、ウィザード……!うぅぅ……。」
「!」
そうしたなら、見ていたソードは涙目になり。
「や~さ~し~いぃ~!!やっぱり、猫耳勇者、さいこ~!」
「!!あ、ええと、お、落ち着いて……。」
涙ながらに、感涙流しては、俺に手を伸ばしてきた。
とにかく、落ち着かせたく、伸ばした手を取り、ソードをちゃんと立たせた。
そうしたなら、変わり身が早いか、涙は拭い去っていて。
いつもの、自信満々無鉄砲のソードになっていた。
「?!は、早っ……!」
その変わり身の早さに、俺は驚いて。
「へへっ!」
立ったら立ったらで、自慢げに鼻をこすり。
「俺ぁ、この程度じゃへこたれねぇ!」
続けては、胸を張る。
「ええと、大丈夫?結構派手に組み倒されたけど……。」
ただまあ、先ほどの光景を目にしていて、普通大丈夫だとは思えない。
ソードがそう言っても、あんまり安心できないでいる。
聞くならばソードは、証明と言わんばかりに。
その場でジャンプを繰り返してアピール。
元気そうだ。
「大丈夫大丈夫!俺の体、この程度じゃ応えねぇぜ!そうでないとよ、あれだけの機動、できないぜ!!へへへっ!!」
「……そ、そう……。」
跳ねながら言うことには、大丈夫そうで。ある意味説得力のあることだ。
頑丈じゃなければ、そもそも無茶な動きもできないと。
その元気そうに言う勢いに、俺は引いてしまう。
「っと!こうしちゃいられねぇ!ガントに追い付かんと……!集団行動、集団行動っと!」
ソードは、元気アピールしていて、はっとしたなら。
ガントさんたちに追い付こうと身を翻す。
「?!は、早っ……。」
また、その変わり身の早さに、驚いて。
ソードはもう、駆けだそうと、体を屈めていて。
「んじゃ!!大和っち!後でな!!食堂に言ってくる!」
「あ、……うん。それじゃぁ……。」
追いつくために、言った後駆け出して行った。




