弟の大作戦
「直お・に・い・さ・ま。」
弟が話しかけてくる。これは絶対良くないことだ。
「…何?」
「最近どうなの〜?俺いいアシストしたと思うよ。例の彼女ともちょこちょこ会えるようになったんだよ〜。嬉しいよね〜。」
「要件は?」
貴はいつも回りくどい。
「俺も直の彼女に会ってみたい!!」
「…彼女じゃないから」
「えっ!?まだ付き合ってないの!?」
「…友達だって言ってるだろ。」
「はぁ〜。直〜。高校生だろ?」
「…小学生に言われたく無い。」
「来月のお休みの日、お兄ちゃんいないんだぜ?」
「それで?」
「出張ってやつだろ?泊まりだ!つまり、何をしても、バレない!」
貴はいつも兄貴の目を盗んでやりたい事をやっている。だから俺という見張りがいる事を貴はわかっているんだろうか?
「ゲームは一日2時間って約束だろ?」
「そんな事じゃねーって。」
(…。)
「まず、キヨさんには、直が俺を連れて遊びに行くことにする。」
「キヨさんにも嘘つく気か。」
俺と弟はタイプが全く違う。俺はそんな事出来ない。
「そして、俺と直と彼女で遊ぶ!!!」
「はっ!?」
何言ってんだコイツは!
「俺だって女子高生と遊びたい!JK!JK!」
「バッ!!」
バカかコイツは〜。
「バッ?バッチリOK?」
「貴は恐ろしくポジティブだな。」
いっそ才能かも知れない。
「そう、俺はスゴイ!」
ここまで来ると純粋に羨ましい。
「無理に決まってるだろ。子連れなんか迷惑なだけだ。」
「大丈夫だよ〜、俺迷惑かけないから。」
…俺にコイツ程のポジティブさと悪知恵があれば、人生何かが変わったかも知れない。
「俺と一緒だと夜遅くてもいいし、最高のシチュエーションが作れる。夜景がキレイな所で告白したり、チューしたりだな。」
「だから行かないって!」
「…直、携帯かせ。」
「なんで?イヤに決まってるだろ。」
「俺が誘ってやる!」
「!!」
しばらく言い合いと携帯の取り合いが続いた。
✽✽✽
「遊園地?」
「断ってくれていいんだけど。」
…結局、負けた。
最後の頼みは本田さんだ。頼む、断ってくれ。
「行きたい!!お邪魔しちゃっていいの?」
…。
キチンと約束を守って、ももちゃんを誘う直くんが好きです(*^^*)