告白
次の日、一緒に図書委員になった直之と共に当番で回ってくる図書室の貸し出し係に着く。
隣の席に座れるこの瞬間は百子の至高の時間であった。
滅多にカウンターにやって来ない生徒達ばかりで概ねこの時間は二人にとっての読書タイムだ。
いつもであったら百子は直之に話しかけただろう。
〝何を読んでるの?面白い?〟など振れる話のネタが多いのだ。
けれど、今日は何も言わない。同じクラスになれて浮かれていた百子は知らなかったとはいえ、両親を亡くした直之を励ませなかった事を悔やんでいる。
(直くんと近い存在になりたいのに…)
今日は全く話しかけない百子を気にする事もなく、直之は本を読む。
(ママにはそっとしとかないとダメって言われちゃったし。
…パパとママがいなくなるなんて私には考えられない。…直くんはどんな気持ちだったんだろう…)
そこで、ふと思う。
(直くんの気持ちを私は何一つ知らない)
一方的に好きなだけ、それを突きつけられた。
昼休みもそろそろ終わる。直之は読んでいた本を戻そうと席を立ちかけた。
その時ーー、
「直くん、私、直くんが好きなの…。」
スーッと流れるように、気づいたら声が出ていた。
意図して出た言葉ではない。
ももちゃんはとっても素直な子です(*´―`*)