やられちゃった……
「!!いけっ!!」
もちろんすぐに何かを感じたなら、ビットを飛ばし。
その通りだ。ガントさんとは別方向から、光弾が飛んできて。
それは、ビットによって発生したフォトンシールドによって阻まれる。
ウィッチさんだろう。
どうやら、俺は2機を相手にすることになった。
レーダーに映る機影は、その通り、示していて。
結果として、相手からのレーダー照射を受け。
コックピット内は警報を鳴らし続けることに。
左右に機体を揺らして、包囲網を突破しようとするも。
現役のパイロットだ、簡単にはさせてくれない。
「!」
思ったら、悪いタイミングで、ミサイルが放たれる。
まずいと思ったが、そのミサイルは、咄嗟に念じたビットが打ち抜き。
爆散させる。
《嘘……。まるでフクロウね……。後ろからの攻撃に対応するなんて……。》
撃った本人であるウィッチさんは、言ってきた。
震え声ながらも、だが、ここに来る前に見た、おろおろした雰囲気は感じられず。
そこはやはり、戦闘機のパイロットらしいな。
いざ、コックピットに入ったら泣き言なんて、言っていられないのだろう。
《ふん。相手はウィザードと呼ばれた男。まさしく魔術師だ。どこかの、アホ頭が、単体で帝国領地に突入して、長城を吹き飛ばしたと言っただけはある、ということさ。何をするか分からない。ウィッチ!相手は隠し玉を沢山持っていると思って攻めろ!弱々しく振舞って、隙を見せて攻撃する、相手はそういう手を持っているパイロットと思ってやれ。》
「……えぇ~……。」
ガントさんはやけに冷静だ。
その内容に言われる俺は、戸惑う。
そこまで、上手くないぞ。
これなんて、今日初めて乗ったんだよ?!
《はいっ!……ふぅぅぅ……。》
「?!」
言われた本人こと、ウィッチさんは頷き、静かに、だが、強く息を吐いて。
らしくなく、ウィッチさんから途端、殺気が生じて。
おかげで、俺の周囲は、殺気だらけの空間になってしまう。
その通りにか、ウィッチさんの機体の動きは大きくなる。
旋回したなら、雲の中に入り。
レーダー状の影も、ぼやけてしまう。
「!」
それは、アビーをやった一撃を行うつもりと、俺は判断する。
あの、雲に隠れて、隙をついて一撃を与えるというあれ。
なるまいと俺もまた、隠れた方向とは別方向に旋回して。なお、そんな俺を逃すはずもない。
ガントさんの機体もまた追いかけてきて。
《そーゆー不意打ち!!俺だってできんだぁ!!!》
《!……ふん。》
《?!うやぁあああ?!》
「!」
そんな中、雲を消し飛ばす速度で飛行してきたのは、ソード。
電光石火とは、かくなるものぞと、言わんばかりの速度。
その速度、あまりにも速く。
音速を軽く超えているからか。
それとも、機体のそういう仕様なのかは知らないが。
光の膜をソードの機体は纏っていて。
雲は結果、光の膜により消され、堪らず晴れてしまう。
不意を突こうとしていたウィッチさんの機体は露になる。
その瞬間に、ソードは機関砲を乱射。
ついでに、ガントさん目掛けて、ミサイルを放つ。
電光石火とは、確かに。
驚きの声をウィッチさんは、上げているが。
ガントさんはだが、冷静に対処。
ミサイルを避けるために、旋回したなら、ついでに光の玉を機体から放出させる。
機関砲のそれではない。
火の玉みたいな奴。ついでに、金属片も見えて。
……チャフ、フレア、だったか。
それらが舞うなら、ミサイルはそちらの方向に逸らされ。
結果、ソードの放った一撃は、不発に終わった。
《もー一弾!》
それで終わりじゃない、ソードは言うなら。
胴体下部のウェポンベイを開くなら、俺が展開する、矢じりたちを見せてくる。
《使いたかないが、……いっけぇ!!》
これについては、あまり乗り気じゃない様子でも、ソードは言い。
その通りに、矢じりたちは飛び交う。
どうやら、アビーとは違って、使い方は知っていて、かつ、一応操れるみたいだ。
が、飛び交う矢じりたちのコントロールは。
ソードが駆る機体の扱いに比べれば、あまりにも雑で。
……アビーがスフィアを使う様子と、被ってしまう。
当然、雑さ故、精緻でない動き読まれる。
ガントさんは、勘がよく働くかのように動いて、ビットたちの攻撃をかわして。
《げぇー……。もちっと練習しときゃよかった……。》
そのために、落胆にソードは声を上げた。
……思うに、乗り気以前に、ソードはこの手の兵装の扱いは下手のようだ。
《それが命取りだということだ。相手が、貴様の無鉄砲でどうにかなるという相手なら、それも通用しよう。だが、そうでない場合は、早晩貴様は墜ちることになるさ。》
《?!げぇ?!い、いつの間に?!》
その攻撃を外したことを隙と見て、一瞬でガントさんは回り込んでいて。
相手に自らの機関砲の銃身を向けていた。
気付いたソードは、素早く身を翻して、回避しようとするが。
《?!げぇ?!き、きったねぇぞ!!ガント!!》
然れども、その回避した先には、矢じりがあり。
ソードが叫ぶことには、これもまた一瞬でガントさんが仕掛けた物のよう。
ガントさんは、人知れずビットを放っていたようだ。
《戦争に綺麗も汚いもない。あるのは、生きるか死ぬかだけだ。それは、貴様が好きな、このステージにおいての交戦規程だろう?〝生き残れ〟、てな。》
