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【ねこみみゆうしゃ大和ちゃん】ようこそ!リオンキングダムへ  作者: にゃんもるベンゼン
かわをみにいったら、おとこのこが
23/186

いっしょにたべよっ!

 「?!ちょ、ちょっと……!!ここで暴れないで……!と、特にアビー!!」

 「えー?」

 揺れに揺れたがために、マフィンは必死に近くの柱にしがみつきながらも、注意をする。

 子どもたちにもだが、何よりも、アビーに。

 言われたアビーは、少し不貞腐れた声を上げていたが。

 表情はしかし、喜びが勝っていた。

 「……はぁぁ……。」

 その様子に、マフィンは呆れた溜息を洩らし、頭を抱えてしまう。

 「なははは!全く、飽きないね。ま、それよりも、ほら、マフィンちゃんも、お昼、食べなよ!」

 エルザおばさんは、皆の姿に笑みをこぼしながら言い。

 手を叩いては場を変えてきた。

 「……はぁ……。」

 マフィンは、今度は気を取り直すような溜息一つ、ついて。

 「……分かりました。では、食器をご用意いたします。ゆっくりしていってください。」

 そう続け、広間から離れ、奥の台所へと消えた。

 「?!」

 マフィンが戻ってくるまでの間、視線はシンに注がれる。

 注がれたシンは、緊張に体を強張らせて。

 皆が、気になるのも無理はない。

 何せ、昨日突然現れた人物で、見慣れないがために。

 「……ええと……。」

 「!」

 戸惑うシン。

 俺は気付き、そっと寄り添い、肩を優しく撫でる。

 「……皆、多分きっと、君のこと、知りたいと思っているんだ。ほら、紹介してみて。」

 「!」

 気付いたことを、そのまま告げると、シンはこちらを見て、一瞬はっとした表情を浮かべたが。 

 俺がそう言ったなら、緊張ながら、微かに笑い、頷く。

 決心したか、シンはちゃんと全員に向き直ったなら。

 「……ええと、僕は、シンと言います!と、遠い遠い、サバンナの、リオンキングダムから来ました……!……その、襲われて、流されて、こ、ここまで来ました……。よ、よろしくお願いします!」

