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直くん、ヤキモチ焼いて?



あれ以来、直くんとはたまに出かけるような関係になれた!


学校でも私が話しかけたら普通に話してくれるし、勿論直くんから話しかけてくれる時だってある(用事があれば)


メールを送ったら返事だってくるし(すっごく端的だけど。)


デートに誘えばOKしてくれるし(直くんから誘われたことはないけど。)


女子と滅多に喋らない直くんからしたら、すっっっごい進歩した。うん。


同じクラスだと周りの女子の動向も分かるし、(皆そっけない直くんに撃沈していく)


諦めなかった私、エライ!


この状態が続けばきっと私は直くんと〝カレカノ〟になれる!!!…はず!!




✽✽


「本田さん、あのさ。…ちょっといい?」


「?…うん、いいけど。」


幼稚舎から一緒の三重野くんだ。確か小4の時に同じクラスになった事がある。


(そうそう、初めて直くんと同じクラスになった時に三重野くんも一緒で私と直くんの間の席だったっけ。あの時ちょっと悲しかったなー。いい思い出だけど。)


ムフフ。最近考える事が全て直くんに直結する。





人気の無いところまで来てしまった。


このシチュエーションって…もしかして…


「あのさ、本田さんのこと昔から知ってたけど…」


「…。」


「最近、すごくキレイになったなって思ってて…。」


「…。」


「おっ、俺と付き合って下さい!!!」


「!!!」


(や、やっぱりー!!)


嬉しいけど、私が好きなのは直くん、ここはきちんと断らないと。


「三重野くん、あのッ!」


「や、やっぱり三井の事が好き…ですか?」


「…知ってたの?」


「そりゃあ、皆気づいてると思うけど…」


愛梨の言ってた通りだー。直くん好き好きオーラ出てましたか…。


「じゃあ、どうして…?」


私が直くんが好きなのを知ってるなら、振られるって思わなかったのかな?


「…悩んだけど、やっぱり俺の気持ち知ってて貰いたいって、本田さんにちょっとでも俺の存在に気づいて貰いたいって思って。」


「…あ。」


…これは私だ。直くんに対する私だ。三重野くんは今あの時の私と同じ気持ちなのかな…。


「当たって砕けろって思って言ったつもりだったけど、いざこれからフラレるってなると…やっぱりキツイな。ハハッ。」


三重野くんの気持ちが私には手に取るように分かる。直くんは私を好きじゃない。分かってるけど諦めきれなくて、少しでも仲良くなれたらって…


「…。」


「本田さん、往生際が悪いのは充分分かってるんだけど、もしこんな俺を哀れんでくれるなら、せめて友達にはしてくれない…かな?」


「…。」


あぁ…本当に私だ。せめて、なんとか直くんと接点を持ちたいって思ていた頃の私だ。直くんにフラレた事もある。この世の終わりの様な絶望感だった。


そんな思いを、私はこれから三重野くんにさせるんだ…。


偽善者なのかな…


「三重野くん、」


「ッーー、、うん。」


…あぁ、やっぱり駄目だ断れない。


「少し、考えてもいい?」


……直くん、私どうしたらいい?





✽✽✽


今日の本田さんはなんか変だ。


妙に大人しい。


最近は月1、2回のペースで週末本田さんとお昼ご飯を食べに行くようになった。


いつもは本田さんがよく喋ってくれるので俺は聞き役で話題を出さなくて済んでいたのだが…


油断してた。


話題が無い。


「…。」


「…。」


…何かあったのだろうか?


それを聞くか。


しかし、言わないということは言いたくないわけで


それを聞き出すのは気が引ける。


「直くん!」


意を決したように本田さんが口を開く。


考え込んでいた俺は急に現実世界に引き戻される。




「な、直くん、あのね。私、告白されたの。」


「…。」


「ッだけど、ちゃんと断ったから!私が好きなのは、直くんだから。」


「…。」


「私は、直くんが、好きなの…。」


もう何回言ったか。私の気持ちは変わらない。


「…。」


「只、えっと、友達になって欲しいって言われて、」


「…。」


「えっと、それで、そのー。ど、どうしたらいいと思う?」


お願い、直くん。〝断れ〟って言って?


「どうしたらっていうのは?」


「えっ…?」


「本田さんが誰と友達になろうがそれは本田さんの意志だと思うけど。」


「…。」


「俺が本田さんの友達について何かいうのもおかしいし。」


「…。」


その通りだ。別にこれがなんてことない女の子だったら普通に友達になっているし、今日だって〝新しい友達が出来たのー〟みたいな話をしていたかも知れない。


ただ、期待してた。


告白された男の子に友達になろうって言われた事を知った直くんが〝付き合う気が無いなら断れ〟って言ってくれるかとを…期待、してた。


もしかしたら、ヤキモチ焼いてくれるかなって期待してた。


最近、直くんが――、、


直くんと過ごす時間が増えて私、自惚れてた。


あーあ。ホント、私って。


…大丈夫。涙は、出ない。


私だってあれから成長したし、直くんの言ってる事も分かる。


「そっ、そうだよね〜。ごめーん。変な事聞いて。」


「…。」


「びっくりしちゃってさ。あはは。忘れて忘れて。」


「…、うん。」


大丈夫。


ちゃんと今日も直くんと楽しい時間を過ごせた。

ももちゃんが切ない…

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