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短編 小悪魔


「直、俺はドMかもしれない。」


目の前の友人が唐突に口を開く。


…俺の周りには唐突に話す人が集まって来るようだ。




で?


疑問も意図も何もないそのフレーズになんと答えたらいいか分からない。


「いや、まだ確定じゃないんだ!きっと違うと思うんだ!そんな目で俺を見ないでくれ!」


どんな目だ。別になんとも思ってないのに…軽蔑したとでも思われたのだろうか。


「直は……S…」


なぜ?俺は人をよく痛めつけているんだろうか。だとしたら問題だ。


「はぁ〜。もういい。」


は?山内は俺に背を向けて帰って行った。


なんなんだ、一体。


俺は結局一言も発していないのに、なんか良いように言われただけじゃないか。


あいつがドMなはずはない。今でた結論だ。



✽✽✽


「なーおーくーん!かーえーろー!」


…かわいい。百子と合流して俺の気持ちがフッと軽くなる。


「何か良いことあった?」


さっきのテンションといい、今日の彼女はご機嫌だ。こっちまで嬉しくなってきた。


「うん!ママからメールが来てね、今日から新米だって!」


かわいい。もはや、これ以外の感想はない。


「お米好きだもんな。」


美味しそうにご飯を頬張る百子を思い出す。なんとかニヤケそうになるのを堪える。


「はっ!今〝まだ食うつもりか〟って言った!?」


…。


「言ってない。」


俺はもしかしたら日本語を喋ってないんだろうか…


あ、もしかしたらさっきの山内の〝直はS〟はこの事を指しているんだろうか。


解釈の違う百子が俺の意図が伝わらずに松本さん経由で山内に話が行った場合、山内がそう思う可能性はある。


…。なんか大丈夫かな。


「百子、俺S?」


百子に優しくありたいと願っているのに…


「えっ!!!直くんSなの!?」

「!!」


なんか物凄く驚かれてしまった。あまりの声の大きさにびっくりしてしまう。


「驚かせた?ごめん。」


「うん…衝撃的にびっくりした。」


そんなに驚かれたということは俺はSではないだろう。


やっぱり山内の間違い…


「直くんって細いんだね。」



「え?」


これはもしかしたらまた…


「直くんがそんなに細いと思わなかった。私今日もうご飯食べない。ママにメールする。〝直くんが痩せろって〟って打とう。」


おいおいおい。


「いや、さっき山内に自分はドMで俺の性格がSだって言われて、もしかしたら百子を痛めつけているのかなって思って。」


お母様に嫌われるような言葉は慎んでくれ。頼むから。


「直くんが…私を?あっ!」


どうやら思い当たる節があるらしい。どうしよう。


「私が山内くんに言ったんだよ。愛梨にへこたれないから。」


…は?


「山内くんはドMだ!って言ったの。」

「……」


…元凶が百子だったとは。


「山内が落ち込んでたよ。」


百子はたまに一言がキツイと思う。


「あはは!」


楽しそうに笑う。…小悪魔だ。


まぁ、百子は友達も多い。色んな人と冗談を言い合ったりしているのを見たこともある。山内ともここまで言い合えるほど打ち解けているんだろう…。


でもとりあえず、山内には俺からフォローを入れよう…

なんか的外れかもしれないけど。


ん?ちょっとまった。


百子が小悪魔と言うことは…つまりS?

つまり俺が…M?


いやいやいや。誰か違うと言ってくれ…。



【おしまい】

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