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直くんとももちゃん、初恋の行方。  作者: 獅月
第二章

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微妙な空気を察して



――キーンコーン


チャイムが鳴る。直くんは授業がある。


「な、直くん。始まるよ!」


急に現実に舞い戻り、冷静になる。


「…話が終わってない。」


いやいや、真面目な直くんを授業に出さない訳には行きませんから。


「ま、待ってる。待ってるから!!」


とにかく直くんに授業を!


授業!直くん兎にも角にも、今は!授業〜!!!





✽✽✽


「はぁ。」


あれから、何とか直くんは授業に行った。


私は直くんを待ってる。このまま走り去りたいけど…


誠実な直くんは嘘をつかない。思って無いことを言わない。


だから、待ってると言った以上、私も嘘はつけない。


でも何を話すの。


私も直くんも解釈が違うし、なんか色々とこんがらがってるし。


なんかもう、考えるのも面倒くさい。


「ももちゃん、見ーっけ!」


(…え。)


声をかけられ、顔を上げる。


そこにいたのは…


「三重野くん!」


キャンパス違うのに、なぜ登場する!


「ももちゃんが気になって、駆けつけた!」


(こんな時に益々ややこしくなるじゃない!)


「三井と仲直りした?」


…心配してくれてる。イヤな顔して悪かったな。


「…まだ。」


正確には今がどんな状況か私にも分からない。


「三井何してんだよ…。」


三重野くんの語気が強まる。直くんは悪くないのに。


「直くんはね、優しいのよ。」


うん、優しい。〝利用していいよ〟まで言ってくれた。


(ポッ!)


…思い出して赤くなる。


(直くんがそんな事言ってくれるなんて、ふふっ。)


あ、浮上してきた。私。


「三重野くんに直くんの良いところ言ってたら私テンション上がってきた!聞いて!!」


「えー!俺の繊細な乙女心を察して!」


三重野くん、男だろ!


「うるさい、聞けー!」


ついつい、三重野くん相手だとこんな態度取れる。

楽しくって笑えてきた。


――これを〝釣り合い〟と言うんだろうか。





「あ!三井!」


三重野くんが言う。いつの間に授業終わったんだろう。

三重野くんとじゃれてたら気づかなかった…


「久しぶりー!ところで助けてくれー!ももちゃんにやられるー!!」


三重野くんは私と直くんの微妙な状況が分からず、ふざけている。


あ…。これ、危険。さっきの終盤。


〝なんで三重野が出てくるの〟

いや、ここにいるのは私のせいじゃないから。


えーっと、なんで三重野くんの話になったんだったっけ?



……


あ…


〝三重野くんと付き合った方が良かったんだ〟


言った。私。確かに言った。…直くんは黙ったままだ。


どうしよう…。


「えーっと、俺、空気読んだ方がいい感じ?」


三重野くんがようやくこの微妙な空気に気づく。


…うん、読んだ方がいいかも。というか私も逃げたいです。





「三重野、ごめん。」


なぜか直くんが謝る。どうしたの?


「俺、百子と別れるつもり無いから…」


直くんが続ける。


「だから、その…」


直くんが口ごもる。次の言葉が見つからないみたいだ。



「アハハハ!」


この微妙な空気を割って三重野くんが笑い出す。


(読んで!空気!)


「いやー。ももちゃん!愛されてるじゃん!三井に!」


え?どうしたの三重野くん。


「あ~もう。心配して損したわ!帰ろ帰ろ〜っと。後は若いお二人で!」


いや、同い年だよ。三重野くん。


「俺は俺で楽しいキャンパスライフを送ってるっつーの!当て馬キャラじゃねーし!じゃーまたな!」


そう言って三重野くんが帰って行った…

なんか台風みたい。





――ギュッ


(!?)


突然手を捕まれ驚く。


そうだ。直くんを待ってたんだった。


直くんは私の手を握って歩き出す。


――無表情で何も喋らないまま…



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