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直くんとももちゃん、初恋の行方。  作者: 獅月
第二章

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一生、手放したくない




かなり、感情的になってしまった。


百子相手だとどうしても冷静になれない。


百子はずっと喋らない。



…いつも唐突に、楽しそうに喋る百子の話が急に懐かしくなる。


「…ごめん。」


かなり、冷静さを欠いた言動と強引に引っ張ってしまった事を詫びる。


「発端は俺。」


冷静に順序立てて解決しよう。


――もしかしたら、百子が俺に同情してそばにいてくれるかもしれない。


「さっきも言ったけど、兄貴には言うから。」


「違うよ。」


…百子がようやく口を開いたが、否定の言葉に傷つく。


もう彼氏じゃないから言わなくてもいい、という事……


「直くん、私、直くんが好きなの。」


しっかりと俺を見て言う。


彼女にこう言われるのは何回目だろう…


「直くんが好き。」


「私、直くんが好きだから。」


「私、直くんの事をどうしようもなく、好きなの…。」


彼女の目から涙が流れる。俺を見つめながら…


また泣かした。


「俺だって、好きだよ。」


どうしようもないほど。



「後悔なんかしたことないよ!」


急に彼女の語気が強くなる。

ボロボロと涙を流す彼女に罪悪感で押しつぶされそうだ。


「昔だって今だって…好きな気持ちが変わった事なんか無い!」


俺が百子の気持ちを疑った事に対して、だろうか。



急に不安になった。“三重野と付き合えば良かった”という彼女に。


授業が終わって行くと、なぜか当の三重野がいて、百子が本当に楽しそうに笑っていて、俺には無い距離感の会話に…


――そうだ、嫉妬したんだ。


前から、百子と三重野は気が合って仲がいいとは思っていた。羨ましいとも思った。


これが嫉妬か、と自覚した事もある。


だけど、そんなレベルじゃなかった。


もっとドス黒くて…ドロドロとしたものが全身から溢れてきて。


誰にも渡せない。誰にも渡したくない。


俺の…俺だけの百子にしたくて、、



「直くんが発端じゃないよ…」


また、百子が俺を庇う。


「だから、直くんそんな顔しないで…」


「そんな辛そうな顔しないで…」


ボロボロと百子が泣きならが絞り出すように言う。俺はどんな顔をしてたのだろう。


「直くん自分を責めないでよ。」


「私、直くんの事が好きなのに…」


「直くんの事が大好きなのに…」


「直くんの事を誰よりも好きなのに…」


「それなのに…私が一番、直くんを苦しめてる…」




「…。」


それは俺だろう。いつも、俺と百子は解釈が違う。それがもどかしい。


百子の考えている事が分からない。


こんなに好きなのに…






「私、直くんの彼女になりたい…」


もう俺はどうなっているのか分からない。


「…今は違うってこと?」


この一件で別れたつもりだったんだろうか…


「直くんが前に行ったんだよ。三重野くんと私なら釣り合いが取れるって。」


いつ?


「私と直くんとじゃ一緒にいても付き合ってるって思われない。」


は?


「それは私と直くんが釣り合わないからで…」


「待って、これじゃあ堂々巡りだ。最初から順を追って話そう。」


いつまでたっても埒が明かない。


ようやく冷静さを取り戻した俺は、もしかしたら、色々と重大な何かが真逆の解釈によって捻れてしまったのではないかという結論に至った。


百子に言われた言葉を自分の解釈によって感情論で遂行するとまた振り出しに戻る。


ここは冷静に。


あくまでも冷静に。


まずは


「今回の争点、まずは発端。」


「…直くん先生の授業だ。」


頬に涙の跡を付けて、へにゃっと笑う彼女を見て


罪悪感と愛しさがこみ上げる。


ゆっくりと手を差し伸べ、百子の手を握る。


優しく、丁寧に。


馴染んだ、そのふんわりとした感触に、


この手を離したくないと…強く願う。


一生、手放したくない。





直くんの小さな嫉妬は短編“直くんの嫉妬”をご覧下さい(*^^*)


ようやく収束を迎えるか!

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