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進展と後悔と…


「生殺し延長宣言じゃん、それ。」


「愛梨…」


あの後、直くんと別れて愛梨と合流。


私は今日直くんとの間に起こった素晴らしい出来事の回想を身振り手振り、感情を込めて伝えた。


…ら、この返事。


「違うでしょ!?直くんがちゃんと私の事考えてくれて誠意を持って向き合ってくれているのに!」


「…。」


「私の事、信頼してるって!信頼よ?信頼!こんな嬉しい事ある!?」


「…。」


「そうそう!直くん笑ったんだよ!?私の前で、あの、直くんが!」


「…。」


「すっっごくかっこよかったんだから!!…って聞いてる?愛梨?」


「聞いてない。早く歩いて。」


水族館までの道のりを愛梨と歩く。


「聞いてないって!酷くないですか!?」


「三重野にしてたら幸せになれるのに。〝好き〟より〝好かれてる〟の方が幸せよ。」


「直くんがいいんだもん…。」


何かにつけて愛梨は三重野くん押しだ。


愛梨は直くんの事が嫌いなのかな?


「三井の事は興味ないから」


…。


「私の頭の中読まないでよ。」


「百子が分かりやすいんだって。…三井が百子と同じくらい百子を好きになる事って、ありえない。」


「え〜。」


「もし百子と同じレベルまでってなったら、三井はキャラ崩壊じゃない?今世紀最大のバカップルの完成ね。」


「毎日イチャイチャ出来るかな?」


愛梨ははぁ〜と盛大なため息をついて歩いて行く。




日もすっかり落ちた。


「やっぱり、いない――。」


三重野くんはいないようだ。


(良かったー。)


ホッと胸をなでおろす。


「いや、いるって。」


愛梨が指を指す。


指した方向には下を向いて、身を屈めている三重野くんが…


いた。


「おーい、三重野〜!」


愛梨が手を上げて声をかける。


パッと弾かれたように三重野くんが顔をあげる。


「!!っももちゃん!」


「いや私もいるから無視しないで。」


「あっ!ごめん!」


愛梨と三重野くんが会話する。


「三重野って一途だね。百子を幸せにしてくれそう。私は帰るから百子を宜しくね。」


「えっ!?ちょっと愛梨!」


「三井には興味ないけど、少なくとも私は三井より三重野の方が気にいってるの。」


「…。」


「そんな事で三重野、百子を頼むね〜。ちゃんと家まで送り届けるように!宜しくね!」


「ハイ!姐さん!ありがとうございます!」


「今度何か奢ってね〜宜しく!」


「愛梨!!」


愛梨は背中を向けて歩いて行く。



「ももちゃん、来てくれてありがとう。」


「…。」


愛梨にも悪いことした。せっかく遊ぶ約束してたのに遊びもしないで、一人で帰らせて…


単純に三重野くんが、待ってた。だから三重野くんに気を遣ったんだろう。


私の幸せを願って。


「ももちゃん?ごめん、そんなに嫌だった?」


「あっ!ううん!」


慌てて首を振る。条件反射のように。


「ももちゃんが来てくれて嬉しい…。」


(あー、やっぱり三重野くんに冷たくは出来ないな。)


あれから、三重野くんと一緒に水族館を見て回った。


申し訳無いけど、これがもし直くんだったらって考えてしまった。


何か、何かが満たされない。


…ごめん、三重野くん。

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