《ぐぅぅぅ……。》
言われたガントさんは、淡々としていて。
そこには、戦う相手に対する、念はない。
いや、持ってはいけないのかもしれない。
持てば、隙となる。
兵士故、持たず。
ただひたすら、一つの戦闘単位として、その勤めを果たせとばかり。
そのために、さらに、負けとしてソードは。
悔しさに苦虫を潰したような感じで声を漏らしていた。
容赦なく、ガントさんのビットは、ソードの機体を撃ち抜く。
レーザーが貫くなら、時間をおいて爆発し、やがて、……散る。
《うぎゃぁあああああ!!》
ソードは、空にてアビーみたいな叫び声を上げて、消滅した。
ちなみに、レーダー上からも消滅。
「!!!!」
そうとも、この空に俺しかいない。
一人になってしまう。それは、恐怖さえ感じる。
《さて。残り一人だ。大和、貴様はどう抗う?》
「うっ……。」
冷徹な声で、俺に問われる。また、他にも相手から、冷徹な瞳も感じて。
本気で、殺しにかかっている。
寒気を覚えて、震え上がってしまった。
「!」
だが、閃くことはある。
それは、ソードが放った矢じりたちで。
視線が俺にあるならばと、感じた俺は念じた。
「いけっ!!」
叫ぶなら、ソードの矢じりたちは呼応し。
ガントさんや、ウィッチさんの機体にへと、向かっていく。
《ふん。やはりな。そうでないと、やりがいはない。》
勘付かれてた。ガントさんは冷静に見ていて。
ビットたちの攻撃をかいくぐり反転、雲の中に入る。
また、ウィッチさんもまた、同じように雲へと消えて。
俺は、どうすることもできないか。どちらにも行けず。
このまま、やられるのを待つのか?
「!」
いや、また閃きが。
もし、相手のビット、スフィアなのだから、気配を探知すれば……。
もしかしたらと。
「!!来る!」
どうやら、その通りできた。感じ取ったなら、身を翻すなら。
《?!えぇ?!》
ウィッチさんの攻撃を俺は、かわした。
雲間から隙をついて放った一撃だったが。
不意を突いた攻撃だったのだが、よけられてしまい。
ウィッチさんは驚愕の声を上げる。
「!!こっちも!」
また、気配を探知したなら、今度は思いっきり急旋回をした。
「……っ!!……っ!!!!」
急激な旋回は、体にも負担が掛かり、俺は息ができなくなりそうになった。
《ほう。ウィザードらしい戦い方だな。読める奴がいるとは。》
その際、光弾がかすめて。ガントさんの攻撃を、俺はかわしたようだ。
感心の声が上がり。
「はーっ!!はーっ!!」
が、素直に喜べない。何せ、息が今にも詰まりそうだったから。
俺は、ただただ喘ぐのみで。
《しかし残念だ。》
「?!」
そうかと思ったら、落胆というか、諦めの声が聞こえて。
途端、いくつもの煌めきが見えた。
「!!これは……!!」
気付いた時には遅く、俺はいくつものレーザーに貫かれてしまう。
《ゲームオーバー。ああそうだ。大和、貴様と同じ芸当ができる人物が、もう一人いてな。何故、〝ウィッチ〟という名前なのか、これで知ったか?》
「ま、まさか……。」
壊れ行く中、聞こえた通信にて、ガントさんから答え合わせがあり。
まさかと俺が思うことは。
そう、ウィッチさんで。
どうやら、いくつものビットを展開して。
俺に止めを刺したのは、ウィッチさんのようだった。
確かに、その名前らしい働きぶりだね。
気付き、思ったもののその瞬間、思考が吹き飛ぶほどの衝撃が伝わった。
「?!うぉあああああああああ?!」
叫んだが最後、画面は暗転してしまい、最終的には、何も聞こえなくなる。
「……うぅぅ……。確かにこれは、叫びたくなるね。」
まるで、今しがた本当に撃墜されてしまったかと錯覚するほどで。
体は恐怖に反応し、震えて。静かになった暗闇の中、つい呟く。
それが錯覚と、しばらくして冷静になって気付くなら、遊びは終わったと。
なら、出るしかない。
「?」
と思ったところで、首を傾げることになる。
どうやって、出ればいいのやら。とりあえず、シートベルトを外す。
「!」
と、何か感知してか、途端、圧を抜く音が響くなら。
コックピットの上部、多分キャノピーだったか、開き、視界を広げていく。
ちょっとまで暗闇にいたから、つい開く先の明かりに、目を瞑った。
慣れて、目を開くなら、あのシミュレーションルームで。
「!」
周りを見渡すなら、それぞれのカプセルも開き。
それぞれ、溜息をついたりとやっていた。
「んー!!!楽しかったぁ~!!」
「……。」
開くカプセルの一群から、真っ先に声を上げたのはアビー。
座席から立っては背を伸ばし、緊張を解くために息をついて。
アビーらしさに、ほっと一息つく。
「あーあ!いいとこだったのに~……。」
「……。」
似たように動いたのは、ソード。
同じく座席から立ち、アビーみたいに背を伸ばしては言う。
端から見れば、やはり二人は兄妹じゃないかと錯覚してしまうほどだ。
共通点が多いし……。
ただ、アビーから兄妹のことは耳にしていないことから謎のままだね。
俺は、何とも言えない表情で見届けた。
なお、ソードは背を伸ばしたら、振り返って、今度は文句を言うようで。




