繋がっていく
今の俺には夢がある。初任給を貰ったら兄貴と貴将とキヨさんにプレゼントを買うこと。勿論、百子にも。
兄貴が自分のお金をずっと俺達に分け与えてくれた。
俺もその姿から学んだ。
人に与える事。
それは人に感動を与える事にもなる。
勿論それは人付き合いにも言えることだ。百子にずっと与えてもらっていた。
とびきりの愛を。
俺も与えて循環させて大きくしたい。
それが後の自分の幸福にも繋がることを教えてもらった。
――今度は俺が、与える人になりたい。
✽✽✽
また新しい一週間が始まったかと思えば早くも今日は金曜日。
「百子、デートして帰ろう。」
22時までスキンシップOKだから直くんが私を誘ってくれる。
(デートって。直くんったら直球なんだから!)
「うん!!」
とっても嬉しい。
「金曜日、デートは定番だろ?」
…そうなの?入社後初デートでは?
ま、いっか!楽しい直くんとのデートだ!
「直くんもダイエット中だから、ヘルシーディナーにしようね!」
私も直くんもドレスとタキシードの為にダイエット中。
私達は確実に未来に向かって歩いている。
「ダイエット?」
直くんがすっとぼける。
んもう、直くんったらテレ屋さんなんだから!
「男の人でも堂々とダイエットって宣言してもいいんだよ!」
「?うん?」
直くんは認めたくないのかもしれない。太ったことを。
私も全く気づかなかった。
でも、大丈夫。私は直くんが太っても気持ちは変わらない。
だって直くんの良いところ、それ以上に沢山沢山知っているから。
「百子、帰りにお花屋さんに寄っていい?」
「…プロポーズはまだしたらダメだよ。」
「分かってる。花屋に慣れたいから…」
慣れたらテレが無くなるじゃない!
「これから、毎週金曜日は百子に花を買う。」
…きゅーん。直くんにきゅーん。
「じゃあ、本番までは一緒に行こう!」
なんか趣旨が違う気がするけど、いっか!
「明日ね、パパとママとお兄さんの物件見に行ってくるね。」
ママがめちゃくちゃ張り切ってる。私と直くんの新居なのに。
「…お母様が決めるの?」
「ママは張り切ってるよ。私はインテリアとかよく分からないからママに一任!」
「…。」
「早く直くんと一緒に暮らしたいな。」
家具とかインテリアはママのセンスに任していれば安心だし、それよりも早く直くんと暮らしたい。
寝ても覚めても直くんがいる。
そんな未来が待ち遠しい!
「俺も。」
…。
「直くん、私、直くんが好き。」
「うん、俺も。」
「最後まで言ってごらん!」
「百子が好きだよ。」
当然のように言ってくれる。それが最高に嬉しい。
片思いしてたときもこんな未来を夢見てた。心躍らせてた。
夢が叶った。まさにイメージ通り!
私は、これからも直くんを愛してる。そして、愛されてる。
これから先も…私と直くんの未来はずっと、
――繋がっている。
【完】
直くんとももちゃん、初恋の行方。
これにて完結です。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
心より御礼申し上げます。