彼女に見えませんか?
直くんとキャンパスは一緒でも学部が違う。
中々学校で一緒になれる時は少ない。
(会いたいな。)
彼女になると欲深くなる。少しでも長く一緒にいたい。
「本田さんって、あなた?」
おお、びっくり!女子に囲まれた!
「…そうですけど」
同い年か年上か分からない。取り敢えず敬語を使っておこう。
「この前、三井くんと手を繋いでたのはあなた?」
!こ、これは間違いない!この女性陣は直くんが好きなんだ!そして私に牽制をしている…
ま、負けるな。百子〜!
「そうです。私です。」
ニッコリ。私は直くんの彼女よ!余裕、余裕を出すのよ!
「ふふっ。」
一人の女子が笑う。な、何よ…
「妄想だけも大概にしないとね。そりゃあ三井くんと手を繋ぎたいだろうけど。」
女子が一斉に高々と笑う…
え、え、え!?手を繋いでるの私の妄想だと思われてるの!?
「え?私と直くんが手を繋いでたの見たんですよね?」
確認していいですか?
「三井くんがかっこよすぎて隣はよく見えなかったわ。」
分かる。
…いや、分かっちゃダメだ!!
「じゃあ、どうして私に聞くんですか?」
そうよ。しかも名指して。
「三井くんに聞いたら、本田さんという彼女らしいから…」
ブスッとした態度で一人の女子が言う。
直くん、言ってくれたんだ…
私を…彼女だって…
ううう嬉しいーーー!!!
直くん、私も負けないわ!
“百子は、か、彼氏がいますって言わないのか?”
言うわ、直くん!シチュエーションは若干違うけど(私が男子に告白されたら使う予定だった。)
本田百子、行きまーす!!
「私、です。直くんは私の彼氏です。」
渾身の笑み!…勝った!
「…。」
あれ?無言?
「アハハハ!!」
女子が一斉に笑い出す。な、何事!?
「そんな嘘を言ってはダメよ。」
「はぁ!?嘘じゃな…」
「三井くんの彼女だったらいいなと憧れる気持ちは分かったから、落ち着いて。」
「いや、諭さないで下さいよ!」
ま、まさか…
「この本田さんじゃなかったみたいね。皆さん、他の一年生の本田さんを探しましょう!」
まさか!
「え!?いや、合ってる!合ってます!私です!!」
信じてないー!!!??
思いっきり手をあげて抗議したのに…
…
……
………私、直くんの彼女に見えませんか?