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本田さんがかわいい。


「お待たせー!!」


貴が戻ってきた。良かった、助かった。


本田さんもパッと弾かれたように俺に詰め寄っていた体を離す。


「あらら?俺、お邪魔虫かしら?」


貴が面白そうに言う。キャラはもういいのか?


「おっおかえりー。貴ちゃん、楽しかった?」


本田さんがなるべく動揺を見せないように話す。

本当に、分かりやすい。


「うん、すっげー楽しかった!!ねぇ、ももちゃんは?絶叫系嫌い?」


「うーん、得意じゃないけど、今は乗りたい気分!!」


…俺への当てつけだろうか。


「ホント!?じゃあ一緒に乗ろう〜!直兄はそこで頭でも冷やせば〜。」


…どこから聞こえていたんだろうか。


「えっ、でも直くんも…」


本田さんが俺を心配そうに見る。…これは本格的に…


「いいよいいよ。直兄は少しお灸が必要だから!行こう!」


貴が本田さんを引っ張って走って行った。

俺は側にあったベンチに腰掛ける。


そして…冷静に考える。


…びっくりした。自分の感情にびっくりした。


本田さんが…かわいくて…そのことに今気づいた自分にびっくりして。


やばい、心臓が速い。


やばい、やばい、やばい。


自分が自分じゃないみたいだ。落ち着かない。


…落ち着け。順を追って考えよう。


まずは、、、本田さんが、かわいい………。


違う!!そうじゃない!!


まずは!根本的に俺に問題がある。


自分がこれ程までもネガティブな発想をしていたとは思わなかった。


あまり友達がいない自分が女子に話しかけられる機会など更に無い。


何か裏があると思ってしまったのは、、まだ子供だったと言えどあまりにも解釈がネジ曲がっていたようだ。


要は、傷つきたくなかったんだと思う。


両親が亡くなって周りの大人達の態度が変わって、いなくなって、兄貴とキヨさんだけになった。


今も法事でたまに会う親戚も俺と貴には優しいが兄貴への風当たりは強い。


そんな大人の態度に少なからず俺も傷ついたんだろう。人を疑う事で自分を守っているんだ。


けど、それは俺の問題で本田さんや周りの人を傷つけていい理由にはならない。


謝ろう。許されるかは分からないけど。


本田さんにも、覚えてる限りの女子にも。


そして、少し自分を出していこう。人を信用しよう。


懺悔じゃないけど、本田さんが何度も俺を諦めないでいてくれたからこそ気付けたことだから。





「なーおー!」


貴と本田さんが戻ってきた。


「ももちゃん腰抜かしちゃった!」


明らかに顔面蒼白な本田さんが貴に連れられて戻ってきた。


「ななななな直くん、怖かった!」


本田さんは涙目になって俺を見る。


(あぁ、そうか。)


「大丈夫?本田さん。」


「一発目から飛ばしちゃったもんね〜。」


「大丈夫じゃない!すっごく怖かった!」


相当怖かったんだろう、ブルブルと震えて俺を見る。


(――自覚してしまった。)


「取り敢えず落ち着いて。座れる?」


「うん…」


色んな表情を見せてくれる本田さんをかわいいと思ってる。


これを、好きと言うんだろうか…

いいなー。青春( ̄^ ̄゜)

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