表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/133

三井家の変化

「直くん、スーツ似合うね。」


兄が微笑みながら言う。


「本当に、大きくなられまして…」


キヨさん、


「ねーねー!俺はどう!?」


…弟。


この春、俺は大学生に、弟は中学三年になった。もう2年も着てる制服をなぜか着て見せて回る。


「貴ちゃんも似合うよ。かっこいい、かっこいい。」


兄がそれを褒める。親バカならぬ、兄バカ…


(…いや、育ててもらっているのに失礼だ。)



…あれから、兄は父の会社の代表取締役となった。

あの時の兄貴の言葉を思い出す。


〝来年あたりと思ってたけど今なんだなって。〟


兄貴が俺達を育てて、仕事をして、更にそんな事をするために裏で動いていたとは…


やっぱり兄貴は偉大だ。


父の会社は順当に兄貴の会社となった。


――なるべく、叔父さんと穏便に済ませる時期を狙ってたんだよ。


ちゃんと人への気遣いも忘れない。叔父を社長の椅子から下ろす事なく、社長のままに据え置いて、その上に兄貴が経営責任者として立つ。


やはりある程度モメたらしいが…。


兄貴から直接聞いた話では無いが、叔父が社長になって以来、株価は暴落の一途だったらしい。


資産を削ってやり過ごしていたらしいが、そのまま行けば倒産の可能性もあったようだ。


そんな会社の状態を兄は見過ごせなかったんだろう。祖父と父の期待を一身に浴びてきた兄だ。


今までなるべく穏便にと、出る杭にならなかったんだと思う。


兄が経営者になって2年。株価は安定し、利益も出ているようだ。


両親が生きていた頃の兄が言っていた言葉を思い出す。


――押しも押されもされない日本のトップ企業に成長させます。


幼いのに随分としっかりした事を言う優秀な兄だった。


相変わらず、忙しく働いているが…


おかげで家庭の経済も安定したようだ。


以前は夜、俺と貴将が寝静まると兄貴とキヨさんがボソボソと話していた。お金のことだったと思う。

聞こえない声で話すし、俺も勿論聞く耳は立ててないが。


その頃の兄貴は他でも仕事をしていたみたいだし。言わないから聞かないけど…



だけど、兄貴のおかげで俺は新たな目標が出来た。


ちゃんと大学で経済を学んで、兄貴の会社に入る。


兄貴を支えたい。これは昔から変わらない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