 ちゃんと、自己紹介をして、挨拶の口上を述べて、頭を下げた。

 「……。」

 一瞬、沈黙の間が生じて。

 「わぁい!!よろしくー!!」

 「きゃははは!!」

 「!!!」

 子どもたちが一斉に騒ぎ出し、歓喜に声を上げる。

 さっき注意されたにもかかわらず、また飛び跳ねては家中を揺らしてしまう。

 見ていたシンは、そのテンション上昇に、ついて行けず、また身を退いてしまう。

 エルザおばさん含む、母親たちはそんな健気に、笑顔し拍手で応え。

 「?」

 が、一方のレオおじさんは、拍手すれど、どこか怪訝そうな顔をしていた。

 珍しさに、俺は首を傾げる。

 「あーもー!ほらほら!マフィンちゃんが怒ってくるぞ~!」

 そんな中、子どもたちが再び騒ぐのを見て、たしなめに言ってきた。 

 「え~!」

 「い~じゃ~ん!」

 言われた子どもたちは、反発した。

 「……もう怒るより、呆れたわ……。って、それよりも、おばさま。お皿をお持ちしましたわ。」

 「……。」 

 そんなタイミングで、マフィンが広間に戻ってくる。

 その両手には、大量のお皿が抱えられ。

 顔は、マフィンが言った通り、呆れ顔の色合い。

 「なはは!……すまんね!皆やんちゃお転婆ばかりで。お皿、ありがとう。」 

 エルザおばさんは、子どもたちの行いを謝り。 

 マフィンの手伝いに感謝を示し頭を下げた。

 嬉しそうに、笑みを浮かべていて。

 「ま。マフィンが取り皿持って来たんだ。食おうぜ!」

 「!!さんせー!」

 「わーい!!」

 その側に寄り、レオおじさんは手を叩き、食事を採ろうと提案してきた。

 その時には、いつものレオおじさんらしい、豪快な笑みを見せていた。

 さっきのが、珍しく思えてならない。

 なお、子どもたちはレオおじさんの声にまたまた一斉に騒ぐ。

 マフィンは、何度目だか、頭を抱えてしまう。

 そうであっても、レオおじさんが言うのだ、持ってきたお皿を、並べようとする。

 「!ほら!あんたたち!さっさと準備しな!」

 気付いたエルザおばさんもまた、手を叩き、子どもたちに指示を出す。

 「「は~い!!」」

 また、子どもたちは言葉揃って。

 各々動くなら、広間の大机を整えて。

 さらに、マフィンが指示した、予備の机も出し、くっつけていく。

 そこに、マフィンや、マフィンから受け取った取り皿を奥さんたちが、人数分並べていく。

 並べられた、取り皿、席、載せる机のそれぞれ中央に、持って来た巨大なお重を置く。

 「!……ど、どんな量だ?」

 置いた際、やたらと重量感のある音が響くし、机が震える。

 重そうだ。

 一体、どれほどの量が入っているのやら、俺は、驚きに言葉を失いそうになる。

 ……その重量感よろしく、皆が手伝いながらお重を広げることには。

 大量の料理が盛られていて。

 その量、食べ放題のお店に盛られたそれかと、思うほどだ。

 それぞれ、取り皿が置かれた場所に、子どもたちも含め、つき。

 なお、いつもなら、がっつきそうな勢いを示す子どもたちだが、この時は不思議と静かだ。

 その中の一人、長男が立ち上がり、なんと、シンの側に寄っていく。

 シンは、圧巻なこの光景に、たじろいだ状態で。

 どうしていいか、分からない状態であった。

 長男は、レオおじさんみたいに笑い、その手を掴み、寄せていく。

 「?!え……?!」

 「ほら!ぼさっとしてないで、座ろうぜ!一緒に、食べよっ!」

 「……。」 

 いきなり寄せられたことに、シンは唖然として。

 長男は、笑いながら、どうやら自分たち、ライオンの輪に入れよとしていた。

 シンは、だが、唖然とした状態のまま、固まっている。

 「遠慮?えんりょ?しなくていいよっ!」

 「一緒!一緒!あたちたち、同じ!」

 「食べよっ!ねぇ!」

 「なっ!」

 固まってしまったシンに、子どもたちは一斉に声掛けをして、誘ってくる。

 長男は、応援を貰い、首を傾げてまでも誘い続けて。 

 「……。」

 シンは、戸惑いに固まってはいたが、レオおじさんの子どもたちが誘う。

 柔らかさをも感じる温もりに、やがて表情がほどけていき。

 「……うん!」

 その年頃らしい、元気な笑みで頷き、この輪に入っていった。

 

 大勢での食事風景は、やはりレオおじさん一家らしいや。

 ある意味、戦場で。

 ある意味、家族の仲睦まじい様子。

 なお、今回は普段と違い、シン、マフィン。

 そして、いつ頃からいたか分からないが、村長さんも加わって。

 沢山と思われる料理も、だが、食べ盛りの子どもらであったら、あっという間。

 なくなってしまう。 

 親であるレオおじさん、エルザおばさん及び、他の奥さんたちは、そんな子どもたちの姿を見て、慈しむかのように笑みを浮かべている。 

 アビーもアビーで、子どもらに負けじと、食事を頬張り。

 マフィンは見ていて呆れていた。 

 シンは、レオおじさんの子どもらに囲まれていて。

 色々と話している内に、すっかり打ち解けていた。

 「?」

 その様子、子どもらの賑やかな様子を、遠目に見て、優し気な表情を浮かべている親たちであったが、時折、レオおじさんは引っ掛かるような表情をしていて俺は、気になってしょうがなくなる。

 レオおじさんに歩み寄り、隣に座ると。

 気付いたか、レオおじさんはこちらに顔を向けてきた。

 「……あ~。大体言いたいことは分かるが、……どうした?」

 そんな俺に、レオおじさんは声を掛けて来て。

 自身も、気付いているようで、とりあえず、といった感じだ。

 「……ええと。何だか、珍しいかな、と思いまして。何か、そう、シンの言葉に引っ掛かっている……とか?」

 俺は、気付かれた通りだが、気になったことを口にする。

 「……。」

 聞いたレオおじさんは、思案するように、顎に手を持ってきて。

 「……いやさ。シンって子、リオンキングダムから来た、って言っていたからさ。どうもな、俺の脳みその、片隅に引っ掛かってね。気になっちまってよ。らしくないな?」

 「……あ~……ええと。」

 導き出した言葉は、自分の中に引っ掛かっている、とのことで。

 らしくない、という言葉で締め括られ、俺は、答えに窮する。

 「……っと。大和を困らせてもな。……あ~、何と言えばいいか、ものすごく身近で聞いたことがるような、ないようなって感じかな。」

 「!」

 そうなると、俺を困らせてしまうと、レオおじさんは言い換えて。

 どうも、どこかで聞いたことがあるといった風に。

 「う~……。誰だったかな……。俺の爺さんの、爺さんの、爺さんの……、そのまた爺さんの、あ~面倒臭い……。遠い遠い先祖の誰かが、何だか関係ある風だったような……。」

 言い換えた続きとして、悩みながらも紡ぐ。

 唸り声時折上げながら、思考内にもがき、言葉見付けては。

 レオおじさんの先祖に、シンの出身地と関係があるらしいと。

 「!」

 先祖という言葉に、俺は何だかピンとくるものを感じる。

 「……もしかしたら、ですよ。」

 「?おぅ?」

 「……例の、あの写真、ウィザードの構図の。あの写真に写っている、子どもがいたのが、まさしくリオンキングダム、だったというのは?」

 「!」

 ピンときたことを、紡ぐなら。

 レオおじさんは、不思議そうに聞き入って。

 ピンときたこと、それは、レオおじさんの先祖が、ウィザードと写っている、例の写真のことで。

 その写真が撮られたのが、リオンキングダムだとするなら、という類推。

 聞いていたレオおじさんは、何だか辻褄があうような顔をして。

 「なぁるほど!確かにそれなら、俺も納得する。何だか、引っ掛かっていたものが、すっかり取れた気がするぜ!がははは!さすが、ウィザード!」 

 やがては、すっきりとした表情になり、豪快に笑う。

 言葉の締めに、俺を讃えるか、誉れ高き名前を付して。

 俺は、嬉しいやら恥ずかしいやら、複雑だった。

 

 さて、昼食の賑わいは、やがて終わり。

 それからは、子どもたちは元気よく外へ飛び出していく。

 もちろん、その中にはシンの姿もあった。

 食事を採り、子どもたちと打ち解け合った後は、本当に兄弟のように仲良く、遊びにまで、駆け出していくようになる。

 レオおじさんの奥さんたちは、監督も兼ねて、子どもたちに付き添い。

 アビーもまた、監督を承っているものの。

 一緒に遊ぶことに念頭を置いているようで、子どもたちと同じように、駆け出して行った。

 エルザおばさんは、マフィンと共に片づけをやり。

 村長さんは、食事を採ったなら、そのまま家の奥に引っ込んでしまう。

 広間には、俺とレオおじさんだけとなり。

 ぽつりと置かれた大机に、二人向き合い、静かに座っている。

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