告白するって…
「お兄ちゃーん!!靴下履かせて〜!!」
兄貴はあれから少しして退院した。
そして、いつもの日常が戻って来た。…日常ってありがたい。
そして早々、貴は兄貴に甘えている。
俺と二人の時は靴下なんか自分で履いてたのに。
「はいはい。貴ちゃん、足出して。靴下っていつまで履かせるのが普通なのかな?直くんはこの位の時一人で履いてたんだけどなー。」
子育てって難しいとブツブツ言いながら靴下を履かせる兄。兄貴は絶対騙されている。そして甘やかす。
けど俺は何も言わない。貴には色々と弱味を握られている。全て本田さんはの事だけど…
そう、本田さんだ。
三重野とはどうなったんだろうか。修学旅行は断ったにしても他で過ごす機会はあるはずだ。
そして、三重野との方がデートも楽しいだろう。
「俺は楽しませる事も出来ないし…」
ついボソッと呟いてしまった。完全な妬みだ。俺も本田さんを楽しませたいのに。
「…お兄ちゃんは直くんが一緒だと楽しいけど?」
「……。」
しまった兄貴に聞かれた。言葉の真意はバレてないだろう…
好きだと気づいてしまった。本田さんのことを。
そして、障害も無くなった。
それはつまり、後は俺が気持ちを伝えればいいわけで。
男なんだし…
本田さんは何回も告白してくれてるし…
フラレる可能性は一般の場合と違い低いし…
………………
駄目だ。心臓から火が吹くと例えた本田さんは天才だ。
俺は意気地が無い…。
「〝百子好きだぜ!〟〝直くん私も!〟ムギュー!ブッチュー!!」
…。
「おい。」
「直に告白をレクチャーしてやった。」
弟は確実に面白がっている。
「頼んでないから。」
「直も、ももちゃん好きなんだろ〜。素直になっちゃえよ〜」
素直に…ね。