謝らせて。
ちょっといい雰囲気か!?(*´艸`*)
「もうっ!先生ったらこんなに一人で持てるわけないじゃない!」
百子は教師に頼まれ資料室に資料を持って行っている。
「重いし。はあぁ〜。」
トボトボと資料室までの人通りの無い廊下を進む。
「本田さん、貸して。持つよ。」
「ーーッッ!!」
バサバサー
百子は、後ろから声をかけられて、その声の主に驚き、振り返った瞬間、資料を落としてしまった。
「…。ごめん。逆にびっくりさせた。」
「あっ!ウソ!あっいや、こっちこそ…」
挙動不審な百子を気にせず、直之は廊下に散らばった資料を拾う。
慌てて百子もしゃがみ拾っていく。
(ーびっくりした。まさか直くんから話しかけてもらえるとは…。それに声も低くなってるし…。)
一人で持とうとする直之を説得し、百子も少し持って一緒に資料室まで歩く。
(まさか、隣を歩く日が来るなんて!)
突然の出来事に百子は落ち着かない。
緊張と、嬉しさと興奮と、色んな想いがこみあげて来る。
「…ッ直くん久しぶりだね!中学で同じクラスにならなかったし、クラスも遠くて!!」
沈黙に耐えられない百子は、矢継ぎ早に喋り倒す。
直之は時折相槌を返す。
(神様!この空気、心臓が持ちません!)
短くも濃い時間を感じていると資料室に着いた。
教師から預かった鍵を開けて中に資料を置く。
「あっ、直くん、手伝ってくれてありがとう…」
百子は直之に礼を言う。
「本田さん、前は、ごめん。」
唐突に直之は言う。
「…へ?前?」
「…忘れてくれてるならいいんだ。ずっと気になってたから。」
(?なんのこと?)
百子は真意を掴めない。それより…
「直くん、ずっと私の事気にしてくれてたの?」
(私はずっと直くんにとって存在すら忘れられていると思ってたのに。)
「…。泣かせたから。」
(泣いた?あっ!)
百子はそこで直之と最後に話した中学の時を思い出す。直之は三年越しに謝っているのだ。
「…あれは直くんが悪い訳じゃないよ。むしろ私の方が直くんの迷惑を考えて無くて…」
(三年前の事、覚えてて謝ってくれるんだ。直くんって律儀だな…)
ずっと氷水に浸けるように沈下し続けてきた恋心がまたムクムクと起き上がる。迷惑なのに。
「…。直くん、迷惑かけてごめんね。」
「…迷惑?」
「私が直くんの事が好きだから。だから迷惑かけてる。」
「…。」
「私の気持ちばっかりで直くんの気持ちは全く考えてなかったって…思って。」
また言ってて涙が出る。結局迷惑な片思いなのだ。
「でも他の人は好きになれない。私は直くんが好きなの。」
うえーん。と言った感じに泣きじゃくる。オモチャを買ってもらえない子供のようだ。
「…。ごめん。これもまた俺が泣かせた、よね。」
直之はどうしていいか分からず、内心オロオロする。
女の子には優しくすること、母の教えが頭の中を占める。
人に優しくしようね、兄の言葉がこだまする。
「えっと、その…」
女の子が泣く場面に出くわした事がない。弟を泣かしても気にした事はない。
「ごめん…」
直之はなんとか泣きやんで貰おうと謝ることしか出来ない。
「直くんは悪くない〜」
直之は途方にくれてしまった。
直くんは言いつけを守る真面目な子です(*^^*)
ももちゃん泣くなー!負けるなー!