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短編 スキンシップ

少し長いですm(_ _)m


高校時代より成長した大学生の直くんです。


「直、俺は愛ちゃんが好きすぎる。」


突然山内にそう告げられ、困り果てる。


で?と言いたいところだ。


「ついつい可愛くて、抱きしめたり、頭を撫でたり、色々してたら度が過ぎてしまったみたいでさ。」


で?


男同士でこんな話をしてるって、松本さんが知ったら…なんか申し訳ない。


「そしたら、愛ちゃんに〝ベタベタしないで。暑苦しい〟って言われてさー。」


…。松本さんは随分と分かりやすく、的確に物を言う。


「俺は傷心なんだ。愛ちゃんが隣にいるとどうしてもスキンシップが取りたいんだよ!イチャイチャしたいの!」


で?

なんか聞いてるこっちが恥ずかしいんだけど…


「なぁ直、俺の気持ち分かるだろう?」


ようやくここに来て質問された。イチャイチャしたい気持ち…か。


分かる。百子を前にして俺も気持ちが抑えられない。


百子も俺のこと〝暑苦しい〟と思っているんだろうか…

もしそうだとしたら…かなりショックだ。


「うん、分かる…。」


なんか、俺まで落ち込んで来たな。


「だろ?なぁ、俺どうしたらいい?」


えっ。いや、俺も聞きたい。


「なぁ、直はどうしてる?イチャイチャしてるんだろう?本田ちゃんと。どうしたら普通にスキンシップとれる?」


………。分からない。イチャイチャしてる?んだろうか。

普通のスキンシップがどの程度のものか分からない。


というより、今の山内の話で俺も百子に暑苦しいと思われているかもしれないと不安なんだけど…


「ごめん。分からない。」


解決することは出来ない。申し訳ない。





✽✽✽


落ち込んでいた山内と別れ、家に帰る。

俺も落ち込んでしまった。これからどうしよう…


「ただいま。」


「おかえりー!」

「直くん、おかえり。」


貴と珍しく俺より早い兄貴が出迎えてくれた。


「出張後に直帰したら早く帰り着いたんだ。お土産あるよ。」

「お兄ちゃん!ありがとうー!!大好き〜!!」


中3の弟に反抗期は無いんだろうか?ちょっと気持ち悪い。


「どういたしまして。お兄ちゃんも貴ちゃん好きだよ。」


…。男同士で気持ち悪い。


「直くん!直くんも好きだよ?」


…。黙っていた俺が怒ってるとでも勘違いしたのか兄貴が俺に向かって言う。


「それは、どうも…」


なんか、暑苦しい…。…………!これだ。


多分、兄貴と貴はこの暑苦しさは普通で、俺は暑苦しいと思った。つまり、暑苦しさの基準は双方の温度差による!




……分かったところで百子の温度は分からない。俺と温度差があったりして…


「直くん、元気ないね。学校で何かあった?嫌なことされたの?」


小学生にする質問じゃないんだから。兄貴は俺をいくつだと思っているんだろう…。


「行動力について考えてただけだよ。」


少し違うけど。間違いでも無い。


「…何でもやってみたらいいよ。行動しなかったら失敗はしないけど成功もしない。たとえ失敗したとしても、それは直くんの経験値として必ずのちに役立つから。」

「お兄ちゃん、いい事言うー!!」


…俺が言おうと思ったのに、貴に先を越された。


「ありがとう貴ちゃん。直くんは考え込むクセがあるから。軽い気持ちで何事もしてみなよ。行動には責任も付きまとうけど、お兄ちゃんが取れる責任は取るから…」


百子に暑苦しいと思われた場合の責任を兄貴がどう取るんだ。…そんな理由とは思ってないから言ってるんだろうけど。


「ヨッシャ!俺も行動しよー!」

「貴ちゃんはもう少し落ち着いて、物事をよくよく考えてから行動しよう。」


確かに。よく考える事も大事だけど、行動しないと成功もしない。


俺は百子しか好きじゃない。だから、他で経験を積むことは出来ないし、したくない。暑苦しいと思われてるかもしれないけど、俺の行動力をかき立てるのは百子だからだ。


暑苦しいかもしれない。だけど、百子が相手なら仕方ない。


これが結論だろう。…山内にも伝えよう。



✽✽✽


大学の帰り道、百子と手を繋いで帰る。


「百子俺暑苦しい?」


直球。回り道しても仕方ない。


「ん?」


…かわいい。じゃなくて。


「暑苦しくない?」

「今日?確かに今日は真夏日!」


ダメだ。肝心な事が届かない。


「…山内と松本さんってどう思う?」


結局回りくどい形になってしまった。


「愛梨と山内くん?仲いいよね。山内くんは見るからに愛梨が好きだし。」


うん、それを本人は悩んでたんだけど。


「あれくらい愛を表現してくれたら愛梨も嬉しいだろうな。」


…百子は暑苦しいと思わないのか。


「そうだ!直くんも山内くんみたいにオーバーアクションしよう!どうぞ!!」


は?…あれ?これ前にどこかで…。


〝愛を全力で表現して〟〝愛されている自信が欲しかったの〟

…確か、高校生の時に唐突に百子に言われたような…。


もしかして、あの時の百子の意図はこれだったんだろうか。


なんか、妙に納得してしまった。あの時の答えが今になって分かるとは。


〝愛情が薄い〟

あの言葉が百子の意見なら俺は暑苦しいとは思われてないだろう。


ただ、オーバーアクションの理由が今になって分かった以上、このままにも出来ない。


「ほら、直くん、早くしてごらん。」


はしゃぐ百子がかわいい。心の中で思うだけじゃダメだ。


「かわいい。」

「――ッッ!!」


赤くなる百子がますますかわいい。


…暑苦しかったかな?

単発番外編〝直くん、オーバーアクションしよう!〟

に結びつきました。

宜しければそちらもご覧ください(*^^*)

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