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お似合いカップルになりたい!


三井直之、小学校6年。

兄は毎日、仕事に俺達の世話に忙しそうだ。


代々続く大企業の家に産まれ、それはそれは裕福な暮らしをしていたと思う。


けれど両親が亡くなって、きっとうちは今…裕福では無い。

使用人が減った事。兄は結局高卒で父のあとは継げず、平社員。夜中、他にも仕事をしているみたいだ。


それが、うちの経済状態を表しているように感じる。


そして弟は相変わらずワガママばかり言っている。


…俺と弟は兄の重荷だ。


早く大きくなりたい。兄が俺に弱音が言える位に。兄を支えられる位に。



✽✽✽



「直くん、私、直くんが好きなの…。」


昼休みも終わる頃、今日は珍しく静かだったクラスメイトがポツリと呟く。けれど、その瞳には俺をしっかり映している。


「…。」


2秒は固まってしまった。いつも猪突猛進ではあると思っていたが、まさか。彼女の行動はいつも俺の斜め上を行く。


女子は色恋沙汰が好きだ。良くアイドルグループの話をしては「誰が好き」「かっこいい」などと言っている。


けれど俺にはちっとも分からない。恋とか、好きとか、俺はそんな感情を知らない。

これは告白というやつなんだろうか?



「…。そういうの、軽々しく言わない方がいいよ。」





✽✽✽


…。ほぼ独白に近かった告白は惨敗に終わった。


トボトボと図書室から教室に帰る。


「百子ー。落ち込んでどうしたのよ。」


友達の愛梨が、明らかに落ち込んでいる私に声をかける。


「もしかして三井に振られたの?」


「えっ!!なんで知ってるの!?」


いきなり、言い当てられ驚く。


(直くんが言った?まさか!)


「いや、多分誰が見ても分かる。百子は分かりやすい。百子が三井好きなの学年中は知ってるでしょ。」


「えっ!ホントに!?」


(そんなに私、分かりやすいの!?)


「いや、学年中は言い過ぎか。」


「愛梨〜。どうしよう。私。」


「ホントに振られたんだ?」


「う…。」


改めて言われて更に落ち込む。


「百子の事だから唐突に言ったんじゃないの?

誰だってびっくりするって。三井は他人に興味ない感じだから、百子の気持ちに気づいてなかったんでしょ。百子の“直くん好き好きオーラ”は他の皆は知ってるけどね。」


「そんなに態度に出てた?」


「えっ!?気づいてなかったの?ホントお似合いね。百子と三井。鈍感なところが。」


「えっ!お似合い!?」


「いや、突っ込むところそこじゃ無いから。」


(そっか…私と直くんはお似合いなんだ…)


百子には“お似合い”という言葉しか届いていない。


「愛梨、私頑張る!私、直くんとお似合いのカップルになる!唐突がいけなかったのよね?次はシチュエーションバッチリにするわ!」


「立ち直り早くない?」


「まずは同じ中学に行く!そして、直くんが私に弱音が言えるような女神になる!」


「は?女神?三井の弱み握ってどうするのよ?」


「弱みじゃない、弱音よ!まずは何でも言い合える関係になりたいの!」


「…。頑張れ。」


愛梨はこれ以上関わりたくないといった感じで、早々と話が終わった。

ももちゃんみたいにポジティブだったら人生はもっと楽しいと思うヽ(*´∀`)ノ

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